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二年目のベルフラワー  作者: 木苺
第5章 湯気の地 異変!
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第99話 ナイアードの外見

(注)第5章は、第4章の第96話の途中、ビネガーを各地に送り出している途中のできごとです。

10月下旬から 湯気の地の日中最高気温が30度にまで下がった。

ようやく人間の居住可能な状態になったわけだ。


サローヤンからは 盆地周辺の山は、焼き物に向いた土が豊富なので

石灰などの鉱物資源は湯気の地で採掘するにしても、一般的な粘土は盆地で通年作業で採掘した方がいいのではないかという意見書が届いた。


「必要に応じて 土を掘り 作陶し、作陶に必要な炭を焼く方がやりやすい」

とダンカンとサローヤン連名の報告書&計画書が届いた。


それは道理にかなったやり方でもあったので、その案はすんなりと可決された。


一方、湯気の地では、菱の収穫をしなければならないし、現在パピルスの産地は湯気の地だけである。


今年は 家畜達の繁殖場として利用することもすでに決まっている。

繁殖と家畜の世話の担当は、以前の話し合いに基づき、泉の地にいるサイラスが移動して行なう。


本領からは、パピルス・製紙にこだわるジョンと、助っ人としてライトが移動することになった。


・・・・

子供達が 湯気の地を見たいと言うので、遠足かたがた 菱の収穫もかねて

リック以下ディーまでの11人+リン・ライト・ミル―で移動した。


(ビネガーの材料を 川辺の入植地(ムギとレモンのいる所)に配ったあと

 子ども達と一緒に泉の地に持ってきて

 このあと 湯気の地を見た後、本領に戻り

 それから リックを連れて盆地の入植地にビネガー材料を運ぶ予定である)


なぜミル―が付いてきたかと言えば、サイラスが湯気の地の安全点検をする間

ミル―が泉の地にいる牛達の世話をするためである。


ドラも避寒かたがたタクシー業を請け負った。


泉の地でサイラスとミル―が引き継ぎをしている間に、子供達は リンと一緒に 妖精しずくやナイアードたちに挨拶して回った。


本領を発つ前に、お辞儀の仕方などの復習をしていたポロン~アラン達は

妖精しずくが池の中から姿を現した時には、ぎこちなく礼をとった。


しずくは 妖精なので自分の水の上を飛び回ることができる。


だから しずく池やそこから水をひいた第2の池まで案内しながら

鶏たちのことも 楽し気に話してくれた。


しずくの案内に感謝して別れを告げ、 今度はナイアード清水のもとへ。


清水の池の水面が盛り上がるようにしてナイアードが出てきたとき、ほかの者はきちんと礼をとったのに、タッキー・リック・アランは、ポカンと口を開けたまま突っ立て居て、清水から盛大に水を浴びせられて正気に戻り あわててひざまずいた。


ナイアードになると 大きさが人間の大人サイズになり外見も大人っぽくなるが

体全体が水でできているように見えるし 空を飛び回ることはない。


(思春期の男の子には刺激が強かったかなぁ)リンは心の中で嘆いた。

(こんなんで 月光に紹介して大丈夫かしら?

 彼女は すごくデリケートなのに・・・)


リンの心配そうな顔をちらっとみてライトは タッキー達に声をかけた。

「濡れたままだと風邪をひく。

 服を着替えにいこうぜ」


ライトと共に 先に小屋に戻ったライトは少年たちに声をかけた。

「あんなに、何に驚いてたのだ?」


「一瞬裸の女性が水からでてきたのかと思った」リック

「あまりにもセクシーで」アラン


「あのさ ナイアードって すごくデリケートなんだから

 そういう男男(おとこおとこ)した反応は やばいんだって。

 水をぶっかけられるくらいならまだしも 嫌がって逃げだしたら砂漠になるぞ」

ライトは思いっきり脅かすことにした。


「そ それは 困ります」タッキー

そこで ライトは3人に 月光の前では最初からうつむいて ナイアードの姿を見ずにやり過ごせと知恵をつけた。


それでも不安ならと 事前の対処法もレクチャーした。


「ライトさんはいつも そういう対策しているのですか?」タッキーがおそるおそる尋ねた


「ばかか お前。

 そういうことをしなくても良いように 日々精進して鍛錬あるのみだ。

 しかし 未熟者が粗相しそうなときは、そういう裏技を伝えるのも先輩の仕事なの、っていうかそうなっているらしい。」


「らしいって・・」リック

「いつも言ってるだろ。日々学習って」ライト


「そんなことより お前達にとって大事なことは、普通は 妖精もナイアードも人間の前には出てこないが

 リンのいるベルフラワーでは ナイアードやドリア―ドに紹介されることがこの先もあるかもしれん。


 日ごろから彼女たち水や木々など自然への感謝で頭を一杯にして 感謝の言葉を呪文のように唱えておけ。

 彼女たちの気を損じないように 彼女たちに会う前から 常に自然や水への感謝と賛辞を頭に浮かべておくんだ」


「はい」3人は気をひきしめた。


「ライトさんは 森男達のようなことは考えないのですか?」リック


「俺 ああいうの嫌いだから。

 そもそも お前達、腹が減ってるからって 赤ん坊の手から食べ物を奪って食べたり、人を襲って食ってもいいと思っているのか?」ライト


「とんでもない」少年たちは口々に否定した。

リックなど真っ青になって首をふっている。


「だったら なんで お前達の欲望のままに女性の体に触れたり 女性にちょかいかけても 「それは男の生理だから」で済ましていいなんて言えるんだよ!


 お前達 他人が飯を食っているのをうまそうだとかってじろじろ見るような人間なのか?

 お前達 人が食っているまえで よだれを流しながら物欲しそうにじろじろ見たり、その前をうろうろしたり 欲しい欲しいとつぶやきながら絡んで 食い物をねだりとるような人間なのか?」ライト


「違います!」

「そんなゆすりまがいのことしません!」

「そんな連中と一緒にしないでください」

  再び少年たちは全否定だ。


「だったら 女性の前でも 相手の体をぶしつけに眺めたり 赤くなったり青くなったりよだれを垂らすような真似はするな!

 みだりに誘うのも 食い物をねだるのと同じ卑しい行為と頭に叩き込んでおけ!」


「「「はい!」」」

ライトの一喝に 少年たちは 素直に従った。


「でも だったら 一生デートに誘えないのでは?」タッキーがおそるおそる質問した。


「くだらないことに気を回さない生き方をしろ。


 ベルフラワーのモットーは ”人間として生きる力・仲間として信頼できる生き方が重要!”だ。


 男だ女だと考えるよりも前に、人として恥ずかしくない生き方をしろ。

 

 仲間として信頼され、信義のおける人物だと認められてこそ、より親しくつきあってもいいと考える候補に入れてもらえる、そこに男女の区別はない。


 「俺は男だ・あいつは女だ」と勝手な思い込みで話しかけたら100%嫌われるのがベルフラワーでの生活だと しっかりと覚えておけ」


ライトの言葉を聞いて、

「ご教授ありがとうございました。気を引き締めてがんばります!」アランは元気よく頭を下げた。


・・

ライトの説教が利いたのか、ナイアードの月光との顔合わせはすんなりと終った。


もっとも月光は 清水からすでに連絡が回っていたので、

井戸のふちから、首をのぞかせただけだったので 幽霊じみて思わずエレンが悲鳴を上げるという一コマがついたのだが・・・


こども達が ライトに引率されてドラのもとへ行った間に、リンはナイアード達に謝罪した。

「まさか幽霊扱いされるとは 思わなかったわ」月光

「ごめん」


くすくすと清水が笑いながら言った。

「ライトの説教 面白かったわ」


「聴いてたの?」


「だって 気になったんだもの」清水


「私も あれを聞いてたから 首までしか出さなかったのに」

 そういって 月光は 全身をあらわにした。


「ねえ 服をまとった形をとることは無理なの?」


「だって 清水と同じドレスでは面白くないもの」月光


「私達 先に紹介されたほうが ドレス姿になることに決めてたの」清水


「えーと もしかして ドレスデザインを1種類しか知らないと言うオチ?」

リンはたずねた。


「え~~ ドレス姿って何通りもあるの?」月光と清水は熱心に尋ねてきた。


そこで 湯気の地が落ち着いたら ナイアードの参考になりそうなドレス姿を何通りか紹介しに来ることをリンは約束した。

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