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演技

私は部屋の窓を開けた!心地よい風が頬っぺたにあたってくる。もう季節はすっかり春だ。お父さんのいる北海道はどうかな?きっとまだ風は冷たいんだろうな・・。


ブーブー・・あっ、蘭君からだ。


「理奈ちゃんもお花見行くの?」

何のことだろう。

「蘭君、お花見がどうかしたの?」

「うちの母さんが、理奈ちゃんのお母さんをお花見に誘うって言ってたから・・」

「そうなんだ。蘭君は行かないの?お花見」

「聞かれたけどパスした!」


その時、お母さんが部屋に入ってきた。

「理奈、お花見行こうか。蘭君のお母さんからお誘いがあったから・・」

「あっ・・うん」


「蘭君、私もお母さんにお花見行かないかって聞かれちゃった。どうしよう?」

「理奈ちゃんも!」

「ねー蘭君、行こうよ!お花見」

「理奈ちゃんがそう言うなら行ってもいいけど・・」

「じゃあ決まりね!」


「お母さん、それで場所はどこなの?」

「△△公園よ!」

「あーあ、あそこね!」

そこは蘭君と初めてデートした場所。すごく寒い日だったのに、私は手袋を忘れてしまって・・そしたら、蘭君が貸してくれたんだっけなあ!


そして蘭君たちと合流し△△公園にやって来た。


「うんー、やっぱり桜はいいわねー!」

「ホント、心がウキウキしますね!」


桜って他の花にはない魅力がある。歌にもたくさんなってるし、入学式とかにはやっぱり桜の花がよく似合う。

咲き誇ればインパクト十分のその桜も、嵐が来ればすぐに花を散らしてしまう。


そんな桜の花の下で、私は翼君とある作戦をたてていた。

そして

「蘭君、翼君のところ行ってみない?!」

「ああ」


翼君はひとり桜の木の下で何やらやっている。

私は小さい頃から虫や昆虫やカエルが好きで、よく捕まえては遊んでいた。ケムシなんかもへっちゃらだ!


「翼、そんなところで何やってるんだ?」

「これ!」

翼君は、先にケムシのついた棒を前につきだしてきた。

「うっ・・」

翼君の言う通り、蘭君は虫が苦手らしい!

「キャー!」

ゴメン蘭君、これは私の演技でーす!

「ん?」

そして私は蘭君に思いっきり抱きついた!!

「ん?・・あっゴメン蘭君」

そして、一応謝った。

「理奈お姉さん、顔真っ赤だよ!」

「えっ!」・・これは本物だ。


「おっ!あっちでは青春してるみたいよ!」

「みたいですね!」


「ふう、驚いた」

「ゴメンよ理奈お姉さん」

「うんん・・私ケムシだけはダメなのよね!カエルとかトカゲとかは全然平気なんだけど」

「えっ!トカゲも平気なの・・」

「蘭はダメだよねトカゲ」

「うるさい!」


「翼君、お手洗い行こうか」

私は翼君を誘った。

「うん」

「翼君、ありがとうね!協力してくれて」

「お安いご用だよ!」

「翼君の演技も上手だったよ」

「へへぇ」


私と翼君がお手洗いから戻ると、何やら会話が盛り上がっていた。


「何の話?」

「いや、なんでもないよ・・」

「あっ!内緒話だな」と翼くん。

「違うよ」

「フフフッ」

あっ!もしかしてお母さん見てたの?私の演技。


「さあ、そろそろひきあげましょうか!」

「そうね」


「今日は誘っていただいてありがとうございました」

「いいえ、こちらこそ楽しかったです」

「じゃあね蘭君、翼君」

「お姉さんバイバイ」

「バイバイ。翼君ありがとね!蘭君、あとでメールするね」

「ああ」


「お母さん、私お父さんと一緒にロシアに行ってもいいよ!」

「理奈・・」

「だってお父さんひとりじゃかわいそうでしょう」

「今度電話で、もう一度お父さんと話してみなさい!」

「うん」


「蘭君、今日は変なことしちゃってゴメンね!」

「変なこと?」

「キャー!ってさ」

「あーあ、あれか!」

「そう、あれ!」

なんとなく蘭君と想いでづくりみたいなのがしたくて。


「そうだ、今日翼にありがとうって言ってたけど、何だったの?」

「内緒よ!・・あとで翼君に聞いてみて」

「わかった」

「蘭君・・」

「なに?」

「うんん、おやすみ!」

「おやすみ」


蘭君・・・。


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