2-6(23) 訓練のお誘い
「で、その駆逐艦乗りさんに良い話があるんだが…」
そう言われて、送られてきた資料を確認する。内容は、このベイスヘ海軍基地にいる兵士たちとの、模擬戦の依頼だった。もちろん、海軍からの正式な依頼で、報酬も(命の危険がない物では)かなり良い。
「機材が要るなら、一言声をかけてくれれば自由に使って良い。受けてくれるか?」
「やるとしたらいつ頃になります?」
「そうだな…海軍の標準訓練機材しか使わないなら、今日の14時以降ならいつでも」
今日中にでも始められるのか。でも僕も航海で疲れているし、何より標準機材だと雪風は再現できないんだよな…
「よし、受けます。実物使って仮想環境でやりたいので、参加者の艦と中央コンピュータを繋いでいただけますか?時間はコンピュータの処理空きがある時で良いですが、半日ぐらいかかるかもしれません。できれば明日やりたいです」
「実機訓練か。まぁあの艦は、訓練用の実物大シミュレータじゃ動かせないし、当然か。誰だって慣れたやつ使いたいよな」
「明日なら9時からなら、中央コンピュータも余裕あります」
隊長はひとまず理解を示してくれたし、べシーさんも準備を始めてくれている。
「それで行こう。俺はひとまず通達を出しておく。司令は彼を第3宿舎へ案内しておいてくれ」
「了解です」
隊長さんは明日の演習に参加させる人たちに連絡するらしい。先に会議室から出て行った。で、会議室には僕とべシーさんが残されたわけだが、
「貴女本当にべシーさんですか!?」
「えぇ〜ひどーい。もう顔忘れたの〜」
あっこれべシーさんだ。
「性格変わりすぎでしょう…」
「私だってやる時はやるんだよーん!どうだ!見直したかー!」
見直していたけれど今ので色々台無しになってます。
「で、第3宿舎ってどこです?」
「あっち」
「いや案内してくださいよ!間違いなく迷子になりますって…」
「しゃーないな」
部屋を出て歩き出す。宿舎って言ってもここは宇宙ステーションの一つだし、どっかの居住区なんだろうな。外見えるかな?無理だろうな。窓とかただの弱点だし。
色々考えてきたら、べシーさんが話しかけてきた。
「しっかし本気出すつもりだね〜」
「何がです?」
「とぼけないでよ〜。私は知ってるんだよ?君は普通の艦でも新人相手なら十分戦えるでしょ。何考えてるの〜?」
「秘密です。戦闘前に教えるわけがないでしょう?」
ええ〜と言いい、べシーさんはほっぺたを膨らませている。そんなことしても教えませんよ。僕の戦術は基本的に初見殺しだから、バレてたら意味ないんです。
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2024/02/09 投稿




