先生の結婚
俺は結局、土日をはさんで4日も学校を休むことになった。そして今日は久々に学校に登校だ!
俺はいつもより10分も早く家を出て、理奈ちゃんを待つことにした。
5分後、3階の扉が開く音がして、理奈ちゃんが階段を下りてきた。
「佐藤君!」
「おはよう!」
「いつもより早いんじゃない!」
「ああ、たまには安藤さんより早くって思ってさ」
「ありがとう。でも寒かったでしょう!病み上がりなんだし」
「大丈夫だよ!さあ行こう」
「うん」
なんでかなあ?!今日はどうしても理奈ちゃんより早くここにいて、理奈ちゃんを待ってみたかったんだよな・・。
「大変だったね!」
「うん」
「でも元気になって良かった」
「特効薬が効いたんだよ!」
「ん?特効薬が・・」
「へへぇ」
「何よ?変な佐藤君」
特効薬・もちろん理奈ちゃんの手紙のことだよ!
「おはよう!蘭、安藤さん」
「おう、一也!」
「おはよう」
「いつもより早いんじゃないか二人とも?」
「そうか?俺はいつもの時刻に家を出たぞ」
「そうか、じゃあ俺が遅いのか・・」
「フフフっ」理奈ちゃんはそっと笑っていた。
本当は5分早いんだよ。
「それにしてもお前たち仲がいいな!」
「そうか?」
「なんかうらやましいよ」
「じゃあ、和久井君も毎朝一緒に登校しようか」
「えっ!・・俺は遠慮するよ。俺だってそんな野暮じゃないさ」
「一也は瞳にぞっこんだもんな!」
「えっ!そうだったの?」
「蘭、余計なことは言わなくていいの」
「瞳も・・和久井君が好きなんじゃないかなあ・・」
「そんなことあるもんかよ!瞳のやつ、いつだって俺に突っ掛かってきてさ」
「安藤さん、なんで瞳が一也のこと好きだと思うの?」俺は聞いてみた。
「ん・・女の勘かな!」
「ふーん・・」
「もうその話はよそうぜ!寒いから急いで行くぞ」
そう言って、一也は走り出した。
「なんだあいつ?」
「・・・」
「俺たちも急ぐか!」
「そうね!」
そして教室へ。
「おはよう一也!」
「ああ・・」
「ん?」
「おはよう」
「おはよう蘭、理奈。蘭、良かったね!元気になって」
「うん、お陰さまで・・」
「あのさ、一也何かあったの?」
「どうてだ瞳?」
「なんかいつもと様子が違うというか・・」
「・・恋の病じゃないのか?!」
「はあっ?一也が・・」
「理奈、わかる?」
「ん・・・」
「蘭、それどういう意味なのよ?」
「さあ・・」
「さあって・・こら!蘭、はっきり言え」
「今日から蘭も復帰してくれました拍手!」
「どうも・・」
ミス横山、それはオーバーでしょ!
「これでこのクラスも全員揃ったってことね。みんなが揃ったら言おうと思ってたんだけど、私、今度結婚することになりました!」
「えっ!先生おめでとうございます」
「ありがとう」
ミス横山は、確か俺たちとちょうど一回り違うから、今26歳だな。今度からはミセス横山かあ、いや、名字変わっちゃうのか・・。
「横山先生もついにお嫁さんかあ!」
「瞳!瞳も早く結婚したいタイプなのか?」
「もちろんよ!一也とは全然違うタイプの男性とね」
「ちえっ!・・ほらな」
そう言って、一也は理奈ちゃんに何かを訴えていた。
「でも、横山先生美人よね!」
「うん、私もそう思う」
女の子の意見はそうなんだけど・・?
まあ、先生おめでとうございます!
「あのさあ、聞いていいか?!」
「何だ?」
「お前たちって付き合ってるの!?」
「えっ!」まず驚いたのは理奈ちゃんだ。
「うん、私もそれ知りたい」瞳まで。
「そんなんじゃないよ!なあ安藤さん」
「えっ、うん。そんなわけないよ!」
「そうかあ?二人はお似合いだと思うけどな」
「珍しく一也の意見に賛成!」
「いやあ、付き合ってるって言うか・・」
「そう、実は付き合ってる!」
「安藤さん!!」俺はマジで驚いた。
「だってアドレス交換してるもん!」
「えっ、それだけ?」
「ダメなの?」
「そういうのって、付き合ってるって言うのかな?」
「・・微妙・・かな?!」
瞳は真剣な表情でそう言った。
俺たちは夜、毎晩のようにメールのやり取りをしていた。理奈ちゃんの方は、勉強もそれなりにやってるみたいだけど!
内容といえばたわいのないことだ。当然、好きとか愛してるとかそんな言葉は登場しない。
今日は弟の翼の事が話題になった。理奈ちゃんは一人っ子だから、弟のいる俺がとてもうらやましいそうで。お父さんとお母さんにお願いすれば!っていったら、無理の絵文字が返ってきた。
クラスの中でも一人っ子は少ないなあ・・一也なんか4人兄弟だし!
理奈ちゃんは、ミス横山の結婚の話題も書いてきた。私も早くお嫁さんになりたいなあなんて、ドキッとするようなことも・・。瞳もそうだけど、女の子って結婚に憧れるものなのかなあ?
そんな理奈ちゃんからのメールに、いきなり手のひらの画像が付けてあり、最近は手相に興味があるとか・・。試しに俺も、自分の手のひらの画像を理奈ちゃんに送ってみた!ちょっと理奈ちゃんの手相診断が楽しみだ。
俺は何度も何度も理奈ちゃんの手のひらをながめていた!そしていつの間にか眠りについていた。