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サルベージ艦は今日もゆく〈宇宙文明は事故ばかり〉  作者: 売店部のしまなみ
5-死んだトラップ、生きたトラップ
68/104

5-1 (68) 通知音と無音とラジオ

 雪風の簡易メンテは終わった。ベーグルさんの部屋も、家具こそないが、倉庫ではなく部屋として認識できる程度には整備できた。


「というわけで、明日は哨戒と荷物受け取りをしようと思います」

「わかりました。宇宙に出るんですね」


 夕食を摂りつつ、ベーグルさんに伝えておく。宇宙に上がるのは以外と精神にくるので、早めに伝えておいた。


「哨戒って、具体的に何をするんです?」

「海軍のように情報網があっても、警備艦隊の数の問題で、どこでも急行できるわけではありません。ですからその警備艦隊の居ない方へ行って、軽く見回っておくだけです」


 だがしかし、サルベージ艦の主任務は戦闘ではない。たまたま運悪く海軍がいない方向で、事故を起こした艦がいた時に、その脱出ポッドを素早く回収できるように、というのが表向きの理由だ。


「裏向きの理由もあるにはありますが…」

「犯罪ですか?」

「まさか!法律は守っていますよ。ただちょっと詭弁なだけで…」


__________

 翌日。朝食を食べた後僕たちは、小惑星基地を出るために艦橋にいた。緊張感を持ちたいと言って、ベーグルさんも艦橋に来ている。その心がけはいい。安全装置が何重にもあるとはいえ、一瞬の油断、一回のミスで命を失いかねないのが、宇宙という場所だ。

 時代が変わっても、宇宙は過酷なままだ。


 立体宙図の情報更新音、C7とC8を交互に受信する無線機の切り替え音。小惑星の影から出たことで、広域レーダーを反射した通知音が、一定間隔で聴こえ始める。


「この音、怖くないですか?」


 ベーグルさんが聞いてくる。そういえば近づく時も怖がってたな。


「これが正常に聞こえるってことは、何も問題がないってことです。慣れると安心しますね」


 逆に無音は、周り全部に気を配らないといけないので疲れる。音が一定間隔で鳴っていると、そのリズムがいつもと同じなら問題ない。それはそれとして気は配らないといけないが、体感疲れが減るように感じる。

 小惑星帯から離れるにつれて、レーダー反射の音の間隔が長くなる。そして反対に無線機が、航路情報を流す指定無線チャンネル7を受信し始める。


「追突とアンカー忘れの漂流、平和ですね〜」

「これで平和なんですか…」


 どれも人死にや艦が沈むような事故ではない。積荷が爆散したわけでもない小規模な追突や、ステーションのアトラクターで引っ掛けられる程度の漂流なら、何も起きていないと言っても差し支えないぐらいに日常だ。

読んでいただきありがとうございます。

感想・誤字報告も感謝です。


2025/03/23 投稿

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