大好きよ
私たちは瞳のお母さんのお店にいた。
「昨日の嵐ですっかり桜が散っちゃったね!」
「ホントだね」
「明日からまた学校だな」と蘭君。
お父さんが来てくれて、蘭君ともいっぱいおりゃべりをして、部活もあって・・あっという間の春休みだったな。
「ああ、なんか憂鬱・・」
「蘭たちは部活いつまで?」
「春の大会が終わるまでかな」
「今回も女子は、県大会までは楽勝だろうな!」
「だよね・・」
「あら、男子だってそうよ!」
「理奈、男子はいつも1回戦突破がやっとなのよ」
「そんなことないよね蘭君!」
「ん・・・」
このところの男子は、すごく気合いが入っている!県大出場も夢じゃないわ。なんてったってエースストライカーの蘭君がいるんだから。
そんな蘭君の活躍を、私は近くで見ることが出来るのだろうか・・。
「じゃあ、明日学校で・・」
「バイバイー」
私はベッドに横になり、ボーッとと天井を見つめていた。すると
ブーブー・・蘭君からメールが届いた。
「理奈ちゃん、助けて!」
助けてって、蘭君どうしたの!?私は慌ててメールを送った。
「何かあったの!?」
「プリント全然やってなかった!」
「プリントって宿題の?」
「うん」
「蘭君、プリント持ってすぐ来て!」
「はい」
春休みの宿題って、蘭君、春休みは今日で終わりなんですけど・・。
そして、玄関のチャイムが鳴った。
ピンポン
ドアを開けると、そこには息を切らせた蘭君が。
「蘭君、早く入って!」
「お邪魔しまーす」
「あら、蘭君いらっしゃい」
「すみません突然」
「どうしたの?」
「それが緊急事態で・・」
「えっ?」
「蘭君早く!」
私の部屋に入ると、蘭君は真新しいプリントを開いた。
「蘭君、もしかして今初めて開くのそれ?」
「はい・・」
「もうー蘭君!」
「・・あのこれ母さんから」
「早速始めましょう!」
「うん」
私たちは、蘭君のお母さんからもらったアイスキャンディーを頬ばりながら、宿題に取り掛かった。と言っても、蘭君はわたしのプリントを写すだけ・・。
今回だけよ!蘭君。
私は蘭君がプリントを写している間、あることを考えていた。そう、ロシアに行くと決心したことを、蘭君に言わないと・・。
そして私は言った。
「蘭君、私・・お父さんのところに行こうと思う」
「えっ!」
「ロシアに行こうと思う」
「・・・」
「蘭君、ゴメンね・・」
「・・・」
「蘭君・・私のこと好き?」
ためらいもなく、恥ずかしくもなく、そんな言葉が私の口をついた。
「・・好きだよ。大好き!」
「やっと聞けたな・・」嬉しかった!
「理奈ちゃん・・」
「ロシアに行っても、ずっと蘭君のこと好きでいるね!」
「俺もさ!」
部屋を出るとお母さんがいた。
「あら蘭君、もう帰っちゃうの」
「はい、お邪魔しました」
「じゃあこれ持っていって!クッキーよ。翼くんと食べて」
「ありがとうございます」
「蘭君、そこまで送るわ」
「大丈夫!すぐ下だからさ」
「うん」
「じゃあ、また明日ね!理奈ちゃん」
蘭君は行ってしまった。
「理奈、何かあったの?」
「蘭君に話したの。私の気持ち・・」
「ロシアに行くってことを」
「うん」
「そう・・それで蘭君はなんて?」
「私の顔をずっと見てた!」
「そうなんだ・・蘭君は優しい男性よ。どこに行ってもずっと理奈の味方でいてくれるはず!」
「うん!」
その夜、私はメールを送った。
「私も蘭君が大好きよ!」
そのあとにハートマーク10個付けて!
すると、ブーブー
「俺もです!」
ハートマークが1、2、3、4、5・・・12個付の蘭君の返信。
ありがとう!蘭君。