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二年目のベルフラワー  作者: 木苺
第3章 10月:実りの秋と冬への備え
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第63話 発酵チーズ♫

10月のある日


(チーズ作り5/7)

ミル―とマリア達を中心に、リン・メリー・テレサが 新種のチーズ作りに挑戦している間に、

サイラスは 月光の地に牛達と戻り、

ムギは川辺の入植地に帰って ライトが本領に戻ってきた。


リンは 陶土採掘の下見のためのサローヤンを盆地の入植地へ送って行き

大量のバターを持って帰ってきた。


そして暦はいつしか10月に。


それぞれの入植地でもいろいろあった話は 後回しにして、

チーズ作りの話を続けよう。


・・・

「アランとリックが作ったバターがどっさり。

 牛さんと二人の頑張りに感謝ね」

 リンがバターの山をミル―達に見せた。


「これだけバターがあれば 発酵チーズが作れるわ♡」

 ミル―が歓声をあげた。


<発酵チーズの作り方>

1.レンネットを入れて静置するまでは 他のチーズと同じ


2、鍋の中のカートに細かく切れ込みを入れてホエーの排出を促す


3、鍋の中身を布袋の中に入れて絞り、布袋の中に残ったカートを桶に入れて塩をして、何度もひっくり返しながらよくまぜる。


4、2・3本溝を彫った板を斜めに置く、

  板の上に木枠を置き布で包んだだカートを枠の中に入れる


5、木枠の中の布で包んだカートの上に 木枠にぴったりあう内蓋を載せて 重石をかける。


  布の中から流れ出たホエイは 板の上の溝を通って 板の端に置かれた桶に流れ込む


6、翌朝 ホエイを搾り取ったカートを重石の下から取り出して

  表面を削って平にしたのち、カートの周りにぴったりの布をまいて縫いあげる

   「腹巻をしたチーズの子」と言ってリンは笑った。


7、チーズの表面にバターを塗りつける。巻き付けた布の上にもしっかりとバターを塗る

  これを冷蔵部屋の棚に置く

   「表面を削るるのは、チーズの底を棚に密着させる為かしら?」マリア


8、毎朝(7)の表面を清潔な濡れ布巾でていねいにふいたあと、新しいバターを塗りこんで 今度はひっくり返して棚に置く


9、毎朝(8)を繰り返しているとチーズが発酵して表面に硬い皮ができる


10 チーズに硬い皮ができたら 紙にくるんで保存


(このとき使用した紙の製法については また今度。)


・・・


「わ~い この作り方気に入った♫」 妖精赤ちゃんたちははしゃぎました。


「これなら バターが溜まるのにあわせて 一つ一つチーズを作っていけるわね」マリア


「完成したら 盆地に持って行って、バターづくりを頑張ってくれている

 リック達をねぎらおう」リン


「でもバターを作るための生乳の撹拌が大変だから

 バターを使わない作り方はないかしら?」テレサ


「ホエーを絞りとる前に 塩を混ぜるから、出てきたホエーもしょっぱいね」リン


「塩水に野菜をつけて 乳酸発酵漬けものを作る時に 使ってみようかなぁ・・」ミル―


「ホエーの中にも乳酸菌がいるの?」メリー


「ホエーの主な栄養分は、水溶性のたんぱくやミネラル・ビタミン


 乳酸菌というのは ほとんどの野菜の表面にくっついて、

 野菜を刻んで塩水に浸したら、浸透圧で野菜の中のブドウ糖や果糖が塩水の中に滲みだして

 その塩水の中の糖をえさにして 野菜の表面にくっついていた乳酸菌が増殖して 発酵が進んで

 「野菜の乳酸発酵漬物」という保存食になるの。」


「牛乳と関係ない 野菜の表面に乳酸菌がくっついているの!\(◎o◎)/!」メリー


「そうなの。名称だけ聞いてると まどわされちゃうわよね」ミル―


「でも 乳酸発酵漬けに使う塩水は 約3%でしょう?

 ホエーの塩分濃度 どうやって確かめるの?」リン


「だてに乳酸菌と付き合ってきたわけではありません。

 私の舌が 塩分濃度を判定します!」ミル―


「すごい! ミル―の職人技!」その場にいた全員が驚いたり感心したり。


「ホエーでつけた漬物も食べてみたいけど、これくらいの量と塩味のホエイなら

 全員の1食分のスープで使い切っちゃうわ」マリアも 小皿にとったホエイを飲んで言った。


「というわけで 塩味ホエイも有効活用できることがわかって よかった。」リン


「ここにライトが居たら、『塩味のホエイをそのまま飲まずに済んで助かった』って言うでしょうね」メリー


「なぜに ここにライトの話が出てくるの?」リン


「この1年 リンのそばにライトがいない日の方が珍しかったから。

 ついつい 会議の時とか こういう話をしていると、ライトならここでこういうセリフを言いそうだと思っていたら だいたいそれと同じことを同じタイミングでリンが言うんだもの」メリー


「うわー まいった」両手をあげてリンが降参した。


「そういうところもライトそっくり」メリー


「だって 彼とは気が合うんだもの。 

 傍から見ていても そこまで似ているって言われたのは びっくりしたけど。」

リンは恥ずかしそうに笑った。

(参考)

①ローラ・インガルス・ワイルダー「大草原の小さな家」福音館 1972年初版


たしか2000年前後にローラの作品に出てくる料理のレシピ集が出版されたと記憶しています。

残念ながら 買いそびれてしまったのですが・・

私が持っているローラの物語は全部初版なので、翻訳者さんも 原文だけでは当時の状況がわからず

日本語訳に苦労されたのではないかという描写があちこちに出てきます。

 このチーズ作りの場面も、最初に読んだときは 「布をぬう」と「表面にバターを塗る」の部分が

 どういう状況をあらわしているのか 全然わかりませんでした。


ここには 私がチーズを作った時の経験から たぶんこうであろうと推測して言葉を足しております。

 解釈ちがいだったらごめんなさい。


この作品のP203には、カートからホエーを絞り出す時の絵が描かれています。

現代日本でも 波板を使うと だいたい同じような要領になります。

 ホエーが飛び散ることなく 自然に絞れるので 楽ちんですww


②NHKの「今日の料理 6月号」では 毎年 漬物が特集されます

 何年かに一度は 乳酸発酵漬けも取り上げられていました。


 我が家では私が幼い時から、乳酸発酵漬けという名称が出る前から 当たり前のようにキャベツと塩水、白菜は塩だけで、発酵漬けにして食べていました。


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