感謝
私は今勉強中!高校入試まであと半年しかない。学校の先生が言ってた通り、この夏休みは1~2年の復習に当てるのがいいって・・只今それを実行中。
コンコン・・お母さんかな。
「理奈、一休みしない?!」
「うん」
「ううーっ・・」私は両手を伸ばした!
「だいぶお疲れね!アイスキャンディー買ってあるから食べようか?」
「うん」
「そうだ、田村さんのところ今月までで越しちゃうんだったわよね」
「そう、ロサンゼルスにね!」
「北海道もロシアも遠いけど、もっと遠いね!アメリカなんて・・」
「行っちゃう前に何か瞳にしてあげたいけど・・」
「そうね」
プルプル・プルプル・・ん?佐藤さんからだわ。
「はい、安藤です」
「佐藤です。実はね・・」
「蘭君のお母さん?」
「あのわんぱく兄弟、やって来るわよ!」
「えっ」
♪ピンポン
「ほら来た!理奈出てあげて。かき氷を作る氷が欲しいみたいよ」
「・・なるほどね・・」
私は玄関のドアを開けた。
「来た来た!」
「えっ?」
「氷ならいっぱいあるわよ!」
「ん・・?なんで理奈お姉さん、ぼくたちが氷をもらいに来たの知ってるの」
「第六感・・かな?!」
「ふーん、理奈お姉さんスゴイんだね!」
あっ!蘭君がこっちを見てる。蘭君の言いたいことならわかってるよ。そんな言葉をのせて、私は蘭君にウインクをおくった。
「ねえ、二人ともうちでかき氷食べていかない?!」
「えっ、いいの!?」
「うん!大歓迎よ」
「ぼく・・メロンがいいんだけどな・・」
「ちゃんとあるわよメロン!」
「やったー!」
「じゃあお言葉に甘えて」
「お言葉に甘えて・・」
「ふふふっ」なんか可愛い!二人とも。
そして翼君がかき氷作りを手伝ってくれた。
「いただきまーす!」
「ふーうまい!生き返るなあ」
「うん!生き返るー」
「蘭君と翼君って仲良いね!」
「仕方ないよ。翼のやつ俺の後ばかりついてくるんだから」
でもちゃんと弟の面倒をみてる蘭君。そんなとこも私は好きなのよ!
「なるほどね・・。ところで瞳のことなんだけどさ?今、お母さんとも話してたんだけど・・」
「ああ、あいつんとこ今月いっぱいで引っ越しちゃうんだよな!」
「うん。それで何か思い出に残るようなことしてあげたいんだけどさ、もちろん瞳には内緒で」
「そうだなあ・・でもどんなことやったらいいんだ?」
「んん・・何がいいかなあ?!」とそこで俺はひらめいた!
「一也にでも聞いてみるか!意外とあいつこんなの考えるの得意だからさ」
「うん」
「よし呼ぼう!」
「えっ!今から・・?」
「もちろん」
「ん?蘭君どうしたの、ボーッとして」
何か考え事ね・・瞳のこと?和久井くん?それとも翼君?・・。
「いや・・なんでも・・」
「そう。何か考え事かなあと思って」
さすがに私の第六感でも、蘭君の心まではわからないか?!
♪ピンポン・・和久井くんね!
「お邪魔しまーす」
「おう一也!悪いな呼び出して」
「いいっていいって、ちょうど息抜きしたかったんだ!朝から勉強勉強でさあ」
「ありゃあ、それは大変だ!」
「蘭、お前も他人事じゃないだろうに」
「うっ・・」あーあ、言われちゃったね蘭君。
「で瞳のことだろう!?」
「そう、何かいい案ある?和久井くん」
「ん・・俺も来る途中に考えてたんだけど、やっぱりパーティーとかが無難なんじゃないか?!」
「パーティーかあ」
「蘭は何かいいアイディアないのか?」
「ん・・・」
「はい!和久井くんかき氷」
和久井くんもメロン味よ。
「おうサンキュー!」
「ねえ、翼君はどう?」
「瞳お姉さんが喜ぶことでしょ・・」
「うん」
「・・遊園地とかは!?」
「遊園地ね・・」
「思いきってUSJとかディズニーランドとかはどうだ?」
「でもどっちもロサンゼルスの方が本場なんじゃない」
「ああ・・そっか」
結局何も決まらないまま・・。
「あー腹へった!俺そろそろ帰るぞ。また今度話し合おうぜ」
「ああ、悪かったな来てもらって」
「いいっていいって・・じゃあ」
「ありがとうね和久井くん」
「うん」
「よし翼、俺たちも帰るぞ」
「うん」
「理奈ちゃんまたね!」
「理奈お姉さん、バイバイ」
「バイバイ翼君」
「お邪魔しましたー」
「お邪魔しましたー」
「はーい!また遊びに来てねー」
「帰っちゃった・・」私はなんとなく気が抜けた感じ。
「なにしょんぼりしてるの。さあうちもお昼ご飯にしましょう」
「うん」
そして
「ただいま」
「お帰りなさい。あらあなた、お酒飲んでる?」
「うん、佐藤さんとね。」
「蘭君のお父さんと!?」
「そう、帰りにバッタリ会ってね」
「そうなんだ。また昔話?」
「いや、今日は色々と愚痴を聞いてもらっちゃったよ!」
「あら、佐藤さん迷惑だったんじゃない?」
「かもな・・」
「あなた、愚痴って私たちのことじゃないでしょうね?」
「違うよ、仕事のことだよ」
「仕事のこと?」
「朝から晩まで修行修行の毎日なんだってね」
「お父さん、そんなに仕事大変なの?」
「仕方ないさ。まあでもやりたかった仕事でもあるし、それに家族のためだもんな」
「あらあらそれはどうもご苦労様です!仕方ないな、理奈、お父さんにビールついであげて」
「そうだね!」
「おっ!理奈のお酌かあ・・」
「今日は特別よ!お父さん」
お父さん、いつもお仕事お疲れ様。あともう少しだよね!お父さんと川口さんでお店ができるの。私もお母さんも楽しみにしてるのよ!
だけどそれはつまり、瞳とのお別れを意味してるんだよね・・。
その夜、私は蘭君にメールを送った。
「瞳のこと色々考えるけど、なかなかいいアイディアが浮かばないなあ。蘭君はどう?」
「俺もさっぱり!でもまだ時間あるからさ」
「うん」
「理奈ちゃん今何してるの?」
「ベッドに横になってる」
「ふーん。実は俺も」
「てことは、蘭君今私の真下にいるんだね!で何考えてる?」
「大人になるとは・・かな」
「ん????」
「なんか急にね!」
「なんか急にか・・そうだ蘭君、明日一緒に勉強しない!?」
「いいけど、理奈ちゃんの邪魔にならない?」
「そんなことないよ!」
なんか急に・・かあ。
私は早く大人になりたいなあって思ってるけど・・。私たちなんかよりずっとずっと大変なんだね。
今日はいつもより沢山、お父さんとお母さんに感謝!!
そうだよね蘭君。