1-5(5)わが家
この小説は練習みたいなものです。急にやめるかもしれないです。投稿不定期、投稿後に編集するかもしれません。その上で辻褄が合わなかったりすることもあるかもしれませんが、読んでアドバイスや感想いただけると幸いです。
「ただいま」
誰もいない通路に顔を出し、つぶやく。当然ながら返事はない。それでも習慣として、帰ってきたら声を出すことにしている。
通路の隅で靴を脱ぐ。艦内もここも掃除ロボの進化版みたいなのが動いているから、汚れなんて気にせず歩いてもいいが、まぁこれも気の持ちよう。
コロニー内は何が落ちているかわからないし、艦も戦闘で壊れれば破片まみれなるだろうから、それらでは靴があった方がいい。心配性ならヘルメットも。
司令部…という名のリビングに行き、ニュースを見る。各宙域、そして大きめのコロニーの事故情報などが表示されているそれは、ニュースというよりは交通情報と言った方が正しいかもしれない。
表示されているのは、どれも72時間ほど前の情報だ。通信や確認などで、遠くの正確な情報はタイムラグが出てくる。だったら全部72時間前のを表示したほうが見やすい、というのが僕の考えだ。
「うーん…霧は大体予報通りか」
最も広い宇宙で事故なんかそうそう起こるはずもない。そして数少ない事故座標とその原因を突き合わせれば、注意すべきことや今後の事故率が、うっすらと見えてくる。
最近はワープ関連の事故、『エーテルの霧』による強制ワープ解除で事故ってる艦が多い。事故は『霧』の移動予報地点で起きている。つまり『霧』はここ数日、予報通りに動いているということだ。
「これが3日前、予報ではもう消えてる頃だけど…」
霧移動予報線を重ねる。いい感じに事故点と重なる。でも僕はその延長線を見る。
「明日一応出ておくか」
カフディや宇宙局掃海課に出された依頼をこなすほかに、デブリを回収することも金にはなる。それに、事故を起こさないうちに漂流艦を回収するのもサルベージ艦の義務だ。
と言うわけで、指名依頼が出なければ明日は予報線の延長に出ることになった。
「いない間は…久々にローバー動かす?あれ最後に起動したのいつだっけ?」
小惑星基地はそれほど広いわけではない。維持管理する人間がいない時、サルベージから帰ってきたらボロボロだったーなんてことが冗談でなく起こり得る。それでも気密を維持するために、部屋数は少なくなっている。ぶっ壊れてもそれが与圧区画でなければ、そこまで損傷はない。
ともかくこの小惑星には廊下の他に、ハッチ、リビング、寝室、倉庫ぐらいにしか部屋がない。
「点検ついでに、新しい部屋の位置でも考えとくか…」
僕はローバーに探査をさせるのだった。
読んでいただきありがとうございます!
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投稿 2023/07/25