妖精と恋
語り作者
いつか、どこかの世界…きっと何処かにあった話……………
森の中…ある湖の周りに、妖精さんが居ました。
妖精さんはいつも1人でした…
けれども妖精さんは一度も寂しいと思った事がありませんでした。
人とあったこともない妖精さんは、人のぬくもりを知りませんでした。
だから妖精さんは寂しさが理解できなかったんです。
そして、妖精さんは歌の妖精でした。
いつも妖精さんは歌っていました。
とっても素敵な歌声でしたが、気持が入らず、機械的な歌声でした。
わかりやすく言うと、ボーカロイド…とかの声に近いかもしれません。
そしてこれは…
妖精さんが心を見つけ出すかもしれない…恋の?物語です。
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パシャッ
神秘てきな雰囲気の少女が足を動かして水しぶきを上げました。
ちなみにこの少女が歌の妖精さんです。
何をしていたか…ですか?
あぁそれは…
湖の中に足を入れて足を動かしながら歌を歌っていました。
あれ?森に少年が迷い込んだみたいですねぇ…
妖精さんの歌に誘われているようです……
どんなヒトが来るでしょうかね?
シング視点
歌声が聞こえる…とってもとっても綺麗な歌声……
もっと聴きたいな…そう思った僕は駆け出した。
そこには僕と同じぐらいの歳に見える女の子がいた。
この歌はこの子が歌ってたんだ…
「その歌…素敵だね!」
『あなたは…だれ?』
綺麗な声だった、歌うような声だ。
…もしかしたら…この時から…好きだったのかもしれない……
「僕?僕の名前はシングだよ!」
『そう…シング?よろしく…私の名前??…ない…』
「名前が無いの?じゃあ、僕が付けていい?」
そう聞くと…君は頷いた。
だから僕は頑張って考えた。
「じゃあ、君はフェアリ…フェアリだよ!…気に入った?」
『フェアリ……気に入った。今日から私の名前はフェアリね!』
そう言うと、君は笑った。
その笑顔は、とても可愛かったんだ。
でも、なぜか胸の中が締め付けられるような気持ちになる…
このとき僕は、恋を知らなくて…
だから…この時は、この気持ちが恋だと…気づけなかった。
『シング、どうしたの?』
「もっと、フェアリと仲良くなりたいなって思っただけだよ!」
『そう?それじゃあ遊ぼ?』
「うん…遊ぼうか」
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暗くなってきちゃった…
もっと遊んでいたいけど帰れなくなるのは困るし…
「僕、そろそろ帰らないと…」
『そう?今日は楽しかったよ!ありがとう!
また来てね!次来た時に私の秘密、教えてあげる!』
「うん!また来るよ!」
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「どこ行ってたんだい?10歳になったら、働いてもらうからねっ!」
母は…帰ってきた僕にそう怒鳴った。
僕は今8歳…だからあと二年経てば働き始めることになる…
答えても不都合はないから、正直に答えることにした。
「森に…行ってたんだよ」
「どこの森だい?妖精の森なんじゃあないだろうね?」
「妖精の森には行ったらだめなの?」
「妖精が住んでるって話だ…妖精は危険らしいからね」
「そう、…なんだ…?」
フェアリは、妖精?なんだろうか…
フェアリが妖精だったとしても、きっとフェアリは優しいはずだ。
今日はご飯を食べたらすぐ寝よう…
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また来れた…
『待ってたんだよ?』
「待たせて…ごめんね」
『じゃあ、秘密を話してあげる!私は歌の妖精さんなの!』
フェアリがそう言うとフェアリの背中から光る羽が出てくる。
するとフェアリは…空を飛んだ……
やっぱり妖精だったんだ。
道理で人じゃないみたいに可愛い訳だ……
そしてこんなに、好きなのはなんで…?
え?あれ?今僕、フェアリに、好きって…
もしかしてフェアリーに恋してる?
え?いやいや、フェアリは妖精だよ?
あぁ…でも僕は…
…僕は…フェアリが好きで…これは…恋…なのか…?
『あ…あのね…じつは考えてることが…分かったり…するんだよ…?』
フェアリは、真っ赤になりながら言ってきた。
「ぇ…もしかして…頭の中で…好きって考えてたの分かったの?」
そう言うとフェアリは真っ赤なままコクコクとうなずいた。
僕も顔が熱くなっていくのが分かった。
『ぇ、えっと…私も…す、好き…だよ…?』
そう言うとフェアリは真っ赤になってうつむく。
夢じゃあ…無いよね…?
『夢なんかじゃないよ、ほら…』
そう言いながらフェアリは僕を抱きしめた。
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フェアリ・ナウト視点
今日、シング来るの遅いなぁ…
まさか…何かあったのかも…?
あっ、そうだ!
神様…シングのこと、教えてください!
《いいよ〜教えてあげるね〜今は、病気〜?みたいだね〜》
ど、どんな病気なんですか?
《必ず死んじゃう病気だって〜》
ぇ…シングが…し…ぬ?
《そだよ〜?》
せ…せっかく好きって…言えたのに…
《かわいそうに〜でも勝手に治すと怒られちゃうから〜むりだよ〜》
そ…そんなぁ…
《そうだ、治す以外でなら〜一つ願い事聞いてあげるね〜♪》
それなら…シングの願い事を叶えてあげてください。
《そ?じゃあ聞いてくるね〜》
ありがとうございます。
シング視点
少し熱が出たし…今日はフェアリのとこに行けない…
っ…行きたいなぁ…
《その願い聞きとどけたり〜なんちゃって〜連れてくよ〜》
連れて行ってくれるのか?
《そうだよ?歌の妖精の願い事は君の願い事を叶える、だからね〜》
フェアリが?
《一途な子だよね〜歌の妖精の心は君が作ってくれたんだ〜
だから〜お礼に願える数を〜2つに〜してあげる〜感謝するのだ〜》
………ありがとう
《ちゃんとお礼言えるんだね〜
ちなみに〜病気を治すのは〜無理だよ〜?神様の病気だからね〜》
神様の病気?
《連れてくね〜転移だよ〜じゃぁまたね〜》
そんな気の抜ける声とともに光に包まれた。
神様ゆるふわだな……そんな感想を残して……
フェアリ・ナウト視点
『シング?死んじゃう病気なんだから…居るわけ無いよね……』
シングの幻が見え、思わず自分自身に言い聞かせるように呟いた……
「死んじゃう病気?どうゆうこと?風邪じゃないの?」
『ぇ?シング…シングだ…本当のシング?幻じゃ…無いの?』
「なんで幻だと思うの…?」
『シングって…死んじゃう病気なんでしょ?』
《そだよ〜?あと〜1週間ぐらいだね〜》
「え…⁉ど、どうゆうこと⁉」
《あれ〜?言ってなかったっけ〜?》
「聞いてないよ!」
《まぁ説明するね〜神様がじきじきにかけた病気だから〜》
『だから?』「だから?」
《あ〜ハモった〜面白いね〜》
『早く言ってください!』
《分かったよ〜だから〜勝手に治すと怒られちゃうんだよ〜》
「それで?」『それがなんですか?』
《怒ると怖いから〜できないよ〜あと〜2つ目のお願いは〜?》
『2つ目のお願い?なにそれ?シング分かる?』
《フェアリの心を作ってくれてありがとう〜のお願いごとだよ〜?》
『心をシングが作った?』
《土台は私が〜作ったんだけどね〜それで願いは〜?》
「フェアリと最後まで一緒にいたい」
最後まで一緒にいたい、なんて…嬉しいなぁ…
《ふふっ分かってたよ〜君はそう言うと思ってた〜
じゃあ〜誰にも邪魔されないように〜してあげるね〜》
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一週間たつと、シングは…死んだ…眠るように死んで逝った…
まるで一つも思い残すことがない…と言いたげな穏やかな顔をしながら
ねぇ、きみは…そこのきみだよ?この最後で、良いと思うかな?
ねぇ、どう思う?
この悲しい悲しいお話をどう思う?
これで、もう…この世界のフェアリの心は死んでしまった。
だから、別の世界線だけでもフェアリが幸せに…なれたらいいなぁ?
ねぇ、君もそう思うでしょ?