1-7(7)巡洋艦(囮艦)
この小説は練習みたいなものです。急にやめるかもしれないです。投稿不定期、投稿後に編集するかもしれません。その上で辻褄が合わなかったりすることもあるかもしれませんが、読んでアドバイスや感想いただけると幸いです。
「なんでだろうなぁ」
いくつ目かわからない脱出艇を牽引しながら考える。ただ考えても答えが出ないことはわかっている。
ターレットと信号ブイで囲んだ安全地帯に脱出艇を押し込む。そしてまた救難信号を探して突っ込むのだ。
大型艦の残骸まみれの空間へ。
時は数時間前にさかのぼる。
結論から言うと、光った何かはなんの変哲もない、ワープ解除の光だった。ワープから戻ってきたのは、傭兵組織の巡洋艦。ただよくわからない方向に意味わからない速度で回転していたけど。あと救難信号発信してた。
とりあえずアトラクターを起動して、巡洋艦の回転を弱める。アンテナが高速回転してたら情報が読み込めないし、制御不能で小惑星に突っ込まれても困る。
ちなみにヤバい回転は、艦(と操舵手)の事前準備なしでワープ解除した時によく起こる。
【助かった。ありがとう】
「礼は今はいい。何があったかだけ教えてくれ。その感じじゃ初心者じゃないだろ」
初心者はあんな風にスピンしてたら、意識を保っていられない。ただ、あの回転のすぐ後に喋れるぐらいの熟練なら、そもそもあんな風なワープ解除もしない。考えられるとすれば故障だけれど、熟練ほど出航前や定期の点検に念を入れる。宇宙での生存性は艦の正常性に直結しているからだ。
【霧だ。エーテルの霧。馬鹿でかいやつ。いきなり正面に来やがった】
「巡洋艦だろ?逃げれなかったのか?」
巡洋艦はそこそこ足が速く、トップスピードでも(中身の被害を考えなければ)そこそこの減速、回頭性能を誇る。例外としては、傭兵がカスタムした「改造巡洋艦」と呼ばれるような、魔改造艦なんかがあるが。
【無理だ。規模も大きいし速度もなかなかあった。それに俺らは囮艦だ】
「囮艦だと?艦隊所属か!?」
囮艦。元は軍において、戦闘時に文字通り囮になる艦のこと。戦闘に負けそうなときに救難信号を発信し、囮になるのがこの艦の役目だった。民間では、艦隊などで救難信号を発する役目の艦が「囮艦」と呼ばれる。
つまりこの巡洋艦は、艦隊に何らかの(というかエーテルの霧の)危険が迫り、少しでも早く救難信号を飛ばすために、多少強引にワープ解除をしたのだろう。
【理解が早くて助かる。助けられてばかりで悪いんだが、救難信号の増幅できるならやってくれねぇか?】
「分かった。艦隊情報持ってたら転送してくれ」
【すぐに送る】
2秒もかからずに情報は受信できた。こっちのアンテナもなかなかだが向こうの送信能力が想定以上だ。かなりのベテランが金をかけた巡洋艦を駆ってるような感じ。こんな出会い方じゃなければ、雪風のアドバイスとかのってもらったのに…
2ヶ月も飛んでしまった…
読んでいただきありがとうございます!
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2023/11/09 投稿
2023/11/13 無線の相手を【】で閉じました。
2024/01/04 誤字修正