1-2(2)大型工業コロニー「カフディ」
この小説は練習みたいなものです。急にやめるかもしれないです。投稿不定期、投稿後に編集するかもしれません。その上で辻褄が合わなかったりすることもあるかもしれませんが、読んでアドバイスや感想いただけると幸いです。
地名や固有名詞はランダムです。特に伏線とかないです。
4次元空間を抜け、「雪風」は通常空間へと戻ってきた。今回曳航している輸送艦は、この付近にあるコロニー「カフディ」へ持っていく予定だ。
「雪風よりカフディ管制塔、接近許可を求める」
『カフディ管制より雪風、貨物艦が出るから少し待て』
「雪風、了解」
「雪風」の何倍もある大きさの貨物艦が、ゆっくりと出てきた。
工業コロニー「カフディ」はその名の通り、工場の多い工業コロニーだ。原材料の搬入、加工品の輸出、そして新造された艦で常に賑わっている。それを事故がないように管制しているのは、ドック付近のAI管制塔による働きが大きい。
『いい加減AIリンクしろよ?お前が来ると休暇がなくなる』
「あいにくその予定はないね」
実は「雪風」はAIによる管制が受けられない。AIの電波は受信できるが、リンクしている動力装置がないからだ。AIは機械語で発信しているため、僕にはその指示がわからない。結果として「雪風」が接岸するときには、普段暇な「人間」に仕事が回ってくることとなる。
『ちくしょう。この湾内で人間が操縦できるルートを探すこっちのみにもなれよ!人間業じゃ無理なルート提示してやるぞ』
「雪風が沈んだらここのデブリは誰が掃除するんだ?」
もっとも管制官も仕事なので、暇を邪魔されたからと言って仕事を放棄したりはしない。それはそれとして他の艦とのやりとりは全部AIが担当するため、管制官と僕はよく冗談を言い合う仲となっている。
『ドック空いたぞ。もう少しで航路も開く』
「早いな。いつもありがとう」
『人間操縦の二隻が邪魔だから、早く処理したいだけさ』
「なるほど納得だ」
その後、「雪風」と漂流艦は修理用ドックに入港した。
コロニーは規模の小さい順に、小型・中型・大型・総合というように分類されている。カフディは大型コロニーで、その理由が修理ドックの存在だ。
宇宙艦には普通、コロニーと直接繋ぐための接岸ハッチがある。そのハッチにコロニーの可動ハッチを繋げることで、コロニーと艦の行き来ができるようになる。空港のボーディング・ブリッジを思い浮かべてもらうといい。ちなみに貨物艦には貨物用の大型ハッチがあったりする。
一方修理ドックは、シャッター付きガレージのようになっている。これはシャッターのようなハッチを閉めることで密閉することができ、与圧や重力圏にまでできるようになっている。理由は簡単で、その方が修理しやすいからだ。
「お疲れ様」
与圧されたドック内、「雪風」の点検をしている途中で声をかけられた。相手はカフディの修理ドック長だ。
「お疲れ様です。サナさん」
「バイタルパート貫通ですって?よく回収しようと思ったわね」
バイタルパートを損傷した艦は、高確率で推進機が異常をきたす。運が悪いと突然爆発し、サルベージ艦が巻き込まれることもあった。
「積荷は?」
「艦内の物で全てです。曳航コンテナは見当たりませんでした」
「ふぅん。じゃあボーナスはなしね」
今回の依頼は「漂流艦と積荷の回収」であった。艦の回収には成功したが、コンテナを回収できていないから、当初の契約金より収入は低くなる。
外れやすい曳航コンテナが漂流艦と共にあることは滅多にない。それが積荷回収が「ボーナス」と言われる所以だ。
「仮点検したら行くの?ゆっくりして行ってもいいのに」
「ありがとうございます。でも行くとします」
「そ。気をつけて」
その後僕は契約金をもらい、「雪風」と共にカフディを離れた。
読んでいただきありがとうございます!
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投稿 2023/03/07
誤字修正 2023/06/27