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俺は呼吸が止まった

女子の二回戦も5対0で圧勝だった。早くも次の試合が楽しみって理奈ちゃん。


「翼、本当に車じゃなくていいの?」

「うん!蘭たちと帰るよ」

「そう。じゃあ気を付けてね」

「うん」


「蘭、最後カッコ悪かったねー!」

と余計なことを言う翼。

「そうだよ蘭」

「仕方ないだろう。オーバーヘッドをするにはボールが低すぎたんだよ」

「だったら普通に蹴ればよかったじゃん」

「瞳の言う通りよ。何で蘭君あそこでオーバーヘッドを狙ったの?」

「何でって・・」・・理奈ちゃんの例の言葉が聞こえた気がしてさ。

「あのままパスを足元にうけて、振り向きながらのシュートで決まったはずよ!」


「カッコつけようとしたな!」

「翼君の言う通りね。理奈にいいとこみせようとして・・」

「うっ・・」図星だ。


それから延々、俺は非難されっぱなし・・。


「じゃあなあ蘭!また明日学校で」

「じゃあね理奈」

「うん、応援ありがとうね」

「ばいばい!」

「ばいばい!翼君」

ふうっ、やっとうるさいのがいなくなったか。


「さあ、帰ったらお父さんに電話しないとな!」

「あっそうだよね。大丈夫?理奈ちゃん」

「うん!蘭君に勇気もらったからね」

「あんなミスキックで?」

「うん」

「あんなミスキックでねー・・」真似するな翼!


そして俺たちのマンションに。

「お父さんに電話してからメールするね!」

「うん」

「またね翼君。今日は大きな声援ありがとうね」

「うん。理奈お姉さんガンバレ!」

「うん!」

そう言って理奈ちゃんは上の階に姿を消した。


「あれ?」

「どうした翼?」

「ドアがあかない」

「えっ!」

俺はドアノブに手をかけ開けようとしたがダメだ!鍵が掛かってる。

「お母さんまだなのかな」

「そんなはずないけどなあ」


俺と翼は駐車場に行ってみることにした。

「あっ、母さんまだだ。車がないよ」

「どうしちゃったんだろうね」

「ん・・」まさか事故とかじゃないよね。


「どうしよう蘭?」

「携帯持ってないからなあ・・」


仕方なく僕らは前の通りに出てみた。

「母さんが帰るのを待つしかないな」

「ぼくお腹空いちゃったなあ!」

「俺も・・」


「蘭君に翼君じゃないか!」

「ん?」男のひとの声だ。

振り向くと・・

「あっ!」

「理奈ちゃんのお父さん!」

「覚えててくれたかい?」

「もちろんです」

「ありがとう。ところでここで何をしてるの?」

「お母さんを待ってるんだ!」

「もうとっくに帰ってるはずなんですけど、まだみたいで家に入れなくて・・」

「それは困ったね」


するとそこに声がした。

「あっ!お父さん」

「あっ!理奈お姉さんだ」

「理奈ちゃん!」

「蘭君に翼君!」


そんなわけで俺と翼は、理奈ちゃんの家におじゃますることになった。

俺と翼は、理奈ちゃんのお母さんが出してくれたカルピスを一気のみ!

「ふうっ」


母さんは、休日出勤の父さんを迎えに行き、そのまま夕飯の買い物をしてくるらしい。だったら初めに言ってくれればいいのに・・。


「理奈たちは今日サッカーの試合だったんだろう。どうだった?」

「お姉さんも蘭も両方のチームが勝ったよ!」

「ほう!それはたいしたもんだな」

「まだ地区予選の1,2回戦ですから」

「それで勝ち抜けばもっと大きな試合に出場出来るんだね」

「はい」

「女子は強いけど、男子チームは弱いからなあ・・」

「黙れ翼」

「えっ?そうなのかい翼君・・」

「ねー蘭」・・・。


そして

「あのねお父さん、私お父さんに話があるんだ」

僕らの話が途切れるのを待って、理奈ちゃんはそう切り出した。


「翼、お母さんまだか見てこようぜ」

「ん?・・うん」

俺は翼をつれてその場を離れようと思った。大事な家族会議だもんな。そして立ち上がろうとした瞬間だった。

「私この町でもう少し暮らしてみたい!」

「理奈・・」

理奈ちゃんの口調はとっても強いものだった。歩みかけた俺と翼の体は思わずフリーズだ。


「友達と勉強やサッカーがしたい!それに・・」

「それに?」

「・・蘭君から遠く離れてしまうのは嫌なの!」

「うっ・・」俺は呼吸が止まった!


「それが理奈の本音ね」

「お母さん・・」

「あなたも気づいていたはずよね」

「ああ」

「お父さん・・ごめんなさい・・」

「謝ることはないよ理奈。お父さんももう一度考えてみるよ!一からね」

「うん」

「まだまだ子供だと思ってたけど、成長したな!理奈」


そんなふうに言う理奈ちゃんのお父さん、悲しいというよりなんだか嬉しそうな顔に見える。


『♪ピンポン』

「蘭君と翼君のお母さんかな・・」

すると翼が玄関まで走って行ってしまった。

こら翼!ここは理奈ちゃん家だぞ・・。





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