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告白記念日

俺の母さんの提案で、夕食は俺の家でということになった。

「母さん、今日はどんな料理を作るの?」

「たけのこご飯よ」

「たけのこご飯?」

「あとは?」

「あとはって・・蘭、何が言いたいのよ」

「だってせっかく理奈ちゃんの家族を招待するんだからさ!それにこの前理奈ちゃん家はカニだったんだよ」

「あー、そうだったわね」

「だから少しは奮発しないと!」

「例えば?」

「例えば・・すき焼きとかさ!」

「そうね・・じゃあもう一度買い物に行かないとなあ」

「一緒にいくよ!」

「ぼくも!」

「あら、二人とも珍しいわね・・」

・・今日は特別さ!


俺たちが買い物から帰る頃には、夕日も沈み外灯があちこちについていた。


「おっ!大量に買い込んできたな」

「この子達が一緒だと、あれもこれもっていっぱい買わされちゃうわ」

「へへぇ」


「蘭、理奈ちゃん達を呼んでらっしゃい」

「はーい!」

俺と翼は外階段をかけ上がった。


『♪ピンポン』

「はーい」

「佐藤です!」

「佐藤です!」

「蘭君と翼君!」

「そうでーす」

「お迎えに来ました」

「お迎えに来ました」


そして

「お母さん、理奈ちゃん達だよ!」

「お邪魔します」

「どうぞ!散らかってますけど・・」


父さんたちは挨拶もそこそこに、理奈ちゃんのお父さんが持ってきてくれたビールで早くも乾杯してる。


そして、理奈ちゃんは俺の母さんのところへ来て何やら話している。

「私、お父さんにちゃんと言えました!自分の気持ちを」

「そう!でお父さんは何て?」

「一から考え直してみるって」

「あとはお父さんを信頼して。子供のことを思わない親なんていないんだから!」

「はい!」

「笑顔が戻ったわね!理奈ちゃん」


「お姉さんたちなに話してるの?」

「ああ翼君、さっきお父さんに話してたことを、翼君のお母さんに報告してたのよ」

「さっきって・・ああ、蘭が好きだってこと!」

「えっ!」

「ん!?」

「違うの?」

「違くはない・・けど・・」

「あっ、理奈お姉さん顔が真っ赤だよ!」

「えっ!」

「こら翼!お姉さんを困らせないの・・」


俺はコーラを飲みながら、あの理奈ちゃんの言葉をずっと考えていた。

「蘭君から遠く離れてしまうのは嫌なの!」って言葉を・・。


理奈ちゃん、それってやっぱ『告白』ってやつなの!?

そんなこと面と向かって聞けるわけないしなあ・・。


「ん?蘭、何ニヤけてるの」

「えっ!別に」

俺は努めて冷静を装ってはいるが、翼にまでバレバレとは。隠し事の出来ないタイプなんだよなあ昔から・・。


「蘭君、さっきのことなんだけど・・」

「えっ!」

「私・・蘭君の彼女になりたい!」

「うん・・・ええーー!!」

俺の頭は天と地がひっくり返っていた。まさしくこれは『告白』だ!


「ねーお母さん、彼女ってなあに?恋人のこと」

「えっ?どうしたの翼」

「ん・・理奈お姉さんが蘭の彼女なんだって」

「ん?」

「今話してるの聞こえちゃった」

「あらまあ!」


「佐藤さんは初恋はいつですか?」

「初恋ですかあ・・んん・・小学校の高学年頃ですかね」

「安藤さんはどうです?」

「わたしもその頃ですね。クラスに可愛い子がいて!」

「わたしも同じクラスの子でした!」

「・・実は理奈なんですけど、どうやら今その初恋の真っ最中みたいなんです」

「ほおー・・若いっていいですね!」

「ええ!その相手が蘭君みたいで」

「えっ!」

「今日理奈と話していてわかりました」

「そうですか・・長いお付き合いになるといいですね!あの子たちも私たちも」

「では乾杯といきますか!」

「そうですね。若い二人に『乾杯!』」


あーあ!ついに口に出して言ってしまった。ちょっと勇気がいったけど、なんだか心の中がスッキリした感じ。

今日が私にとって、今までで最大のイベントだったかな!

『告白記念日』・・これから蘭君といっぱい、ステキな記念日ができますように!




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