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かき氷

「ひぃー、暑い暑い!!」

「蘭、かき氷つくろうよ!」

「おうそうだなあ」

「ぼく氷が凍ってるか見てくるねー」


てなわけで季節は夏。長いようで短い夏休みがスタートしたのだった。


「お母さん氷ある?蘭とかき氷作りたいんだけど・・」

「製氷気見てみな!」

「はあーい!」


「どうだ翼?あったか」

「・・ない」

「ない?そんなはずないけどなあ・・ありゃホントに無いわね」

「えー!?」

「製氷用の水はちゃんとあるのに!壊れたのか?」

「あっ!これしっかりセットできてないのよ。だから氷が出来ないんだわ。これをしっかり押し込めば・・ほら直った」

「でもなかなか氷出来ないよね?!」

「うん、2~3時間はかかるわね」

「ええー、そんなに待てないよ!」

「そんなに待てないよー!!」

「誰だ昨日最後に氷つかったの?」

「お父さんじゃない?」

「父さんかあ犯人は!ったくもう・・」

「どうする蘭?」

「仕方ない」・・俺は素早く玄関に向かった。

「ん?どこいくの」

「上」

「えっ!理奈ちゃんのとこ。よしなさいよ氷ぐらいで、恥ずかしいわ」

「そんなことは言ってられないよ!緊急事態なんだからさ」

「蘭、ぼくも行くー!」

「あっもう二人とも・・」そして俺と翼は駆け出したのだった。


♪ピンポン

現れたのは理奈ちゃん。

「来た来た!」

「えっ?」

「氷ならいっぱいあるわよ!」

「ん・・?なんで理奈お姉さん、ぼくたちが氷をもらいに来たの知ってるの」

「第六感・・かな?!」

「ふーん、理奈お姉さんスゴイんだね!」


さては母さんから電話があったな。俺は理奈ちゃんの瞳をちらっと覗きながら、そうテレパシーを送ってみた。

すると理奈ちゃんは小さくウインクをしてこたえてくれた。

やっぱりな。


「ねえ、二人ともうちでかき氷食べていかない?!」

「えっ、いいの!?」

「うん!大歓迎よ」

「ぼく・・メロンがいいんだけどな・・」

「ちゃんとあるわよメロン!」

「やったー!」


「じゃあお言葉に甘えて」

「お言葉に甘えて・・」

「ふふふっ」


そして翼はかき氷作りをお手伝い。


「いただきまーす!」

「ふーうまい!生き返るなあ」

「うん!生き返るー」

「蘭君と翼君って仲良いね!」

「仕方ないよ。翼のやつ俺の後ばかりついてくるんだから」

「なるほどね・・。ところで瞳のことなんだけどさ?今、お母さんとも話してたんだけど・・」

「ああ、あいつんとこ今月いっぱいで引っ越しちゃうんだよな!」

「うん。それで何か思い出に残るようなことしてあげたいんだけどさ、もちろん瞳には内緒で」

「そうだなあ・・でもどんなことやったらいいんだ?」

「んん・・何がいいかなあ?!」とそこで俺はひらめいた!

「一也にでも聞いてみるか!意外とあいつこんなの考えるの得意だからさ」

「うん」

「よし呼ぼう!」

「えっ!今から・・?」

「もちろん」


考えてみると、俺たちもあと半年で中学卒業なんだよなあ・・。瞳はロサンゼルス、クラスの仲間ともクラブの連中ともお別れか。まあその前に高校受験あるけどね・・。

スプーンをくわえながら、なんかそんなことを思っていると

「ん?蘭君どうしたの、ボーッとして」

「いや・・なんでも・・」

「そう。何か考え事かなあと思って」

これも理奈ちゃんの第六感か・・?!


♪ピンポン・・早速一也がやって来た。


「お邪魔しまーす」

「おう一也!悪いな呼び出して」

「いいっていいって、ちょうど息抜きしたかったんだ!朝から勉強勉強でさあ」

「ありゃあ、それは大変だ!」

「蘭、お前も他人事じゃないだろうに」

「うっ・・」心に突き刺さるその言葉。


「で瞳のことだろう!?」

「そう、何かいい案ある?和久井くん」

「ん・・俺も来る途中に考えてたんだけど、やっぱりパーティーとかが無難なんじゃないか?!」

「パーティーかあ」

「蘭は何かいいアイディアないのか?」

「ん・・・」


「はい!和久井くんかき氷」

「おうサンキュー!」

「ねえ、翼君はどう?」

「瞳お姉さんが喜ぶことでしょ・・」

「うん」

「・・遊園地とかは!?」

「遊園地ね・・」

「思いきってUSJとかディズニーランドとかはどうだ?」

「でもどっちもロサンゼルスの方が本場なんじゃない」

「ああ・・そっか」


結局何も決まらずじまい。


「あー腹へった!俺そろそろ帰るぞ。また今度話し合おうぜ」

「ああ、悪かったな来てもらって」

「いいっていいって・・じゃあ」

「ありがとうね和久井くん」

「うん」


「よし翼、俺たちも帰るぞ」

「うん」

「理奈ちゃんまたね!」

「理奈お姉さん、バイバイ」

「バイバイ翼君」

「お邪魔しましたー」

「お邪魔しましたー」

「はーい!また遊びに来てねー」


「ただいまー!」

「あら、ずいぶん遅かったじゃない!」

「理奈お姉さんにかき氷ごちそうになったんだ!メロン味だよ」

「やっぱりね、そんなことだろうと思ったわ」

「お母さんも食べたかった?」

「どうせなら一緒に行けば良かったかしら・・」

「なんだよ母さん、自分も食べたいだけじゃんか!」

「冗談よ!それより蘭、少しは勉強しなさいよ」

「そうだぞ蘭、理奈お姉さんも一也兄ちゃんもみんなやってるってよ」

「翼、うるさい、黙れ」

「へへぇ」


「和久井くんもいたの?」

「ああ、呼び出した」

「あら?」

「瞳のことでさ・・」

「瞳お姉さんが喜ぶことしてあげたいんだって!蘭たち」

「あっそっか!もうすぐだ引っ越し」

「ああ」

「寂しくなるわね」


「ただいま」

「あっお父さん!お帰りー」

「おう、ただいま!」

「遅かったわね」

「実は安藤さんとバッタリ会ってさ、少し飲んできた」

「あら、珍しいわね」

「仕事の方も大変で、修行修行の毎日なんだって!」

「理奈ちゃんのお父さん大変なんだ?!」

「みたいだな」


俺はその夜、ベッドに横になり考えていた。瞳のこともそうだけど、何故だか『大人になる』ってことを・・。

理奈ちゃんのお父さんが仕事で大変だなんて聞かされたからかもな。


大人に早くなりたい!それが俺の本音だけど・・。


♪プープー・・あっ!理奈ちゃん。

「瞳のこと色々考えるけど、なかなかいいアイディアが浮かばないなあ。蘭君はどう?」

「俺もさっぱり!でもまだ時間あるからさ」

「うん」

「理奈ちゃん今何してるの?」

「ベッドに横になってる」

「ふーん。実は俺も」

「てことは、蘭君今私の真下にいるんだね!で何考えてる?」

「大人になるとは・・かな」

「ん????」

「なんか急にね!」

「なんか急にか・・そうだ蘭君、明日一緒に勉強しない!?」

「いいけど、理奈ちゃんの邪魔にならない?」

「そんなことないよ!」


1時間ほど続いたメールのやり取り。上と下でこんなに近くに居るんだから、会って話せばいいじゃん!なんて思うこともあるけど、メールじゃないと言えないことも沢山あるんだよねー!


おやすみ理奈ちゃん。また明日ね!











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