それは私です
今日から蘭君とまた一緒に学校に行ける。
♪ラララ・ラララ・・。
「理奈、何か良いことあったわね!」
「えっ!」
「鼻唄よ!」
「まあね・・」
「この間のラブレターと関係ありね!?」
「ご想像におまかせします。行ってきまーす!」
私はいつもの時刻、いつものように、そして気持ちはウキウキ家を出た。このところ一人ぼっちで寒さもこたえた!でも今日からは・・。
あっ!蘭君。いつも私が蘭君を待ってる踊り場に、なぜか今日は蘭君の姿が先にあった。
「佐藤君!」
「おはよう!」
「いつもより早いんじゃない!」
「ああ、たまには安藤さんより早くって思ってさ」
「ありがとう。でも寒かったでしょう!病み上がりなんだし」
「大丈夫だよ!さあ行こう」
「うん」
私はなんだか嬉しくてたまらない!
「大変だったね!」
「うん」
「でも元気になって良かった」
「特効薬が効いたんだよ!」
「ん?特効薬が・・」
「へへぇ」
「何よ?変な佐藤君」
ちゃんとわかってますよ!私のラブレターのことでしょ・・。
「おはよう!蘭、安藤さん」
「おう、一也!」
「おはよう」
「いつもより早いんじゃないか二人とも?」
そう、今日は蘭君が私を待っていてくれたのよ!
「そうか?俺はいつもの時刻に家を出たぞ」
「そうか、じゃあ俺が遅いのか・・」
「フフフっ」
たった5分のことだけど、蘭君と私しか知らないことだよね!
「それにしてもお前たち仲がいいな!」
「そうか?」
「なんかうらやましいよ」
「じゃあ、和久井君も毎朝一緒に登校しようか」
本当は、蘭君と二人だけの秘密のデートの時間なんだけど。
「えっ!・・俺は遠慮するよ。俺だってそんな野暮じゃないさ」
ふうっ!助かった。
「一也は瞳にぞっこんだもんな!」
「えっ!そうだったの?」
「蘭、余計なことは言わなくていいの」
「瞳も・・和久井君が好きなんじゃないかなあ・・」
「そんなことあるもんかよ!瞳のやつ、いつだって俺に突っ掛かってきてさ」
「安藤さん、なんで瞳が一也のこと好きだと思うの?」俺は聞いてみた。
「ん・・女の勘かな!」
「ふーん・・」
瞳の和久井くんへの接し方を見ていれば、すぐわかるのよ・・。
「もうその話はよそうぜ!寒いから急いで行くぞ」
そう言って、一也は走り出した。
「なんだあいつ?」
「・・・」恥ずかしがってるな!
「俺たちも急ぐか!」
「そうね!」
そして教室へ。
「おはよう一也!」
「ああ・・」
「ん?」
「おはよう」
「おはよう蘭、理奈。蘭、良かったね!元気になって」
「うん、お陰さまで・・」
「あのさ、一也何かあったの?」
さすが瞳!
「どうてだ瞳?」
「なんかいつもと様子が違うというか・・」
「・・恋の病じゃないのか?!」
「はあっ?一也が・・」
「理奈、わかる?」
「ん・・・」和久井くん、さっきの私の言葉が気になってるのよ!
「蘭、それどういう意味なのよ?」
「さあ・・」
「さあって・・こら!蘭、はっきり言え」
「今日から蘭も復帰してくれました拍手!」
「どうも・・」
私はおもいきり拍手をした。
「これでこのクラスも全員揃ったってことね。みんなが揃ったら言おうと思ってたんだけど、私、今度結婚することになりました!」
「えっ!先生おめでとうございます」
「ありがとう」
「横山先生もついにお嫁さんかあ!」
「瞳!瞳も早く結婚したいタイプなのか?」
「もちろんよ!一也とは全然違うタイプの男性とね」
「ちえっ!・・ほらな」
そう言って、和久井くんは私を見た。
愛情の裏返しよ!
「でも、横山先生美人よね!」
「うん、私もそう思う」
先生、おめでとうございます!
「あのさあ、聞いていいか?!」
「何だ?」
「お前たちって付き合ってるの!?」
「えっ!」何そのストレート!
「うん、私もそれ知りたい」瞳まで。
「そんなんじゃないよ!なあ安藤さん」
「えっ、うん。そんなわけないよ!」
「そうかあ?二人はお似合いだと思うけどな」
「珍しく一也の意見に賛成!」
「いやあ、付き合ってるって言うか・・」
でも・・蘭君と私は毎晩のようにメールのやり取りなんかしてるしなあ!そして私は言った。
「そう、実は付き合ってる!」
「安藤さん!!」蘭君、驚きすぎよ!
「だってアドレス交換してるもん!」
「えっ、それだけ?」
「ダメなの?」
「そういうのって、付き合ってるって言うのかな?」
「・・微妙・・かな?!」
瞳は真剣な表情でそう言った。
微妙って・・微妙な言い方だな!
私の最近の元気の素は、やっぱり蘭君だ!
蘭君からメールが届くたびに心が弾む。
そうだよなあ、蘭君には翼君というかわいい弟がいる。私もずっと弟か妹が欲しいと思っていた。遊んだりケンカをしたり、たまには勉強をみてやったり・・。でも、私は一人っ子なんだよな。
今さら親になんか頼めません!
それにしても、横山先生の結婚の電撃発表には驚いたな!幸せいっぱいの横山先生。ちょっとうらやましいかな・・。
お嫁さんかあ・・私もいつかはお嫁にいくときがくるんだよね。もしかして蘭君のお嫁さんに・・!?そんなことはとてもメールには書けないな。
初恋の人と結婚する確率ってどのくらいあるんだろう?
私は何となく左の手のひらの写真を撮り、蘭君に送った。最近手相占いとやらにはまってる。
運命線、感情線、生命線、知能線そして結婚線。
すると蘭君も自分の手のひらの画像を送ってくれた。
私は早速蘭君の手相を見てみた。
どうしても気になるのはやっぱり結婚線!結婚線は、結婚の年齢やその幸せ度を表す。
ん?蘭君の結婚線と私の結婚線、場所も傾きも、長さもすべて一緒だわ!何となく幸せな予感・・。
蘭君にはなんてメールしようかな・・?
あなたと私は将来結婚するでしょう?
あなたと私の未来は一緒?
あなたと私はもう離れられない?
・・なんて書けるわけないか。
そして私が送ったメールは・・あなたには将来素敵なお嫁さんが現れます!・・送信。
それは私です・・なんてね。