1-4(4)秘密基地
この小説は練習みたいなものです。急にやめるかもしれないです。投稿不定期、投稿後に編集するかもしれません。その上で辻褄が合わなかったりすることもあるかもしれませんが、読んでアドバイスや感想いただけると幸いです。
「雪風」は小惑星帯を進んでいた。かなり昔、まだカフディが鉱石採掘を行っていた時に採掘された小惑星の抜け殻で、ここは小惑星の廃棄場だった。採掘加工技術の向上などでまだ利益が出るかも、と一ヶ所にまとめられた小惑星だが、今やカフディは辺境一の工業コロニーとなり、この廃棄場を訪れる者はいない。普通なら恒星に落とそうなどと言う話が出るものだが、航路からも外れているため話題に上がることもなく、まさに忘れられた土地だ。
その小惑星帯、電波的にみるとすごいことになっている。
まずその外縁を覆うように危険信号が出されている。小惑星は暗礁ならば危険信号は灯台の光なので、当たり前と言えば当たり前だ。適切な処理がされていない小惑星には採掘ドリルなどの残骸が残り、AIセンサーが正常な判断を下せなくなる可能性がある。これはこの小惑星帯が処理されない理由の一つであり、二級進入警戒区域である理由でもある。
次に広域捜索レーダー波がある。ロックオンこそできないが多くの目標を遠くまで観ることができるこのレーダーは、小惑星帯付近の艦の様子を監視している。といっても通報されるのは細かいパーツが大量に出た時だけだが。要は小惑星が崩壊しないか監視しているだけのレーダーだ。
さらに軍用短距離捕捉機もある。これは小惑星帯内部に設置され、免許もないのに勝手に採掘しようとするバカどもに警告を発する。簡単に言うとロックオンする。だが対応するミサイルランチャーがこの付近にはないから、完全なる脅しだ。(あったとしてもデブリ問題でそう簡単には撃てないし)
「雪風」は短距離レーダーに映らない様に小惑星スレスレを通過して行く。ミサイルは撃たれずとも捕捉されたログは残る。サルベージを生業としていると狙われることもあるため、極力行動が掴まれない様に心がけている。そうして目指しているのは小惑星帯のほぼ中央にある、中ぐらいの小惑星だった。
その小惑星は、周りと比べてかなり異質だった。何回かの衝突痕、押しつぶされた様にぶつかる他の小惑星。まるで他の小惑星を集めている様だ。「雪風」はその無数に存在しているクレーターの一つに着陸していた。
「アンカー異常なし。艦底異常なし。エンジンカット」
エンジンを切った雪風は、光学スキャンをされない限り発見されることはないだろう。小惑星の一部が動き、光学偽装迷彩も展開された。艦を覆うように展開された迷彩は、電波は透過するが目視では見分けがつかない、カモフラージュ用の迷彩だ。レーダーと光学の両方を使ってスキャンすれば見つかるだろうが、そんなことするもの好きはそうそう居ない。
「雪風」に小惑星に隠した可動デッキを繋げ、僕は艦から降りた。
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投稿 2023/05/09
誤字修正 2023/07/23