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ただそれだけでよかったんだ  作者: モモコル
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 ホームルームはこれから雨が多くなるけど自転車に乗るときは傘は差さずレインコートを着るようにや、今月末は前期の中間考査があるからしっかり勉強しとけといったものだった。

 「一限の数学Bの宿題やった?」と後ろの席の野球部で丸刈りにし顔に思春期の特徴であるニキビができた谷口圭太が聞いてきた、おそらくやってないから見せてくれってことだろう。

 「やったけど、やってないんやったら見せたろか」とノートをだしながら聞くと

 「マジでありがと、昼ぱん奢るわ」と一限開始までの10分間で書き写すためにものすごい速さでシャーペンを動かし始める。

 

 9時開始の一限の始業の鐘が鳴る2分前に「よっしゃー」と写し終えた谷口が満足そうな顔で言いながらノートを前に渡してきたので受け取り、昨日見たテレビの話などを則之も混ざり話していると始業の鐘が鳴り、伸長180近いが型幅は狭くひょろ長い数学担当の猪口先生が猫背気味に入ってきた。

 クラス委員長の「起立、礼、着席」という無機質な号令とともに、誰も椅子を戻したり引いたりせず少しだけ腰を浮かし頭を下げ席に着く。

 それを先生も気にした風もなく「始めます、教科書52ページを開いて」と授業に入っていく。


 授業が終わりまたも無機質な挨拶を行い猪口先生が教室を出ていくと、

 後ろの谷口が「あーベクトル勉強して将来なんの役に立つねん」と文句たれていたので、

 「答えのある勉強ができひん人が、将来答えの無い社会でなんの役に立つんですかって予備校のCMで言ってたぞ」と教えてやると

 「プロになってそいつの10倍子供に夢見したるわ」とかっこいいことを言うので

 「がんばれよ、夏の大会一回戦負けの野球部」といじると谷口の左隣に座っていた、黒髪を胸のあたりまで伸ばし毛先を内側に軽く巻き前髪は斜めに流した岡田加奈が噴き出したので、

 「トイレ行ってくる」と少し顔を赤らめて谷口は教室を出て行った。

 「たけも授業理解できてないやろ」と加奈が少しからかいながら聞いてきたので、

 「医学部志望やから理系にしたけど数学苦手やからな」と苦笑いをする。

 「私もトイレ行こ」と席を立った加奈のスカートは膝上まで短くおられていたので、

 「膝上にしてると怒られんで」と忠告すると、

 「見んといてエッチ」と笑いながら怒ってくる、わざとらしく髪の毛をかけた耳にはピアスが光っている。

 「はいはい」見たらあかんねやったらおるなよと、口に出すとクラス中の女の子に怒られそうな男本位の意見を心で思う。


 昼休みになり谷口が弁当片手に「食堂行こうぜ」と誘ってきたので、

 かばんから財布を取りだして「おう、則之も行くやろ」と則之に声をかけると、

 「ごめん昼飯食べながら昨日の試合の反省会するから、視聴覚室行かなあかんねん」と少し申し訳なさそうにいいながら教室を出て行った。 

 「あたしも一組の美穂と食堂行くからせきとっといてや」加奈が声をかけてきたので

 「いいよ」と谷口が返事をして食堂へ向かう。


 月曜日ということもあり世のお母さんも朝早起きして弁当を頑張って作ってくれているので食堂の込み具合も60%といったところで、ハンバーグとごはんとみそ汁に小さいサラダの日替わり定食と谷口に買ってもらった焼きそばパンを手に四人掛けのテーブルをすぐに見つけることができた。

 「おった、おった、ありがと」すぐに加奈が声をかけながらオムライスのったトレーを手に近づいてくる、その横には肩まで届くかどうかの髪をポニーテールにし僕と同じくらいの伸長で陸上部に入っているため小麦色に焼けた佐々木美穂が弁当を持っていた。一年生の時はこの4人に加え則之も同じクラスだったが、美穂は文系のためクラスが二年から別になった。

 「ありがと、則之はおらんの」と美穂が彼氏の則之について聞いてきたので、

 「視聴覚室でミーティングやって」と返す

 「お互い部活忙しいからお昼ご飯の時ぐらいしか時間ないのにな」と加奈が美穂のことを思って声をかけると。

 「夏休みなら何日か休みあるし、半年記念が8月やからそれを楽しみにしてるから大丈夫」と美穂が笑顔で言う。

 「俺も彼女欲しいな」谷口が口にご飯を詰め込みながらごにょごにょとしゃべるので、

 「それをまずやめないと」と加奈は呆れる。

 


 

 

 


 

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