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寝取り勇者と寝取られ狩人  作者: 山口みかん
第一章 はじまり
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第09話 犬耳少女

※陵辱未遂注意

そういうのが苦手な方は後書きへどうぞ。

ダイジェストでお送りしております。

「あれが地竜の住む山か」


 山のふもとにある町の広場の隅にある椅子に座り、山を眺めながらベアの炙り肉を挟んだ堅パンにかじり付き、屋台で買った果実水で流す。


 聞いていたよりもっとゴツゴツとした岩場に覆われた険しい山だった。

 登る前の準備はもう少し慎重にした方がいいな。

 下手すりゃ地竜の前に山に倒されちまう。

 岩陰の死角も多そうだ。

 不意打ちに注意だな、こりゃ。


 それから一時間ほど、情報を集め、矢を補充し、携帯食を少し買い込んで準備が整った。


「よし行くか。待ってろよリスティ」


 山登りを始めて一時間。

 情報に寄れば山頂付近…… ここからも少し見える大きい岩が特に集まっている場所。

 あそこで地竜の目撃情報が多いらしい。


 他にもいくつかポイントを教わってきたので、それらを一つ一つ確認しながらあそこを目指す。


「しっかし、でかい岩が多いな。思ったより視界を塞ぐわこれ」


 森とは違う視界の塞ぎ方。

 特に巨大な岩は、そこに地竜が隠れていてもおかしくないと思わせるほどの陰になっている。


 地竜の主な攻撃は尻尾による打撃と噛みつき。

 稀に炎を吐くらしいが、前兆から実際に炎を吐くまでの時間が若干あり、知っていれば脅威にはなり得ないらしい。


 だとすれば、物陰からいきなり噛みつかれたり、尻尾で吹き飛ばされなければなんとかなるな。


 慎重に歩を進めながら更に一時間余り。

 研ぎ澄ましていた聴覚に微かな声が聞こえてきたような気がした。


「(いやっ、やめっ……)」


 なんだ? 確かに聞こえた……よな?

 辺りを見回すも岩ばかり。

 耳を澄ますもその後は何も聞こえてこない。

 なんだったんだ? 


     ◇      ◇


「おいっ、腕は縛ったか? 終わったら猿ぐつわ噛ませ、掌じゃ食い千切られる」

「んーーっ、んー、んーーーっ」


 四人の男に押さえつけられたまま必死の抵抗を続ける女。

 見目からして少女と言える年か。


 その小柄な体格に似合わぬ力は、大の大人四人がかりでも押さえつけるのは至難な状況だ。

 それでも腕を縛られ、両足をそれぞれ折りたたんだ状態で縛り付けられ、必死の少女の抵抗空しく少しずつ動きが封じられていく。

 

 その少女が大きく振り、激しく暴れる髪の隙間から垣間見える側頭部には耳が見あたらない。

 それもそのはず、もっと上の方に三角の、垂れていて外側には短い毛の生えた耳がある。

 そして、噛まされた猿ぐつわの隙間には鋭い牙も見えた。

 更にもっと特徴的なところでお尻にふさふさとした尻尾が生えている。

 現在進行形で襲われているこの少女は犬の獣人らしい。


 少女は縛られた腕を解放しようと目一杯力を込める。

 縛っている紐が肉に食い込み裂けようとも構わずに。

 だが……

 

「はっはー、無駄だぜ、もう諦めな嬢ちゃん。嬢ちゃんがいくら強かろうとそいつは切れねぇぜ」

「そうそう。嬢ちゃんみたいな立派な胸は男が楽しむためにあるんだ。これから何度も経験するんだからな。今から練習しといた方がいいぜぇ?」

「俺らが教えてやるよ」

無料(ただ)でな! 俺らやっさしぃぜぇ。ぎゃははははは」

「ついでに俺らのペットになるかーい? 可愛いワンちゃん」

「そうそう、毎夜いい声でなかせてやるぜぇ?」


 下卑た男達の身勝手な言い分は、少女にとって呪いの言葉でしか無い。

 目に涙をためながら、出せない声を必死にあげて今、唯一動かせる頭を横に振り続ける。


 いやだ、いやだ、いやだ。

 なんで? なんでこんな。

 初めての冒険で、彼らに頼られる言葉を貰って、期待に応えて頑張らないとって自分に誓って。

 なのにその彼らがこんな……


 胸当ての防具はとっくに取り外されている。

 上着を切り裂かれ、その下に着込んでいたチェインメイルも今、脱がされた。


「さすが慎重に防具を着込んでたな」

「俺らには通用しなかったけどなー、無駄な努力おつー」


 そして保護用のシャツを捲り上げられ、ブラを剥ぎ取られ……


「やっぱでけぇぞ」

「おほっ、ぽよっぽよ。張りがすげぇな」

「おおぅ……この手触り」


 触んな、くそぉ!!


 抑えつけている男は二人で充分になり、残った二人は少女の胸を好き放題揉みしだく。


「細っせえ腰をそんなによじったら折れんじゃね?」

「なぁ?」


 少女の必死の抵抗をあくまでも茶化して笑う男達。

 悔しさにたまらず涙が零れる。


「じゃ、宝箱を開かせて貰うぜぇ」


 動きやすさと羞恥心から選んだ、ミニスカートとスパッツ。

 それがこの男達により強い扇情を煽っていたことを少女は知らなかった。


 スカートは破り取られ、スパッツもナイフで切り裂かれ、更に大きく足を広げられる。

 少女の大事なところは今、男達の目の前に完全に晒された。


「お宝はっけーん」

「ここは体格どおりちっせぇのな」


 そして男が少女の穴に人差し指を第二関節まで挿し込んだ。

 

 んんーーーっ!!


 少女の声にならない叫びを無視して男は容赦なく指を動かす。


「ああん? 濡れが足りねぇな。これじゃ俺のでけぇのが入るか?」

「無理矢理突っ込んじまえばなんとかなるって」

「それもそうか」


 仲間の言葉に納得した男は自分のズボンを下ろし、大きくそそり立ったものを目一杯足を開かせた少女の穴の手前で見せびらかせる。


「これが今から嬢ちゃんのここにはいるんだぜぇ? よーく見てな」

「お嬢ちゃんは初めてかな~? 今日が開通記念日だな。日記につけとけよー?」


 少女はそのおぞましい光景に目を見開いた。

 夢なら覚めて欲しい。

 だが現実は少女の望みをあっさりと打ち砕こうとしていた。


 その時……


 ザンッ!!


 少女に覆い被さっていた男の肩をかすめ、少女の頭のすぐ横に短剣がつき立っていた。


「なんだ!?」


 肩から流れる血を気に留める余裕も無く、男達は辺りを見回す。


「冒険の打ち上げ祝勝会やってますって感じじゃ無いな、あんたら。その子を離せよ」


 声の元は男達の背後の大きな岩の上。

 彼女を救うヒーローがそこに居た。


「最初に聞こえた声を頼りにここを探し当てるのは苦労したよ。ま、その僅かな手がかりから獲物を追うのが狩人だけどな。おまけに、この近くまで来たら必死なその子の気配がしたからそこからはすぐだったぜ。よく頑張ったなお前」


 無駄じゃなかった。

 諦めないで抵抗し続けたことは無駄じゃなかった。

 さっきの涙とは全く違う、温かな涙が彼女の頬を伝う。


「おい、そこの汚いケツ出してるお前。その子から離れろ。さもなきゃこのままこいつを撃ち込むぞ。その子を抑えてるお前らもだ」

「糞ガキぃ!!調子に乗ってんじゃねぇぞ!」

「おいおい、そんな態度に出られたら、ついこの手を離しちまうぞ?」


 アスベルは弓を引き絞る右手をチラリと見る。


「いや、ちょっと待て。冗談だって、な? おい、お前ら」


 男は冷や汗を流しながら少女から身体を離す。

 他の三人もそれに従った。


「よし、そのまま動くなよー? よっと」


 アスベルはそのまま岩から飛び降り男達の目の前に立った。


「さーてどいつから射貫いてやろうか?」

「バカかお前、弓使いのくせにそんな距離に、なぁ?」

「ああ、俺らの間合いだ…… ぜ!!」


 男達がアスベルを囲い、飛びかかろうとした瞬間。


「そうかよ」


 ひゅん。

 アスベルはつがえた矢を撃ち出すこと無く、右手で矢をつまんだまま弓から外し――

 男達の顔の高さで横に半円を描くように大きく振った。


「んがっ!?」


 四人の男達の顔が横一文字に矢尻の刃で切り裂かれ、血を吹き出す。


 その隙にアスベルは男達に身体を低くして飛び込み、リーダーと目した男の鳩尾に肘を撃ち込んだ。

 ……まだこっちのターン!

 その身体を低くした状態からそのまま身体を更に沈ませると、足から全身のバネを大きく利かせて飛び上がり、隣に立っていた男の顎に膝を叩き込む。


 残り二人の男は、そこでようやく気を取り戻す。


「くそガキがぁ!!」


 そして、二人はそれぞれ別の方向に動き、アスベルを前後に挟み込んだ。

 アスベルはそれを見て、ちらっと奥を確認するとにやりと笑みを浮かべ、正面の男を無視して背後の男にターゲットを絞って飛び込む。

 もう一人の男に完全に背を向けて。


「血迷いやがった! 後ろががら空きだぁ!」


 背後の男がアスベルに襲いかかろうとしたその瞬間。


「いやぁああああああっ!!」


 気合いのかけ声一閃


「がっ!?」


 男の背中が焼けるように痛い!


「なんだぁ!!?」


 振り向くとそこには、さっき投げられた短剣を手にし、目に怒りの炎を宿した少女が立っていた。

 この剣で両手を縛っていた紐を切り自由を取り戻して今、男の背中を切り裂いたのだった。


「こっの、糞アマぁ!」


 傷は深いが致命傷には至らず、男は目を血走らせて少女に迫る。

 少女はその男の心臓を狙って一突きにしようとする。

 その時……


「殺すなぁ!!」


 向こうから自分を助けてくれたヒーローの声。


「でもっ!」

「いいから殺すな!任せろ」


 くっ。

 そこに男が飛びかかってくる。


 ごすっ!!


 そして彼女は、その男のこめかみを右フックで打ち抜いたのだった。


「おっしゃ。流石」

 

 いつの間にかもう一人の男を制圧した彼女のヒーローが歩み寄ってきて……

 くるりと背を向けた。


 なに?


「あーその、なんだ。こいつらので不快かもしれないが、そこに落ちてるズボン拾って履いてくれないかな。目のやり場に困る」


 彼が背を向けたまま、人差し指で私の下半身を指さしていて……


 え?


 そして自分のそこが、スカートを破り取られ、スパッツの布も破られて丸見えだったことを思い出す。


「きゃあぁあああああああ」


 …………


「ごっ、ごめんなさい。それと…… 助けてくれて、ありがとう」


 危機一髪だった。


「もう少し早く探せたら良かったんだけどな」

「ううん。助かったよ。本当にありがとう」


 ズボンに開けた穴から出したしっぽがパタパタと揺れる。


「俺はアスベル。人間族だ。君は犬の獣人族かな?」

「うん。あたしはハーミー。見たまんま犬系獣人だよ」


 そしてあたしはアスベルと今回の事を話した。


 初めて村を出て冒険者としてパーティーに加わったこと。

 獣人の能力を頼られて嬉しかったこと。

 高い感知能力を活かして斥候として先頭を歩いていたらいきなりパーティーのメンバーにいきなり後ろから襲われたこと。

 もう諦める寸前だったこと。


 その間、アスベルは黙って話を聞いてくれていた。

 そしてあたしの話しが終わると彼はこう言ってくれた。


「そうか、俺が今日ここに居たのはハーミーを助けるためだったんだな。一日早くても、一日遅くても駄目だったもんな」


 そして、そうかフォレストベア退治は時間調整の前振りだったんだな……

 とか言っている。


「そっか、アスベルがフォレストベアに寄り道してくれたお陰で助かったんだ。そういえば、アスベルはどうしてここに来たの? やっぱり鉱石集めの依頼?」

「ん? いや、地竜を倒しに」

「地竜!?」


 地竜と言えば、この山に住む竜種。

 先に見つけたらすぐに逃げろ、先に見つけられたら諦めろって言われてるやつだ。

 

「なんでそんな危険な?」

「成人の儀でね――」


 なんでも、アスベルは成人の儀の後、幼馴染みの人との結婚を控えているのだそうだ。

 その為に地竜退治が勇気の証明として必要なのだと。


「凄いなぁ、それで地竜退治なんて。あたしだったら絶対無理って思っちゃう」

「そうでもないさ。調べたところ、遠距離から通用する武器があればさほど難しくは無いみたいだしな。後は物陰から不意打ちさえくらわなきゃなんとかなるさ」

「凄いんだ、アスベルって」


 尊敬する。

 そして、正直、彼女さんが羨ましい。


 そうは言っても竜種。

 死が隣り合わせにある事は間違いない。

 それでもアスベルは戦うんだよね。

 その彼女さんの為に。


 だから羨ましい。

 そんなに愛されてる彼女さんが。


 いいなー

 あたしにもそんな彼氏が欲しいよ。


「とにかく山を下りよう」

「え? 地竜は? いいの?」

「ハーミーをその状態で帰せるかよ。きちんと町まで送り届けるぞ」


 あ、駄目だ。

 尻尾が揺れてる。

 嬉しさが隠せないのが犬系獣人の弱点だなぁ……


 やっぱり格好いいな、アスベル。


「ありがとう……」

「行こうか。さて、あいつらも連れて行くか」


 そう。あいつら。

 あいつらは、アスベルの提案で冒険者ギルドに連れて行くことにした。

 パーティーメンバーを襲うということは、冒険者ギルドの規律に致命的に反する事らしい。


 鉱山奴隷に落とされて、全財産没収。

 奴隷売却益と没収財産売却益、その半分にあたる金額が賠償金としてあたしに支払われる事になるのだと。


 アスベルは言った。


『襲われて嫌な思いして、単に殺して終わりじゃハーミーが救われないだろ。鉱山奴隷なら散々苦しんで死んでいくし、お金も貰える。それでやっとハーミーの受けた心の傷に少しは釣り合うもんさ』


 なのだと。


 それでやっとあたしは心が軽くなった。

 危なかった。

 アスベルがあの時止めてくれなかったらあたしは救われないまま、これから長い時をずっと生きていく羽目になったかもしれない。

 彼に救って貰ったこの魂。

 いつか彼の為に使えれるように大事にしよう。

 こうして犬系獣人の心意気があたしの明日への一歩を踏み出させた。

※ここまで読み飛ばされた方にダイジェスト


アスベルが竜を退治しに一人で山登りをしていると、途中でパーティーメンバーの男達に騙されて陵辱される寸前の犬系獣人少女を発見しました。

なので、その汚ない男共を蹴散らして獣人少女からの尊敬を獲得。

今回は竜退治を中断して、少女を連れて町に戻りました。

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