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4-8(64) 帰宅と失態

 カフディから出港し、艦が少ない航路に進路を向ける。家のある小惑星帯とは少しズレるが、過疎でも航路が存在する以上、それを外れる艦は目立ってしまう。規則上は問題ないが、他艦やカフディの管制レーダーに見つかって、興味本位で追尾されても面倒だ。


「この辺だな」


 オートパイロットを切り、手動操縦で航路から外れる。宙図を見ているベーグルさんが不思議そうにしているが、今は集中しておきたいから話しかけないでほしい、と言っているから話しかけてこない。


 やがて宙図には、注意信号を纏う小惑星が黄色表示で現れ、艦橋内には広域レーダーを照射された通知音が一定間隔で鳴り出す。潜水艦でソナーを浴びているようで最初は不安を感じるが、僕は慣れた。ベーグルさんは…ちょっと怖がってはいるけれど、言い付けを守って静かにしてくれている。これなら突発的戦闘になってもパニックにならないでいてくれるかもしれない。ちょっと安心。

 本来サルベージ目標との距離を測る用のレーザー測距儀を使い、小惑星スレスレを通過する。目指すは1番大きな小惑星、僕の家。

 速度を落とし、アンカーを打ち出す。そのチェーンを巻き上げるようにクレーターに着陸し、エンジンを切る。


「アンカーよし、艦底異常なし、偽装展開よし、可動デッキ与圧よし…ベーグルさん、着きましたよ?」


 声をかけると息を吐く音が聞こえた。無意識に息を止めてたのかな?


「ここが基地なんですか?」

「えぇ。自分用なんで狭いですし、大した物もありませんが一応。さ、降りましょう」



 玄関で靴を脱ぎつつ、基地の各部屋の与圧をチェックする。維持ローバーも問題なく動いたようだし、時間があるときに新しい部屋でも…あ、部屋が足りない。


「やっべ」

「どうしました?」


 ベーグルさんの純粋な瞳が胸に刺さる。


「あー…受け入れるとか言っておきながら部屋が足りてませんでした。今晩は僕の部屋で寝てもらうしかなさそうです…申し訳ない」

「あっと、えーと…はい、わかりました…」


 これは完全に僕の失態だ。申し訳なくて目も合わせられない…


「採掘機動かすので、明日には部屋を作ります。内装とかはカフディで買うしかないでしょう。統一性を持たせたりするのかなど考えておいた方がいいですね。カタログ自体は端末で見れるので、余裕ある時に見ておいてください。リスト送ってくれたら買っておきます」

「いえいえ、わざわざ買っていただかなくても…」

「僕の落ち度なので、これぐらいはさせてください!ただのコンクリ倉庫を出す訳にもいかないですし、雪風はメンテが必要なんです…」

24年も終わりそうですね〜

読んでいただきありがとうございます。

誤字報告も感謝です。


2024/12/29 投稿

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