お土産
私たちは空港から電車に乗った。私を真ん中に、右にお父さん、左にお母さん。なんか小学生に戻った感じ。元々話好きのお父さん、私たちがこっちに来てからの事を、色々と話してくれた。ご飯はどこで食べて、洗濯や部屋の掃除までして・・っと。でも、仕事の話はなし!ましてロシア行きの話は全然。
そしてマンションの前まで来ると、蘭君が外階段を上がっていくのが見えた。あれ蘭君?どうしたんだろう・・。
私たちは荷物が結構あったので、3階までエレベータを使った。私、このエレベータ乗るの何回目かな・・。
「さあ、入って!」
「うん」
「お父さん、そこのソファーへどうぞ!」
「ありがとう」
「結構広いんだな!」
「ええ、二人では広すぎるぐらい!」
「そうだ!お土産があるぞ」
「やったー!」
「ホタテにイクラにウニ!」
「わあ、海産物だらけね!」
「どれも新鮮だぞ!」
「それと、明日カニが届く!あと理奈にはこれだ・・開けてごらん」
「うん!何かなか・・」
「わー!素敵」
「小物入れ。模様がすごく気に入っちゃってね!」
「それにこの青色もキレイだわ!ありがとうお父さん」
「よかったね理奈!」
「うん、大事にするね!」
紺に近い青色。そこに金色の線で模様が出来ている。それにかなり重い!何で出来てるんだ?
「理奈、理奈もあるんじゃない!渡すものが・・」
「あっそうだ!」
私は自分の部屋からあるものを持ってきた。沖縄でお父さんのために買ったキーホルダーだ!
「はい、お父さん。沖縄のお土産だよ!」
「何だろう?開けていいか」
「うん」
お父さんは袋からキーホルダー
取り出した。
「お守り!?」
「うん!」
「ありがとう理奈。お父さんも大事にするよ」お父さんはすごく喜んでくれた。
結局この日は、お父さんからロシア行きの話が出ることはなかった。
蘭君に報告しないとな!心配してくれてると思うから・・10時かあ、まだ蘭君は起きてるはず!
「お父さん、無事に家に着きました。色々話ができて楽しかった。でも、ロシアに行くとかいう話は、今日はなかったです!」・・送信。
しかし、いくら待っても蘭君から返事が来ない。
「蘭君、起きてる!?」・・2度目の送信。
「起きてる。そうなんだ。わかった!」
やっと返事が来た。やっと来た返事なのに、なんか薄っぺらいよ蘭君。
「お父さんに蘭君のこと言ったら、ぜひ会ってみたいって!蘭君どうする・・」
「会ってはみたいけど、やっぱ照れ臭いなあ」それはそうよね!
「そっかあ・・じゃあ明日、家族みんなで家に来ない!実はね明日北海道からカニが届くのよ。ちょっと待ってて、お母さんに聞いてみるから・・」
私はリビングに駆けていった。
「お父さん、明日カニが届くんだよね!」
「ああ、食べきれないほどな!」
「よかった。ねーお母さん、明日蘭君たち家族を招待して、カニパーティーしない!?」
「ええ?」
「蘭君って、さっき理奈が言ってたボーイフレンドの?」
「うん!お父さんも会ってみたいって言ってたでしょう」
「蘭君のご両親が迷惑でなかったら、お父さんは賛成だよ!」
「そうね!大勢のほうが楽しいし・・蘭君のお母さんに電話してみようか・・」
「うん」なんかワクワクしてきたぞー!
そして・・。
「理奈ちゃん、明日家族でお邪魔することになったよ」
「うん、今電話中だよ、お母さんたち」なんか二人で盛り上がってるみたい。
「野菜とかをうちが持っていくってさ!」
「ふーん、なるほどね!」蘭君は野菜が大好き。正確には野菜ジュースだけどね。
「明日楽しみだね」
「うん、すごく楽しみ」
「そうだ蘭君、今日夕方、外階段を上がっていくとこ見かけたよ!」
「ちょっとね・・」
もしかして蘭君、私のこと待っててくれた・・。
わいわいガヤガヤ!明日はきっと大盛り上がりね。
それにしてもお父さん、あの話はいつ私にするつもりなの・・?