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再会

「理奈、準備はいい?」

「うん」

私たちは午後4時着の飛行機を出迎えるため、空港に向かった。


「定刻に着くみたいね」

「ってことは、あと30分くらいあるね」

「理奈、お茶しようか!?」

「うん、賛成!」

私とお母さんは、広い空港内で、お店を探すことにした。


「空港って結構人がいるのね!」

「ねーお母さん、お父さんはどんな格好で来ると思う?ちゃんとネクタイを締めてくるか、それともラフな格好か・・」

「えっ?・・理奈はどう思うの」

「ネクタイ姿!」

「そう、お母さんは意外とラフな格好だと思うけどな」

「うんん、絶対にネクタイを締めてくるわ!」

「すごい自信ね!」


私たちはなんとか空いている適当なお店を探しあて、お母さんはホットコーヒー、私はレモネードを注文した。

私は敢えてロシア行きの話はしなかった。それはお母さんも同じ。


「午前中、蘭君と会ってたんでしょ!?」

「うん」

「蘭君、何か言ってた?」

「別に・・お父さんの顔は見てみたいけど、会うのはちょっと恥ずかしいって!」

「そう・・」

「ここまで連れてきちゃえばよかったな!」

「理奈、そんなこと迷惑でしょう!」

「冗談よ」

「でもお父さん、蘭君のこと一目で気に入ると思うな!」

「私もそんな気がする」


「・・そろそろ行ってみましょうか」

「そうだね」


今頃理奈ちゃんたちは空港にいるだろう。午後4時着の飛行機って言ってたから!


「いよいよだね!」

「うん」

「大丈夫?理奈ちゃん」

「うん」

「よかった!」


「お父さん、ネクタイを締めてくるかなあ?」

「なんでそんなことを?」

「いつだったか、私がお父さんのネクタイ姿を『お父さんカッコいい!』って言ったことがあってさ。そしたらお父さん、とても喜んでてて・・」

「ふーん、じゃあ今日もネクタイ締めてるね!俺だったら絶対そうするもん」

「蘭君もそう思う?!私もそんな気がする・・」


「蘭君、お父さんに会ってみたい?」

「うん。どんなひとか興味があるというか・・でもすごく照れ臭いな!」

「フフフッ・・でもいつか絶対会ってもらうよ!」

「・・はい!」


次に理奈ちゃんと話すときは、ロシア行きのことがどうなったか、結果が出ちゃってるのかなあ・・。多分最初はメールがくるんだろうけど、今度は俺の方が、その内容を見るのが怖い。そこにどんな文字が並んでいるのか・・。


私たちは空港の到着ロビーで、お父さんが現れるのを待っていた。5分ほど前に、お父さんの乗った飛行機は空港に着いたとアナウンスが流れていた。


手荷物を抱え、どんどんと人が出てくる。私は必死でお父さんの姿を探した!

そして

「あっ!お父さん」

「お母さん、ほらあそこ・・」

「お父さーん!」私は叫んだ。


紺色のスーツに、落ち着いた柄の金色のネクタイ!


私たちに気づいたお父さんは、笑顔をみせ、少し遠慮がちに手をふっている!何となくお父さんらしい、そして懐かしいしぐさだ。

私はお父さんのところまで駆け寄っていった!

「お父さん!」

「理奈、迎えに来てくれたのか!」

「うん」


「理奈、元気だったか?」

「うん!お父さんは・・ちょっと痩せたかなあ?」

「そんなことはないと思うけど」

「お父さん、荷物ひとつ持つよ」

「おう、ありがとう」

私は小さい方の荷物を受け取った。これはもしかしてお土産かな?


「あなた、まっすぐ家に行くでしょ!」

「そうだな」

「お父さん、いつまでこっちにいられるの?」

「水曜までだ!」

「そう、意外と短いんだね」

「ごめんよ」


こうして、3月28日土曜日、午後4時20分。

私たちはお父さんと再会した!


蘭君、無事にお父さんに会えたよ。

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