ギャー!
「じゃあね!また明日」
「うん、明日ね」
「ただいまー!」
そう言いながら、俺は冷蔵庫を開けた。
「何も入ってないわよ」
「あーあ、腹減った・・」
「蘭、バナナならあるよ」
「おーサンキュー翼!」
「着替えてからにしなさい」
「うんん、食べてから着替える!」
「もう・・」
そして俺が部屋で着替えていると、突然ドアが開いた。
「キャー!」と女性の声。
母さんか?いや違うな。
そーっと視線を移すと・・
「ギャー!」
何で理奈ちゃんがいるの?!
「ごめんなさい!」
理奈ちゃんはスッと後ろを向いてしまった。
俺は慌ててTシャツを頭に突っ込んだのだった。
「理奈ちゃん!?何かあった・・」
「もう見ていい?」まだ後ろ向きの理奈ちゃん。
「うん」
そして、こっちを向いた理奈ちゃんと目が合った!
「ここにいられる!ロシアに行かなくてよくなったよ!!」
「ホント!?」
「ホントよ!今お父さんがそう言ってくれたの」
「やったね!」
「それにもうひとつビッグニュース!お父さんもこっちに来て、一緒に暮らしてくれるんだってー!!」
り・な・ちゃ・ん・・理奈ちゃんの体が俺に吸い付いてきた!
「うっ・・・」
そんな光景をこっそり覗いているやつがいた。翼だ!
「翼、勝手に部屋のぞいたらダメでしょ!」
「うん、でも抱き合ってたよ蘭と理奈お姉さん」
「あら!」
理奈ちゃんは母さんと、一言ふたこと会話をかわし戻っていった。
「理奈ちゃん良かったわね!」
「うん、とりあえずひと安心かな」
「それが蘭の本音だね!」
「あーね。でも今度は瞳がロサンゼルスだなんて・・」
「そうね」
「一也なんかロサンゼルスに留学するんだって猛勉強さ!」
「あの子らしいわね」
「ああ」
サッカーの地区予選、男子は惜しくも3回戦敗退。
女子は順調に勝ち進み、今度の日曜日に準決勝と決勝戦が行われる。
男子は予想通り。
理奈ちゃんは絶好調だ!優勝間違いなしだね!?
なんだか今日は蒸し暑い。もう5月も後半に入る。
でもホント理奈ちゃんがロシアに行かないですんで良かった。もしかしたらあと10日あまりで、会えないなんてことになってたかも知れないんだもんなあ・・。
そして俺はふと、理奈ちゃんのお父さんのことを考えていた。
確か理奈ちゃんのお父さんて、調理師の資格があるんだったよな・・。
明日聞いてみるか。