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二年目のベルフラワー  作者: 木苺
第2章 9月: 新しい入植地:盆地と川辺
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第46話 再び牛さん

9月16日

リンは 約束通り 川辺の入植地に戻った。


家畜の世話を終えたムギ達と リンは再び 避暑地にいる牛や鶏の扱いについて相談した。


「ねえ 今までは、{乳牛→乳製品 肉牛→食べる}という大雑把な考えで とにかく 家畜を集めて飼育することでいっぱいいっぱいだったんだけど、牧場経営という観点からすると 種付け→出産→搾乳のサイクルについてどう考えたらいいの?」


リンの質問を受けてムギも答えた。

「俺も ここに来るまでは世話に追われて『経営』という視点がなかったからな

 今年になってから文字を覚えて ずいぶん勉強したよ。

 ミル―の方が 牛のライフサイクルについて詳しかったんだ。

 だから 概略は俺から説明するけど 最後はもう一度ミル―に確認して欲しい」


「そうなの? ミル―は乳酸菌発酵の専門家だけではなかったのね?」


「彼女すごいぞ。

 牛の乳の質を高めるための飼料の配合から牛のライフサイクルまでものすごく詳しい。

 おれ あの人に出会って、牛の世話に対する考え方が変わったよ」ムギ


要約すると

①小牛の場合

  生後2か月で離乳

  肉牛種なら生後12か月でも種付け可能だが、乳牛種なら13~15か月で種付け

  出産は乳牛で280日後 肉牛で285日後


②すでに乳を出している牛なら

  出産後40~60日で種付け

  出産後280日~300日は搾乳

   乳量のピークは出産後50~110日ごろ(1頭1日に50Lくらい)

  出産前60~90日は搾乳せずに体を休ませる(乾乳期かんにゅうき


だった。


「今 避暑地に居る牛で妊娠中の牛はいないからいつでも種付けにかかってよいな」とムギは言った。


「だいたい乳牛1頭で30人~50人分の牛乳が賄えるのね。

 どおりで 大量に生乳のストックができたはずだわ」とリン


(相変わらず 大雑把だ)とライトは思った。


「このストックを使って チーズやバターを作ったり、出産前の乾乳期の乳不足にそなえるとしても・・

 乳牛の乾乳機をずらすために 今いる乳牛の一部をマジックバックに保管して 生産調整しようかなぁ」リン


「15頭の雌の子牛達の種付け予定がだいたい来年の1~3月

出産予定が10月~12月だからなぁ。


 避暑地に居る乳牛も17頭をマジックバックに移動させて、残り2頭に種付けをして育てるくらいで良いのでよいのではないか?」


「そうね。あっちにあなたが居なくなったから、しばらく牛の数を減らすのも良いかもしれない。

 乳しぼり負担が減れば、ミル―もヨーグルト以外の乳製品の開発に充てる時間が増やせるだろうし。


 子牛達も 成熟したら種付けせずに マジックバックで待機させると言う手もあるわね。


 なにしろ 新しい牛の入荷が見込めないから 今いる牛達を育種していかないといけないから」


「すると 飼料用のエンバクの耕作も減らせるな」ライト


「藁需要を考えると 今年はとにかくエンバクを植え続けたい。」

リン


「はぁ 豆 豆 藁ねぇ」ライトはため息をついた。


「雄牛を食べる話があまり出てこないのはなぜですか?」レモン


「種牛として考えると 肉用・乳牛用・使役用の雄の牛は、それぞれ10系統くらい残したいと思うとね・・今年生まれた14頭の子牛もそうそう食べることができないと言うか なんというか・・・」


「なるほど。」ライト


「すじの良い血統を見極める為にも しばらくはうかつに食べられない。という気持ちわかるなぁ」ムギ


「でも 雄牛が20頭いるのでしょう?」レモンが尋ねた。


「今いる子牛達の父親とは限らないからな、あの20頭は。

 だから 血統の多様性の可能性を考えるうえで

 14頭の子牛はできれば残したいともいえる。

 出産時期から逆算して 今いる雄牛の子と思える子牛1頭はドラゴンに進呈したが」


「リンは 大丈夫なのか?

 マジックバックの中が牛だらけになっても」


「まっ 当面はだいじょうぶよ。」リンは言った。


その後の話し合いで、ムギはひとまず乳牛2頭の種付けの為に避暑地に行き、その間ムギの代わりにライトが川辺に残ることになった。

というわけで ライトの延泊決定!


その夜は リンはレモンと一緒に同じ部屋を使い

ドラは一人で狩りに出かけた。

(参考)

乳牛のライフサイクル

https://www.meg-snow.com/fun/academy/milk/cycle/


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