愛42話 川辺の役割分担
9月14日 入植3日目
リンは レモンに、彼女専用の特別マジックバックを貸し付けた。
これを利用すれば 限られた量ではあるが、マジックバックを使って、
本領と川辺の入植地の間でモノのやりとりができる。
書きつけを袋に入れれば 通信道具としても使える。
もっとも 毎日袋の中に通信メッセがあるかどうか点検する必要はあるが。
(さもないと 届いたメモの存在に気が付かずにメッセージが届かなくなる)
「そのマジックバックの利用が どうしてレモン専用なんですか?
どうして 俺にはマジックバックを貸してもらえないのですか?」ムギ
「役割分担。
入植地の責任者がムギなら 通信及び物資の管理はレモン。」リン
「じゃぁ どうしてレモンしか使えないんですか?
彼女に万が一のことがあったら困りますよ」
「魔法の特性上 特別マジックバックの利用はおひとり様限定ね
保安上の理由から 特別マジックバックの数も増やしたくない。
一つの入植地には1個限定。
それと レモンになんかあれば すぐにわかるから私か神獣の誰かが飛んでくるので心配しないで」リン
「あー それなら心配いらないですね。
でも マジックバックを持ってるってうらやましいなぁ」ムギ
「そういう 正直な発言は歓迎よ。
ただね マジックバックって誰もが欲しがる魔法アイテムで 悪用されると厄介だから渡す人を選ぶのよ。
普通は 責任者が持っていると思って 邪な人はまずあなたを狙うだろうから、あなたには渡せません」リン
「だったら レモンが危ないのでは?」ムギ
「だいじょうぶ あなたが襲われている間にレモンからこっちに緊急通信が入って助けに行くから。持ち主が一番に狙われなければ たぶんそれで間に合うでしょ。
レモンが危機感を抱いて助けを求めれば その思念はちゃんとこっちに届くのよ」リン
「うわー 責任者って おとりも兼ねていたとは。
まいったな。責任重大だ」ムギ
「ということは 羊乳のあまりを預かるために、ドラゴンが残る必要はなくなるということですね」ムギ
「だね。マジックバックで保管して 自分達の保存食にすることもできるわ。
っていうか ほとんどそれが主な利用になると思う。
やっぱり 肉とか乳製品とか生ものの保存用に」リン
「食料自給だから マジックバックで長期保存できるのは助かります」ムギ&レモン
「他 何か気がかりな点は?」リン
「水路の残り半分と エンバク畑の田起こしと 羊のトイレ用の溝堀が終わるまで
ライトに手伝ってもらえると嬉しいのだが」ムギ
「何日くらいかかる?」リン
「今日を入れて2日かな」ライト
「じゃあ 16日の朝のお迎えでいいかな?」リン
「はい」「うん」
「では そういうことで 私は先に戻りますね。
レモン それでいい?」リン
「はい」
リンは ドラと一緒に盆地に向けて飛びたった。