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青銅の鍛冶師  作者: 藍沢霧耀
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三話 鍛冶師バル

続きが思い浮かばず停滞して申し訳ない....

次辺りから冒険に出れればなと

主人公たちの生い立ちについても後々物語内で語れたらなーと思っております!

アノンバート前哨都市の西端、通称商業地区と南端の冒険者街に挟まれるようにして市場は形成されている。その二つに挟まれる性質上、扱うものは冒険者たちの武器、ポーションから保存食や日用品といった冒険に必須となる商品が扱われている。

この都市において冒険者とはギルド専属の傭兵であり、身元のはっきりしない荒くれ者の集団である。アノンバートに住む人にとって必ずしも良き隣人といえるわけではない。それゆえ生活圏は南北に分かれ冒険者たちは南側を中心に生活している。

そしてこの街に鍛冶師として居住しているバルの家は、北側にある。

冒険者街の宿屋に居を構えるシャミイやマッシュと違い冒険者門は南にしかないためバルが事前調査を終えて帰るのは、朝出れば夕方、昼に出れば夜遅くになる。

そんなわけでは半日を事前調査に費やした俺は、家の花壇下の穴に手を入れ見つけた鍵で自宅の扉を開けた。

「あ、お帰りバルにい。マッシュさんもう来てるよ」

玄関を入ってすぐの部屋からリ-スの声がした。すすの付いた顔で昼届いたであろう武器の製造依頼を仕分けているらしい。何度か顔をぬぐったのか民族化粧のようになった顔になっていた。

「庭か。俺宛の依頼は一週間受けれないからその旨師匠に伝えといてくれ」

「はいはーい」

玄関から顔を出して庭に声をかける。

「で、マッシュ!剣もって工房にこい!」

「やっと帰ってきたのか!道草がほんとに好きだなお前!今日は森のりんご亭でパイでも食ってきたのか!?」

帰りが遅くなった理由をばっちり言い当てられたが気にせず工房へ向かう。

リースが使っていた痕跡がそこかしこに見られたため炉の近くに置かれたふいごや鎚を部屋の隅によせ壁の道具箱から白のチョークと赤い液体の入った小瓶を取り出す。

広く開けた工房の真ん中に円を描いているところでようやくマッシュがやってくる。

「すまん、待たせたな」

本当に申し訳なさそうに言うマッシュだったが反省していないのはこれまでの経験で分かっている。円の外に剣を置いて窓の覆いを占めるように指をさす。

そのままチョークの音がカツカツと床に響き、十分ほどで工房の中央に魔法陣の構築が完了した。

部屋の隅まで下がり術の行使に問題の出る綻びがないか確認する。

「ほんと、お前のこの作業を見るたびに鍛冶師が本職じゃないって痛感するよ」

マッシュの言葉は間違ってはいない、が正しくもない。

「鍛冶師も本職だ」

バルはわざと不機嫌そうな声を出した。確かに鍛冶を一筋でやっているリースたちのような鍛冶師からすればバルは間違いなく少数派だろう。だがゼロではない。剣を手に取り見分を始める。刃はどれだけかけているか、研ぎ方にムラはないか、ひびが入っていないかどうか。

「手入れは申し分ない。ただ少し術式に綻びがあるからその調整と研いですり減った分の刃の補充と整形をする感じだな」

どうぞ勝手にやってくれとばかりにマッシュは肩を竦める。

それを見て柄を外して刃だけを魔法陣の上に置き、赤い液体を垂らす。粘度の高い液体が刃に落ち魔法陣内に広がる。バルはその様子を見ながら口を開いた。

「開け、英知の扉。我は探求者、万象を司る神サルスの英知を簒奪せんとする盗人である」

言葉に呼応するかのように液体が光を放つ。

「曲がれ、曲がれ、曲がれ。その形は真にあらず。さらに厚く、さらに鋭く、鉄より強き刃なり」

剣が亀裂音を発しながら厚みを増し、液体の量が減る。

「刃は心に力を秘める。その心は鋭く、心を通じその身もさらに鋭さを増す」

ほとんど液体の消えた魔法陣上の剣に網目状の光が走り一瞬だけ瞬く。

「さあ鋭く、硬く、柔軟であれ。斬ることこそが汝の悲願。その願いを叶える力を探求者の名において授けよう.......エンハンス・ブレイド」

最後の一言とともに光は消え、チョークで書いた魔法陣も消滅する。

「んで、終わりですかい錬金術師どの?」

そう、マッシュがさっき言ったようにバルの本職は鍛冶師だけではない。全ての物質の謎を解明し、不死を再現しようとした魔術の系譜である錬金術の使い手でもあるのだ。

「外では言うなよ。一体どんな奴に目を付けられるかたまったもんじゃないからな」

「わかってるよバル。じゃあ剣は返してもらうぜ」

「あぁ、また明日クエストボード前で」

調整の終わった刃を柄にはめ、バルをねぎらった後マッシュは足早に冒険者街のほうへと帰っていった。

そのまま工房でぐったりと横になったバルは魔力消費の疲労からくる眠気に身をゆだね小さく燃える炉の焔に顔を照らされながら次の朝を迎えるのだった。



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