第7話 改良ミンダナと改良棕櫚の植樹(図あり)
袋を作ろう 2/5
・リンとライトが南の島で伐採したミンダナは40本
外側は海水まみれの丸太状態で 直径10センチ 約2.5mある
6月にリンとライトが実験的に2本の外皮をはぎ取り、ドワーリン達と協力して繊維をとったので 残りは38本だ。
この38本から 袋を作るための繊維をこれからとるのだ。
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・海水を吸って育つミンダナを改良して、試験的にベルフラワーに植え始めたのが7月末。
とりあえず 現在は10本分の改良ミンダナが「根伏せ」されている。
今後毎年の伐採必用量にあわせて ミンダナの数を調整する予定だ。
・改良ミンダナ
①花は咲かず(種もできず) 根伏せで 株を増やすことができる。
一つの根から出る株は一つだけなので、人工的に根の一部を切り取って「根伏せ」しない限り、繁殖はしない=自然繁殖はなし。
②海水を吸って育つ
③根から出た幹は 約半年で、太さ10センチ 高さ3mまで育つ
幹の先端から柳のように細い枝と葉が垂れ下がる
④樹高3m 幹の太さは直径15センチ以上には育たない
⑤ひこばえからは 約半年で元の大きさまで育つ。
伐採前より大きくは 育たない。
・「根伏せ」するのが波打ち際だと 定着させにくいことと
波打ち際で育ったミンダナを伐採すると、丸太が海に浮かんで 外皮が潮まみれになりやすいので
海岸から内陸にむけて 短い運河を掘って その両側にミンダナを植えた。
・ファーゴとデトックスが、10本のミンダナの「根伏せ」を終えたあと、今度は海水を吸って育つ「改良棕櫚」の根伏せを行なった。
この改良棕櫚は、外皮がひげのようになっていて その繊維をぺろぺろめくって利用することができる。
ほうき・たわし・敷物の原料だ。
先端に扇状につく葉もまた繊維質で、これらの葉を葉柄の部分で束ねて 屋根材として利用することもできる。
リンが作ったその他の改良品種同様に 初期にはぐんぐん育つ。
・改良棕櫚の特徴
①花は咲かず(種もできず) 根伏せで 株を増やすことができる。
一つの根から出る株は一つだけなので、人工的に根の一部を切り取って「根伏せ」しない限り、繁殖はしない=自然繁殖はなし。
②海水を吸って育つ
③最初の3か月で3mまで成長しそれ以上丈は伸びない。
上端1m部分に葉柄がつく
棕櫚繊維は、地上より2mの高さの部分から根元に向かって剥ぐようにして採取
④伐採するまで ゆっくりと幹は太くなっていく
伐採すれば もとの太さのまま元の高さまでひこばえが約半年かけて育つが
元の幹の太さより太くなることはない。
この改良棕櫚は 外皮そのものを繊維として利用するため、潮風による塩分の付着を減らしたり、作業のしやすさを考えて、これもまた 波打ち際から短く幅広の水路を内陸側に向かって何本も掘って その水路を囲むように植え付けた。
・・・
改良ミンダナ・パイプ草・改良棕櫚の林をあわせて「海岸林」と呼ぶことになった。
この3種類の共通点は 海水を吸って育ち、成長速度が速く、いずれも加工材料となることである。
いずれも リンが改良した品種なので、一度伐採してひこばえから育て直すことにより、成長のし過ぎを押さえ、環境負荷を抑えるように設計されている。
現在パイプ草は 配管材料として大量生産しているが、配管需要が一段落つけば
海岸の非常用給水機構として その根元に水を貯える性質を活用していく予定だ。
海岸林の商物たちは 根伏せで増やすので ある意味クローン植物のようなものだ、
一応 クローン増殖による脆弱性の増大リスクを考えて、最初に使った根っこの元素材は異なる個体から変性(改良)した。
これらが育った中で優良な個体を 今後の根ぶせで増やしていこうと思う。
100年くらい育てて問題がなければ 自然繁殖の可能性も検討してみようと思う。
(参考)
ミンダナ: 「ベルフラワー最初の一年:尼僧院長の憂鬱」第253話
https://ncode.syosetu.com/n1210go/259/
パイプ草: 同上 第273話 https://ncode.syosetu.com/n1210go/279/