第10話 機織り・袋づくり
袋を作ろう!5/5
穀物や鉱物の入った袋というのは 一般に60キロくらいのことが多い。
成人男性一人を担ぎ上げるくらいの力持ちで一人前とでもいう発想なのだろうか?
しかしベルフラワーでは 若年労働者(平たく言えば13才から力仕事に参加)が多く 女性も肉体労働に参加するので、力自慢ではなく 無理なく若者から年寄りまで働き続けられるように、10キロ袋と20キロ袋30キロ袋を基本とすることにした。
というわけで ミンダナ袋の生産目標は
1年間に一人が食べる穀物の量を1石(150キロ)
50人分とすると ベルフラワーの穀類年間必要量は7500キロ
↓
30キロ袋100枚:3000キロ
20キロ袋100枚:4000キロ
10キロ袋100枚:1000キロ の計算で
とりあえず 各サイズ100枚づつ作ることにした。
もし 布が足りなくても 30キロ袋を 最低84枚作りたい。
来年度以後 袋を作り足すならば 10キロ・20キロ袋を基本とする予定だ。
30キロ袋まで作ることにしたのは 一気に大量に縫い上げらない今年の縫製の手間を考えてのことである。
ライトやフォークならば 30キロ袋でも一度に3袋くらいは運んでしまいそうではあるが。
料理をする女性の立場に立てば 10キロ袋を多くしたいところなのだ。
「熱や水のあふれる台所に大袋を置きたくないですしね」マリア・テレサ・アレクシア
男達が温泉でくつろいでいた頃、女性達は 機織りの為の糸かけをはじめていた。
最初から袋づくりの為の機織りと決まっていたので、経糸は、袋に仕立てる布幅きっちりにかけた。
袋の型紙は ジョンが穀類の体積当たりの重量を基に容量を割り出し
それをもとにメリーが型紙を作った。もちろん担ぎやすさや丈夫さを担保するための縫い代も考慮して。
子どもたちは 「レイラの科学教室(結晶)」に参加する一方で 機織りと縫製をがんばった。
最初は6台の織り機で機織りを始めたが、ドーリの指導を仰ぎながらアロウとカックンも織り機を増産し、10台の機織り機が常に稼働する状態となった。
一方 ドワーリンは若手のドワーフ達を指導して足ふみミシンを3台作り上げた。
そこでメリー・ティティ・レモンの3人が付きっ切りで ミシンを踏み始めた。
カタカタカタカタ ちんからばったん ベルフラワーの建物からは音があふれ出すようになった。
特別な役割を持たない男達も 農作業の合間を縫って 女性や子供達に代わって 機織りやミシンふみを手伝うようになった。
「ミシンで 細かい模様が縫えるほど腕をあげて、来年のワッペンの刺繍はミシンを使ってやる!」ポロンとアシカは宣言した。
・タッキーは ダレンについて 靴づくりを学び始めた。
・ドーリは材料を持って月光の地へとドラちゃんに送ってもらい、
サイラスに靴づくりを手ほどきしながら ムギとミル―の靴を作り
サイラスは自分の靴とドーリの靴を作った。
・ドラは再び捌いた牛1頭を運搬料としてもらった。
今回は 抜いた血だけその場で飲んで、残りは修道院へ持ち帰った。
メリーは 運ばれてきた食材を もつ鍋と焼肉&丸焼きにした。
肉の部分は、人間各自1食分づつは焼肉として分けてもらい
残りは丸焼きにしてドラちゃんの食事に。
もつ鍋は 大半をドラちゃんが食べ 人間達は各自1食分を分けてもらった。
人間の取り分は もちろん月光の地にも送られた。
「やっぱり牛はうまい!
しかし運送料が高くなったので ドラゴンタクシーを気軽に使えなくなったなぁ」ムギの実感であった。
「最初のうち 気軽に無料でタクシー利用できたことの方が 驚異なんだよ」サイラス
実は ドラちゃんは ドーリが靴づくりの為に月光の地に滞在している間に
湯気の地の様子を見に行ったり(リンの依頼)、フェンの忠告に従って さらに東や南へと偵察してまわりながら魔獣狩りをして自分の食料確保をしていた。
今までのようにとんぼ返りで 送りと迎えの2往復するのではなくて、目的地と修道院との往復は1回に限り、往路と復路の待ち時間を利用して、自分の栄養と食事量の確保に努めたのである。
ベルフラワー周辺の魔物を狩り尽くして狩りができなくなったうえ、リンのいる修道院を頻繁に離れることもためらわれるので こういう方法を取らざるを得なくなったのである。
しかも 人間が調理する食事に馴染んですっかりグルメになってしまったドラゴンとしては、運搬料としてもらった家畜は 人間におすそ分けする代わりに調理してもらうことに決めたのだ。
※ 土日 朝8時・夜8時の2回投稿
平日 朝7時の1回投稿