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チョコレート・デイズ え?知らないよそんなの?

作者: 暁巳 蒼空
掲載日:2018/02/14

今日が何の日か、みんなわかってるな?そうだ、今日はバレンタインデーだ。


 全世界の男たちが決戦へとその足を進める日だ。




 朝五時。目覚まし時計が鳴り響く一時間以上も前から目が覚める。今日は決戦の日だ。素早くベッドから飛び起きると、カーテンを開けて朝日を浴びる。今日はいい日になりそうだな。


 まだ眠っているであろう両親を起こさないように静かに廊下へと出ると、忍び足で風呂場へと向かい朝からシャワーを浴びる。今日は決戦の日だからな。このくらいの気遣いが大切だ。




 朝六時。いつの間にか起きてきた母親が作る朝食のいい匂いが漂ってくる。その匂いに誘われてダイニングルームへと足を運ぶ。


「あれ?朝シャワー浴びたの?今日何かあったかしら。」


 振り向きざまに母親からのアタック。だが、その程度は想定内だ。ライフでは受けないぜ。


「昨日夜遅かったから今浴びてきたんだ。」


 あらそう。とだけ言うと、配膳の準備に取り掛かる。そんな母親を眺めながら朝食の席に着き、着々と進められる朝食を待つ。


 朝食が並びきったころになって、ぴっちりとスーツを着込んだ父親が現れた。特に会話することなく朝食が始まる。並べられたトーストたちを秒速(当然そんな速さではないがそう思えるほどの速度)で片付けると、急ぎ足で部屋へと向かう。


 部屋に入ると、この日の為にアイロンをかけておいた制服を着る。しわひとつない制服を確認すると、鏡の前に向かい、髪形を整える。よし、ばっちりだ。これで問題ない。




 七時。出かける準備を整え切った状態で玄関に向かうと、わずかに開いた扉の隙間からすまし顔でコーヒーを飲んでいる父親が見えた。

 何も見なかったことにして外に出ると、迷うことなく駅に向かう。


 予定の電車に乗ると、三駅目で降りた。これが学校の最寄り駅だ。そこからおよそ十分ほど歩くと学校だ。



 七時ニ十分。我らが学校、そして本日の戦場に到着。普段とは違い、禍々しい空気が校舎を包んでいる。気合を入れなおすと校門をくぐり抜け、自分の靴箱へ直行する。

 到着。眼を閉じて深呼吸をすると、靴箱の扉を開ける。いざっ!


 ガチャ。


 扉が開く。自分の靴が見つかる。以上、変化なし。

 無言で扉を閉じる。大きく息を吐くともう一度開ける。やはり変化なし。靴がワンセット。


 いや、大丈夫。こんなところにあるとか微塵も思ってないから。本命は机の中だから!


 教室に踏み入れる。集合している男子の八割が無言で俯き、椅子に座っている。どうやら撃沈したようだ。残る二割は女子と楽しそうに話している。勝ち組ども、リア充ども死ねばいい!


 できるだけ自然な流れで席に座り、机の中に手を伸ばす。空振る。手に触れるものは何もない。気を取り直してもう一度。同じく空振る。最終確認、もう一度。結果は変わらなかった。チクショウ!負け組確定じゃないか!!


 おい、やめろ八割ども!優しい目を向けるな。笑顔になるな。嬉しそうに肩を叩くな!


 内心そう思いつつも無言で席に座り、俯く。なんて悲しい光景だ..........。




 八時。およそ四十分が経過。

 その間、優しい言葉が五回以上、歓声とともに奇声が上がったのが二回。直接女子からもらっている光景が六回ほど。残る男子は一人だ。


「はよー。」


 そいつの登場だ。眠そうにしながらも、目だけはチョコを狙っている。

 最後の一人が机に手を突っ込む。


「あったーーーー!!!!!!」


 そいつから上がる歓声。同時に広がる殺気。だが、この場には女子もいる。殺気が蔓延するだけで収まった。よかったな、明日は覚悟しとけよ?




 八時半。先生登場。五分ほどでお話終了。




 八時四十五分。授業開始。昼食に向けて密かな期待を持ち、そわそわし始める。




 十二時四十分。昼食開始。どんどん増えるクラス外の人間。同時に増える裏切り者たち。たんたんと過ぎて行く時間。


 三十分経過したがなんで俺のところに来ないんだ!!!  




 数時間経過。訪れる放課後。暫定負け組たちに最後のチャンスが訪れる。ここですべてが決まる。いまもらえなければ負け組確定だ。さあ、いま決戦の火ぶたが切り落され............


「あ、忘れてたけど今日は重要な会議があるからあと十分で帰れよ。」


 あの、先生?いまなんと?


 一瞬で場が凍り付く。だが女子はすぐに動き出し、チョコを配る。みるみる裏切り者が増えていく。


 最後のチャンスだ!さあ俺に!!うぇるかむ!!!


 .............十分経過。


 ...................................最後まで教室に残るが、誰一人として見向きもしないまま終了。


え?これで終了?嘘だろ?俺のバレンタイン終了?りありぃ?


「えー、ただいまより会議を始めます。生徒は速やかに下校してください。」


 放送が流れる。同時に現実が俺に終了を告げてくる。


 負け組、確定の合図だ。俺の完全敗北だ。










 さあみんな、今日がなんの日かって?


 決まっているだろ。ただの水曜日だよ。いい日でもなんでもねぇよ。


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