気づいてくれるかな
約束通り、今日は蘭君の部屋で試験勉強中!
蘭君の部屋に入るのは初めてじゃないけど、なんか毎回毎回ワクワクする!
只今英語の勉強中。ふと蘭君を見ると参考書を開いたまま、何か考えてる感じ。そんな私の視線に気づいたようで・・。
「ん・・?」
「どうしたの蘭君?わからないとこもでもあるの」
「いや、ずっと疑問だったんだけどさ、なんで英語は名前が先なのかなあって?」
「えっ?」・・蘭君、なんで今それ?でも、言われてみると不思議よね。ロシアではどうなのかなあ・・。
「ああ、試験には関係ないけどね!」
「うん・・でも確かに不思議ね!」
「まっそんなことはどうでもいいか!さあ勉強勉強っと」
なんかさっきの蘭君の疑問が、今度は私の頭の中から離れなくなっている!すると
「ねえ、理奈ちゃんどうかした?」
「瞳もさあ、アメリカに行ったら田村瞳じゃなくて、ヒトミタムラになっちゃうのかなあって・・なんか印象変わっちゃうなあ」
「だけどアメリカ人になっちゃうわけじゃないんだからさ」
「それはそうだけど」
確かにそうなんだけど、なんか微妙だなあ。
「まあ最初は色々大変だろうね。名前の順番だけじゃなくて、すべてが知らないことだらけなんだからさ。そう言えば瞳のやつ英会話を猛レッスンしてるらしいよ」
「むこうでも友達と仲良くやれるといいけど・・」
「瞳なら大丈夫だよ!」
「だといいけど・・」
私だって北海道からこっちに来たときは戸惑いや不安があった。でも蘭君やみんなのお陰で、それもすぐにおさまったけど。瞳の場合は外国なんだよね・・。
「あー疲れた!」
「今日はこのくらいにしとく?」
「そうだな!」
「でも頑張ったよ!もうすぐ12時だから3時間だね。お昼を食べて、また午後から頑張りましょ!」
「はあっ?・・午後も・で・す・か」
「当たり前です!」
もっと一緒に居たいの!蘭君とこうして・・。
「どうもお邪魔しました!」
「はーい」
そして私はひとり家のドアを開けた。お母さんは夕方まで戻らない。しばらくは独りぼっちだ。蘭君や蘭君のお母さんに言えば、一緒にお昼ご飯を食べようって言ってくれたと思うけど、今日はなんとなく遠慮してしまった。
とは言っても、やっぱり独りぼっちは寂しいな・・。
もし今の学校に蘭君も瞳もいなかったら、私はどうなっていたかなあ?!
人と人との出逢いってすごく不思議なことなのかもね・・。
瞳もきっといい友達と出逢えるよね!
そんなことを思いながら、私はお昼ご飯を簡単に済ませ、シャーワーを浴びシャンプーをした。蘭君気づいてくれるかな?
「よし!」私はそう大きな声をだし、再び蘭君のもとに向かった。私の素敵な王子さまのもとへ・・。
「ん?蘭君・・」
なんとなく蘭君の視線が気になった。
「えっ?!いや別に・・」
別にかあ。
しばらくすると蘭君のお母さんが二人を呼びに来てくれた。
「シューアイス買ってきたから食べない」
「うん!」
「すみません!いただきます」美味しそうなシューアイス!
「はいどうぞ」
「そう言えば今日翼君は?」
「お友だちとプールなのよ」
「そうですか、いいなあ翼君!」
「理奈ちゃんもそう思うよねー!」
「でも私泳げないんだけど・・」
こっちに来てからまだ誰にも言ってないのよ!
「それ意外!あんなにスポーツ万能なのに。じゃあ今度俺がコーチしてやるよ」
「うん」
約束よ蘭君!
そして私たちはまた蘭君の部屋に。
「蘭君、ホントに泳ぎ教えてくれる?」
「えっ!」
「私泳げるようになりたいなあ」
「うん、もちろんホントさ!」
「やったあー!私ねチャレンジしてみたいことがあるのよね・・」
「チャレンジ?」
「スキューバダイビング!!」
「ああー!なるほど」
「だからさ、きっとよ蘭君!」
「スキューバダイビングかあ・・」
「うん。ほら北海道ってさ夏が短いじゃない!夏休みも2週間くらいしかないのよ。だから40日も夏休みがあるなんてもう嬉しくてさ。海水浴とかも行きたいけど、今年は受験だから無理よね・・」・・残念だけどさ。
「うん」
そして今日の予定の勉強を終え、私は家に向かった。もうお母さんも戻っている時間だ。
「あっ理奈、お帰り。蘭君のところ?」
「うん」
そしてお母さんと夕食の準備をしていると、玄関のチャイムが鳴った。
♪ピンポン
「はーい」
「佐藤でーす」
「佐藤でーす」
あっ!蘭君と翼君。私は慌ててドアを開けた。
「どうしたの!?二人とも」
「理奈お姉さんに大ニュースだよ!」
「えっ?」
私に大ニュース?!いったい何かしら。蘭君、翼君、早く早く教えて・・。
それより二人とも、唇にカレーついてるよ!