第五十話 商談
A.G.2880 ギネス二六九年
木の月(五の月) 地の週の六日(六日)
ナーディス諸侯領 レーゲン
ユーリウス達一行はレーゲンの街に居た。
元々は森の中にあったという、今はハルツ川の中洲に存在している迷宮を中心にして生まれた都市であり、三つの中洲と両岸の城塞都市を結ぶ橋の通行料によって繁栄している自由都市の一つである。
中洲を含めてほぼ完全に城壁によって囲まれた都市であり、古くから存在している迷宮は三〇階層までしか攻略されておらず、最深部に到達した者は未だ無い天然の迷宮なのだという。
それでも年々周囲に拡大し続ける第一階層の広がりから考えて、一〇〇階層を超える規模の迷宮であろうとは言われていた。
「完全無欠の城塞都市だな……」
そう口にしたのはユーリウスである。
「はい。そして探索者達の街でもあります」
エリクの答えにユーリウスも気付いた。
細く曲がりくねった道路の両側が、最低でも五階はある高層建築で囲まれている為、まるで深い渓谷の底に居る様な印象があるレーゲンの街。
そのレーゲンを歩く者達の多くが、武装した傭兵やならず者風であり、ユーリウスの感覚からすると所謂「冒険者風」の者達が圧倒的に多いのである。
交通の要衝でもあるため商人達の姿も見えるのだが、大半の商人達は中洲に留まる様な事はしない。普通は商業地区となっている両岸の城塞都市に宿泊して商売を行っているのだ。
「しかし、なぜこんなにどこもかしこも狭いんだ? なぜ広げない?」
「わざと馬車が通れない様にしているのですよ。馬車は両岸の船着場から船で渡すんです」
これに答えたのはゲルトという、レーゲン政府公認案内士である。
元々はレーゲン政府が外国からの賓客向けに整備した制度らしいが、今ではそこらの豪商や小金持ちの探索者達でも雇う事が可能で、レーゲンの見どころはもちろん、迷宮の安全区や職人達の組合や商人達の組合への紹介等を行っている。というか、観光案内こそが脇役であり、商取引の仲介を行う事で得るリベートによって生計をたてている者達なのである。
当然、巨大な三胴のゴーレム船で乗り付けた御大尽らしいと言う事でゲルトも期待していたのだが、ユーリウス達には商機を伺う商人的な言動が全く見られず、徹頭徹尾観光案内に終始せざるを得ない状態に置かれた為、早々に賭場や娼館に案内して終わりにしようなどと考えている所であった。
「……利権か」
「はい。そんな感じです」
と苦笑しながらゲルトが答える。
だがユーリウスからすれば、そんな事で稼ぐよりも馬車の往来を可能にして、商人達の往来をもっと活発にした方が儲かるのでは、などと思うのだが、商人達の組合が強くて難しいのだという。
レーゲンでは両岸の都市に着いた荷物は一旦全てレーゲン商人達が買い上げるか、預かった上でハルツ川を渡し、改めてそれぞれの目的地に向かうのである。
当然そうした動きをする者はある程度大きな商会の商隊か、もしくは小商いに終始している個人の行商くらいのものであり、大半の商人達はレーゲンの両岸にある商館で全ての荷物を売り払い、別の商品を購入して帰っていくのだ。
元々レーゲンの経済が迷宮の産物を中心として回っていたからこそ、こんな非効率的な経営がまかり通っているのだが……。
「レーゲンの迷宮からは金属が大量に出ますからね。ゲルマニアでも有数の鉱宮なんです。そもそもレーゲンを超えて行われる交易の大半はハルツ川とエレンハルツ川を使いますから、これで十分なんですよ。一番多いのはレーゲン産の金属類なんですから」
「鉱物か……ゲルト、レーゲンで扱われる鉱物資源の総量は年間どのくらいになる?」
「は? はい? 総量ですか?」
知っては居たが、そんな質問をされたのは初めてだったのである。
「わからないか?」
「いえ、凡その所はわかりますです。一年間ですと、えーと、鉄で三〇〇イルジ(約六トン)から四〇〇イルジ(約八トン)、銅で一〇〇イルジ(約二トン)前後ですな。金や銀などの貴金属の類はヴィーガン辺境伯(ハウゼミンデンの領主)様との専売になってますんでご容赦を」
「――鉄と銅って、この迷宮で両方採れるのか?」
「はい? そうですが?」
ユーリウスがそう聞いたのも無理は無いが、鉱山ではなく迷宮なのだ。
一つの迷宮から複数の鉱物資源が採れるのはある意味当然なのである。
「鉄で日産一五キロから二〇キロか……多いのか少ないのかよくわからんな……?」
「レーゲンの鉄は品質が良いんで有名なんですよ旦那?」
なにやら馬鹿にされたとでも思ったゲルトがユーリウスの独り言に口を挟んだ。
「品質か。鉄や銅がどんな形で産出されて、どんな形で売られているのか見せてくれ」
「はい。えーと、それじゃ南街の商館でいいですかね?」
「ゲルトに任せるよ」
軽い口調であったが、そこでゲルトは漸く金の匂いを嗅ぎつけていた。
それもかなりの大金の匂いである。
ユーリウス達の集団についてはまだ詳しい事を探り出せてはいなかったが、何処ぞの商家の御曹司が、経験を積む目的か何かで鉄か銅か、もしかしたら鉛の買い付けでもするつもりなのだろう。ここまでそんな素振りは欠片も見せなかったのだから大したものだが、案内士相手にそうした駆け引きは無意味なのだ。
と、ゲルトは内心苦笑していた。案内士の仕事はあくまでも仲介だけ。
そこから先の交渉には一切関わらないのである。
そんな事も知らないお坊ちゃんなのかと、最初はむしろ軽く見下したい気分になったゲルトであったが、南街に向かって歩きつつゲルトが語る、誰もが知っている様で知らないレーゲンの歴史秘話を、目を輝かせて熱心に聞いて来るユーリウスに対して悪い感情を保つのは難しすぎた。
ならばいっそちょっとしたお節介でもしてみるか、などと思うゲルト。
中二病でもイケメンならば、男女問わずに好かれるものなのだ。
「それで旦那は鉄と銅、どっちが入用なんで?」
「両方だな。だがもちろん物をみてみない事にはなんとも言えない。価格にもよるしな?」
本当はその他の金属類も欲しいのだが、ゲルトが勘違いしている様なのでそれはそのままにする。
「それはもちろんそうでしょうけどね? そうですね、世知辛い話になりますが、こちらが紹介するにも一回こっきりの相手か今後も継続して取引出来るのか、量はどうなのか、なにより支払い能力はどのくらいなのか、まぁそう言った事を知っているかいないかで紹介する相手も変わりますんで」
と、かなりぶっちゃけたゲルトである。
レーゲンの街が全て高層建築(最低でも四~五階建)である理由や、実は屋上に市民達の為の通路が作られていて、下の道を歩いている市民は仕事中の者だけで、他は全員余所者なのだとか、お家騒動で二つに別れた老舗の旅館など、目に入った物について語った全てに本気で喜んでいたのが良かったのだろうか?
ユーリウスはゲルトの言葉も尤もだと思ったのだろう。
一度立ち止まってゲルトを見つめるとエリクに目配せをして言う。
「エリク。支払い能力を知りたいそうだ」
「はい」
即座にエリクが動いて懐から革の小袋を取り出してゲルトに見せる。
「――なるほど」
中身はもちろん魔晶であった。ゲルトはざっとその価値を計算し、途中で思考を放棄した。
どれも一つで軽く金貨の一枚や二枚は飛んでいきそうなくらい良質な物に見えたのである。
「金貨が良ければ金貨での支払いでも構わないが、持ち歩くには金貨は少し重いからな」
そう言って笑うユーリウスを見て、ゲルトは再び認識を改める事にした。
本当に何処ぞの商家のお坊ちゃんなのか、どうにも解らなくなって来たのである。
魔石や魔晶を商う商家は多くあるが、これ程の品質の魔晶を纏めて扱える商家というのは非常に限られた存在になるのだ。
魔石は兎も角魔晶については基本的に、その地の領主が専売にしてしまうからであった。
だが目の前の青年はそれを持っている。
専売にされた魔晶が行き着く先と言えば軍隊か魔導士の元と相場が決まっている。
鉄や銅などの金属類についても最大の顧客は軍であろう。
そして大量の魔晶を扱える軍人や魔導士と言えば、それこそ見た目では本当の年齢など測り様が無い相手であるからだ。
そう考えて見れば、この御大尽の護衛らしい男も軍人っぽい匂いがぷんぷんしていた。
「……わかりました。信用いたしましょう」
こうしてユーリウスは賭けに勝ち、ゲルトは賭けに出たのである。
そこはハルツ川から見て南街の大通りの左側、通りを一本奥へと入った裏通りにあった。
大通りにある表の商業ギルドに対して、裏通りのそこは裏の商業ギルドとも言うべきレーゲンの経済活動を牛耳る三つの商会が入っている建物である。
地上六階地下二階、総床面積で六〇〇平米を超えるという、近代的な商業ビルの走りとでも言うべき施設。
最初に見本として陳列してあったレーゲンの迷宮で産出される様々な産物のを見せられたユーリウスは、頃合いを見計らっていた責任者らしい人物の案内で、その最上階にある貴賓室へと招かれたのである。
たっぷりと詰め物ががされた革張りの長椅子に品の良いテーブルが置かれたそこに入ったのは、長年案内士を勤めているゲルトも初めてであった。
知る人ぞ知る、なのだが、実は政府公認の案内士には一回だけ、三人いる筈のその部屋の住人への仲介を行う権利があるのだ。
仲介した結果が成功であればもう一度だけその権利が貰えるが、失敗すれば公認も取り消され、まともな仕事は二度と回してもらえなくなってしまう。
成功か失敗かの判断についてもその部屋の住人の独断で行われ、どれほど巨額の利益を齎す結果になったとしても、何か問題があれば決して成功とは認められない。
だからゲルトにとっては正しく賭けなのであった。
もちろんそれなりに勝算はあった。
十年ほど前から軍で使われていたゴーレムの数が削減され始めた事もあり、大量のゴーレムが市場に流れた事からゴーレム船の数はそれなりに増えてきた。
が、それでもゴーレムは非常に高価な物であり続けていたから、明らかにゴーレム船と解る大型船を所有しているらしい人物であれば、経済的に問題があるとは思えなかった事、鷹揚でどこか享楽的にも見える「御大尽」の受け答えが、どこかチグハグでとても歳相応のものとは思えなかった事、そして何よりあの魔晶である。
最低でも金貨百数十枚分、恐らく二〇〇枚分は確実にあっただろう。
「お待たせしました」
そう言ってユーリウス以下エリクと四人の護衛兵とゲルトが待っていた部屋に、秘書らしい数人の男たちを引き連れた恰幅の良い中年男性が入って来た。
やや癖のある短めの頭髪は白いものが混じり始めた黒。瞳はヘイゼル。練色の肌に一目で上等な物である事がわかる豪奢な上衣を纏っている。
即座にゲルトが立ち上がると頭を下げて挨拶をする。
「お初にお目にかかります。案内士のゲルトです」
「うむ。良き出会いに感謝する」
「では、私はこれで失礼いたします」
と、流れるようなやり取りをしてゲルトが出て行く。
ユーリウスもレーゲンの情報を集めた際に、一応はこうした場があるらしい事を知ってはいたのだが、なかなか興味深い社会と習慣だなぁ、などと呑気な感想を抱いている。
「――先ずは挨拶をさせていただきましょう。私はレーゲンで商業ギルドの理事を務めているレオ・グーデと申します」
そう言って改めて立ち上がり、リプリア風の流儀で挨拶を行うレオ。
「……灰色の霧。ユーリウスじゃ。失礼じゃがレオ殿はリプリアの方かな? ゲルマニア風の名前ではあるようじゃが?」
流石に幼児がこうした口調を使うよりもインパクトは小さいが、それでもレオはゲルマニアに生きる商人である。
灰色の霧を名乗りに使う商人などあり得ないと考える。どうやら神殿の関係者らしい、と。
「――これは失礼致しました。なんでも大きなザルデン風の船でやって来られたとお聞きしましたもので、勘違いしていた様です。緋色の燕のレオと申します」
「うむ。緋色の燕か。風の神ヘウメス様の眷属との出会いに感謝を……」
そう言って軽く目を閉じ、日本語で『仕事はハッタリと空想と実行から』などと三回唱えて祈りを捧げる振りをするユーリウスと、それに慌ててそれに追従するレオ。
「灰色の霧、至高の混沌に慈悲と祈りを捧げます。この出会いに感謝を……」
完全にユーリウスのペースである。
海千山千の豪商であっても宗教観を突かれるとどうにも弱い。
もちろん全く通じない者も多いのだが、少なくとも人の目がある場では、宗教的な敬虔さを装う事が出来る事が必須の資質でもあるのだ。
「……では早速で申し訳ないのじゃがの、レーゲンでは鉄や銅、それから鉛の産出量を増やす事は可能かな?」
「産出量そのものを増やす、ですか?」
「そうじゃ。鉄ですら年間三〇〇イルジ程度なのであろう?」
「お待ち下さい、その、ユーリウス様は一体どれほどの取引をお望みで?」
「初年度に二〇イルジ。毎年倍に増やしていって六年後には最低でも年間六〇〇イルジじゃの」
「は?」
「なんじゃ、若いのにお主は耳が遠いのか?」
「――お、お待ち下さい、ユーリウス様は、その、レーゲンで産出される鉄の全てを購入されたいと仰せで?」
「さて? 全てを買い占めるなどという話はしておらんが、このままでは全く足りないの、だが増やせるのじゃろう?」
そこで完全に沈黙してしまうレオ。
ユーリウスと名乗った灰色の霧の眷属を自称する青年の正体が全くつかめない。
何が目的なのかもわからない。
要求量が都市間戦争の準備にしても多すぎるのだ。
そうすると何処ぞの王家かなにかが極秘に、とまで考えたが、それもまたあり得ない。
多すぎるとはいえ何処ぞの王国絡みであるなら尚の事、正々堂々やって来て真正面から買い占めてしまえば良いのである。
だがユーリウスからすると、六〇〇イルジと言えば僅か一二トン。三号戦車一両すら作れない。
そもそも明治政府ですら年間六万トンの粗鋼生産量を目指していたのだ。
迷宮に依存している現状では「鉄道」建設など夢のまた夢なのである。
とは言え、年間二〇イルジから始めて五年後に三〇〇イルジ、六年後に六〇〇イルジという事であれば、ユーリウスが目指すアルメルブルク軍八〇〇名の近代化に必要とされる装備品程度は十分に賄えるはずであった。
もちろん全ての鉄を軍の装備につぎ込む事など不可能であったから、レーゲン以外の鉱宮と呼ばれる迷宮との取引も必要なのであるが、先ずはアルメルブルクとの直接取引が可能なレーゲンが標的となったのである。
「エリク」
「は!」
持参してきた魔晶の小袋を取り出し、黙りこんでしまったレオの前にザラザラと積み上げてみせる。
慌ててそれを確認するレオと秘書達だが、偽物など含まれていない。
魔晶一つで凡そ金貨一枚。
品質によっては三枚から五枚になる。
それがざっと二〇〇個ほど。
そして鉄の価格は迷宮買い取り価格が一イルジ(約二〇キログラム)で一〇〇壁貨前後、小売の価格になると最高五〇〇壁貨程になる事もあるが、何も無ければ二五〇壁貨前後が精々であったから、その魔晶だけで六年分の鉄、凡そ一二〇〇イルジ(約二四トン)で一二〇金貨を遥かに超える価値がある。
六年分の鉄、銅、鉛の買い付け代金としては十分過ぎる程であろう。
「……冗談、では無いのですな……?」
「灰色の霧を前に嘘などつけると思うのかね?」
慌てて祈りを捧げるレオ。
他の精霊や神々は兎も角、灰色の霧だけはヤバイのだ。
何時何処で何を聞いて現れるのか全く予想が出来ないのである。
ゲルマニアではほんの冗談のつもりで言った一言で、実際に現れた灰色の霧によってとんでもない目に合わされる者が毎年何人かは必ず出ている。
ともあれ、レオはユーリウスが本気である事だけは理解したが、増産体制を組むのは可能だが、六年後にいきなり契約を切られるのは痛いのだ。
どう伝えるべきか悩んでいるとユーリウスもそれに気付いてさらりと言い放つ。
「もちろん六年後以降も毎年六〇〇イルジは用意して貰うからの。次の契約は三年後でどうかの?」
次の契約が三年後、つまり三年後に六年目以降の契約を行ってくれると言うのだ。
レオからすれば長期的な需要が見込めるのであれば断る理由など無い。
「は、はい。ありがとうございますユーリウス様」
レオはレーゲンの迷宮が、鉄であれば年間一二〇〇イルジでも十分賄える事を知っていたから、現状の顧客に迷惑をかけること無くユーリウスの要求に応える事が可能だったのだ。
「しかし、ユーリウス様、それほどの量の鉄を一体何にお使いになられるのですか?」
思わず、といった様子で聞いたレオであったが、ユーリウスはニヤリと笑って一言。
「知りたいかね?」
と返してくるだけ。
もちろん慌てて首を振るレオ。と、そこで不意に一〇年以上も昔に聞いた、ある一つの噂を思い出したのである。
エレンの街に現れたという謎の大魔導師の噂だった。
「確かその大魔導師の名前もユーリウスだったか……?」と、はっと顔を上げてユーリウスを見つめるレオ。
貴族達の噂は大魔導師が使ったゴーレムを狂わせるという、世界の軍事力の根幹を揺るがす様な魔法に集中していたが、商人達は違っていたのだ。
その魔導士が代理人として選んだという商会に支払われた代金の大半が魔晶であった事、それも見た事も無い程高品質の魔晶であり、一度にかなりの量の魔晶が市場に流れたにも関わらず、値崩れするどころか逆に高騰してしまった事、そしてなによりその外見が、精々一〇歳程の子供に見えた事である。
「鉄の件は良いかね?」
不意にそう言われて慌てて了承するレオ。
「銅と鉛は手に入る分だけで良い。代金はそこから持っていけ。輸送は全てエレンのシュリーファ商会に任せる事になっておるでの。正規の契約についてもシュリーファ商会にの、レオよ、後は全ておぬしに任せて良いの?」
「――ははっ、おまかせ下さいませ!」
要するに代理を立ててこの取引を秘密にしろと言うのである。
流石にそれは避けたいと思わないでも無かったが、目の前に置かれた魔晶によって得られる利益を思えば、そのくらいの「危ない橋」は許容範囲内であった。
「では……おぉ、そうじゃ、そうじゃった、あの男……ゲルトには随分世話になった。次に来る時にも奴を指名させてもらうで、よろしく伝えておいてくれの?」
そう言って立ち上がるユーリウスを、レオは最敬礼で見送ったのであった。
こうしてゲルトの様な小物にまで、忘れずに分前を与える気前の良さまで見せたユーリウスは、是が非でも末永いお付き合いをしていきたいと思う相手として認識されたのであった。
ユーリウスは十分に『サラリーマン』としてもやっていけるだろう。
いや、どちらかと言えば詐欺師か……?
誤字脱字その他コメント等ありましたらよろしくお願いします。
次からは一話一話が短くなります。




