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自己紹介

 (ところで名前、なんていうんだ?)

 (私ですか? アリアです。そちらは?)

 俺か......適当に作るか。

 残っている知識によると寄生虫はパラサイトと言うらしいので。適当に文字をとって......


 (俺は......ラトだ。)

 (ラトさんですか......ところでどういう状況なんですか? ラトさんは何処にいるんですか?)


 ごもっとも。

 (俺は......アリアの頭の中にいる。寄生している状況だ。)

 (え? え? え? 寄生している? つまり私の頭の中に住んでいるんですか? 私、死んじゃう?)

 どんどんネガティブな思考に陥るアリア。


 (落ち着け......アリアはおそらく死なない。)

 (え、でも寄生されると死んで怖い化け物になってしまうって聞いたことが......。)

 この世界にはずいぶんと物騒な某ゾンビウイルスばりの寄生虫がいるらしい。って俺もその一員っぽいけど。


 (落ちついて自分の体を見てみろ。傷がないだろ?)

 (あれ......ほんとだ......。なんでですか?)

 (それは俺が治しておいた。)

 (そうですか......ありがとうございます。)


 じゃあ落ち着いたところで交渉だ。

 (俺をアリアの中に居させてもらえないか? もちろんそれなりの対価は払う。君は何の仕事をしているんだ?)

 まずは体内に住ませてもらうためのお願いだ。


 (えっと死なないならいいですけど......。仕事は冒険者です。まだなり立てですが......。)

 ずいぶんあっさり了承してもらえた。

 (さっきまで倒れていたのはなんでだ?)

 (ちょっと採集依頼を受けて来たんですが......奥に入りすぎたみたいで魔物に襲われて逃げたんですが途中で気を失って......。)

 (なるほど......ならば俺は家賃代わりに強い体と相談役。君が気を失った時の体の守りを提供しよう。後は応相談ってことで。)

 (え? 強い体ってどういうことですか?)

 (こういうことだ。)

 アリアの体内に伸ばした何か......もういいやこれからは糸って呼ぼう。糸を通して筋肉を俺の糸に変換、アリアの神経を接続した。ついでに骨格の中にも伸ばして固め、強度を強くする。

 (えっ!!?? だだだ大丈夫なんですか!?)

 (落ち着け、死にはしない。)

 急に血管のようなものが浮かび上がって細くなったり太くなったりしだした自分の体に驚いているアリア。


 (なんかお腹がすいたんですが......本当に何しているんですか?)

 おっと思ったより消耗したらしい。補給しなければ。

 (ちょっとそこの木に手を当ててくれないか。多少びっくりするかもしれないけど離さないでくれ。)

 (......? はい。)

 

 アリアの手が触れたところから一気に糸を伸ばして木に取り付く。


 ビキビキビキビキ


 今回はアリアの腕にも脈動する血管のようなものが浮き上がり養分を全身に供給していく。

 (あれっ? 何だか空腹が無くなってる......。)

 (終わった。確認してくれ。筋力がかなり上がっているはずだ。)

 (え?)

 不思議そうな顔をしながら腰に刺した片手剣を抜くアリア。

 「わぁ......。」

 (すごい軽い......。)

 

 (わかったか?)

 (すごいですね......。)

 (それだけじゃない。一度その場で軽くジャンプしてみろ。)

 (はい!)

 ダンッ

 地面に足跡を刻んで宙に跳び上がるアリア。


 (はぃぃぃぃぃぃぃ!!??)

 軽く3mは跳んだだろうアリアは驚き、

 (落ちる落ちる落ちる落ちる~。)

 落下の瞬間に恐怖で固まってしまった。このままだと危ない。


 (よく見てろ。)

 一時的に肉体の主導権を貰い、しっかり足首と膝を使って着地させる。


 「は、はひぃ。」

 ......ちょっと恐怖で放心状態になってるアリア。少しやりすぎたか。


 (お~い。大丈夫か?)

 

 (......一応大丈夫です。)

 (まあ、こんなこともできる体だ。どうだ?)

 (確かにいいですけど......最後のアレ、どうやったんですか?)

 (さっき対価として君が気を失ったときの体を守るといっただろ? あれだ。今君の体は俺の肉が多分に混じった状態で俺も動かせるんだ。)


 (なるほど......すごいですね。)

 (あとは話し相手ぐらいしかできないし、少し燃費は悪くなるがな。宿主に死なれても困るしさっきみたいにできる限りアリアのサポートをしていく。)

 (はい! ありがとうございます!)

 (これからよろしくな。)

 (よろしくお願いします!)


 そうして俺は一生の相棒兼宿を手に入れたのだった。

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