4-3(59) 住居
コツコツコツと、薄暗い廊下に足音が響く。ここはカフディコロニーの中枢、管理区域と呼ばれる区画だ。そう気軽に入れる場所ではないが、管制官に頼み込んで事前申請してもらっていたため、僕とベーグルさんはここに居る。
「どこへ向かっているんですか?」
ベーグルさんが不安げに聞いてきた。わかる、この通路は薄暗い上に騒音振動があるから、圧迫感と共に恐怖を感じるのだろう。僕も今でも慣れない。
「先ほど、航海をしない間の住居について聞きましたよね?」
「はい、艦長の家に居候するしかなかったので、つい先ほど許可を貰いました。やはり嫌でしたか?」
「それはむしろこちらが聞くべきことなんですが…まぁこればかりは、僕も今の家を手放す気はないですし…」
ベーグルさんを乗せるにあたって問題になったのが、普段の生活拠点の場所だ。
雪風に住む、というのは論外。いくら部屋を作ったとはいえ、お世辞にも普段の生活に向いているとはいえない。
カフディや他のコロニーという手も無くはないが、カフディは工業コロニーであり、住居はほぼない。そして貸宿も微妙に高い。居住コロニーであれば資金面や内装などを気にする必要はないだろうが、僕の拠点である小惑星から離れてしまう。出動のたびに迎えにいくのは面倒だし、普段は雪風の部屋が無駄になってしまう。
僕の拠点の小惑星は、まぁなんというか…外聞的なものもあるが、それ以前に安全性が不安だ。個人の秘密基地だから、居住地として地図に載っている訳もなく、事故でも起これば外に連絡もできずに…ということが起こり得る。利便性を考えるとこれが一番良いんだが…
だから拒否してくれるかなぁと思いながら「僕の家に住め、嫌なら降りろ、ベイスヘまでは届けてやる」的なことを伝えた。まさか、あっけなく了承されるとは思わなかったよ。にしても、
「やけにあっさりと了承しますね。まるで予想できていたように」
「艦長さんが言っていた、雪風に乗ると男女云々ってのに、住居の話も入っていると思いましたから。覚悟はできています」
そう言って真っ直ぐ見つめてくる。家に住む覚悟ってなんですかねぇ。何かするつもりは全く無いんですが。
そうこう言いながら、住民局の扉の前に着いた。ここで住民局長と面会する。普通の住民届なら局長に会う必要はないが、今回はちょっと特殊だからな。
エピソードナンバー振らないと、自分でも分からなくなることに気がついた。全話分振るのめんどくせぇ…
読んでいただきありがとうございます。
誤字報告も感謝です。
2024/10/08 投稿




