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絆創膏記念日

いよいよ明日から春休みだ!

「お母さん、お父さんは今度の土曜日に来るのよね!」

「そうよ!理奈、昨夜も同じこと言ってたわよ」

「そうだった?」

「ええ」

「だって嬉しいんだもん!」

「そうね!」

「じゃあ行ってくるね」

「チャーハン作っておくからね」

「うん」

私はランラン気分でドアを出た。


私はいつものように、外階段の踊り場で蘭君を待つ・・そして扉が開いた。

「おはよう蘭君」

「おはよう!」

「あれ?指ケガしたの」

右手の親指に絆創膏がしてある。

「これっ、大したことないよ!翼の宿題を手伝っててさ」

「宿題?」

「彫刻刀でね・・」

「そうなの・・大丈夫?」

「平気だよ!」

そう言って、蘭君は右手をぷらぷらさせてみせた。


歩きながら、私は蘭君に話しかけた!

「あのさ・・」と私。「あのさ・・」と蘭君。

そしたら蘭君も!二人は同じタイミングで話しかけていた。


「何蘭君?」

「うん・・実はさ、今日、お昼ご飯を一緒に食べたいなあ・・なんてさ」

「えっ!」

「ダメ?」

「ダメじゃない!私が今言いかけたのもその事よ」

蘭君も同じことを考えてたんだ!

「そうなの!」

「この前みたいに一緒にどうかなって」

「なんだそうだったのか・・」

「うん」

「翼もいるんだ!」

「大歓迎よ!」

翼くん、可愛いもんね!

「よかった」

「うちまたチャーハンなんだけど」

「うちも多分そうだろうな」


蘭君のお母さんが作るチャーハンは、お醤油の香ばしさが特徴なんだよね!


教室に着くと和久井君が、蘭君のところにやって来た。

「蘭、今日なんか予定あるのか?」

「どうかしたのか一也?」

「今日も瞳のとこ行かないかなあと思ってさ!」

「えっ、またいくのか?卒業式の日に行ったばかりじゃんか。それに今日はダメなんだ!翼も今日早く帰ってくるから、家にいてやらないと・・」

「そっか、じゃあ仕方ないか」

「わるいな一也!」

「理奈ちゃんは・・ダメだよな!俺ひとりで行くか」

「瞳も一緒なんでしょ!」と私は言った。

「そうだよ一也、そのままデートしちゃえよ!」

「えっ!」

それいいかもね!それで蘭君、私たちは・・?


「何話してるの?」

噂をすれば・・。

「いや、なんでもないよ」

「一也のなんでもないは、何かあるってこと!」

「なんだそれ?」

「白状しなさいよ!」

なんでもわかっちゃってるんだね!和久井くんのこと。


「蘭、部活ないときは連絡くれよな!」

「おう」

「理奈もね!」

「うん」

「じゃあね!蘭、理奈。ほら一也行くよ」

「じゃあな!」

「あっ一也!」

「ん?」

「頑張れよ!」

「おう!・・瞳、待てよー・・」

フフフッ!瞳、和久井くん、ファイト!


「理奈ちゃん、俺たちも帰ろうか!」

「うん」


♪ララララ・ララララ・・・。

私がリンゴの皮をむいていると、なんの歌かわからないけど、不意にそんなメロディーがくちびるを動かす。

これから蘭君と一緒にランチだし、土曜日にはお父さんにも会える。


嬉しいときには鼻唄をよく歌う!これね、いつもお母さんが私に言ってるのは・・。


そして私は蘭君の家のチャイムを鳴らした。

ピンポン!

「はい、佐藤です」

「あっ、翼くん!安藤です」

「理奈お姉さん!待って今開けるね」


「こんにちは翼くん!」

「お姉さん!・・どうしたの?」

「これ!一緒に食べようと思って」

「そうだったんだ・・」


「あっ!理奈ちゃん。どうぞ上がって」

「お邪魔していい!?翼くん」

「うん!」ありがとう。

「お邪魔します」

「理奈ちゃん、そこの席どうぞ!」

「うん」


「それでか・・」

「翼くん、何が?」

「蘭がまだチャーハンを食べてなかったわけ」

「えっ?」

「いつもなら、帰ると着替える前にまずご飯だもんね!」

「そうなの」

「ねー蘭」

「余計なこと言うな!」

だいたい想像はつくわよ!


「そうだ翼、理奈ちゃんのチャーハンと半分こにしてもらったら!」

「ああ、私の方も食べてみる?翼くん」

「うん」

「うまいぞー!」


「リンゴもどうぞ!」

「ありがとう。これお姉さんがむいたの?」

「うん、ごめんね下手くそで!」

「そんなことないよ。蘭の方がもっと下手だもん!昨日は彫刻刀でケガするしさ」

「おっちょこちょいなのかな?!」

「そうなんだよねー」・・フフフッ。


「うわー!お姉さんのチャーハンめちゃくちゃ美味しい」

「そう、よかった」

美味しいって言ってくれてありがとう!翼くん。


「蘭、僕これ食べたら友達のとこ行ってくるね!」

「ああ・・」


チャーハンを食べ終わると、翼くんは友達のところへ行ってしまった。


「どうしようか?理奈ちゃん」

「私、蘭君のアルバム見たいな!」

「えっ?」

「ね!いいでしょ」

「うん」

なんかワクワクするな!


「わー!かわいい!!これ蘭君よね」

「うん」

「こっちも・・隣は翼くん?」

「あっ、その写真は・・」

「ん?どうかした・・」

「いや、別に・・」

二人ともはだかんぼだね!


「今度、私のも見せてあげるね!」

「えっ!理奈ちゃんの・・」

「うん、もちろん洋服は着てますけどね!」

「そうだよね」


「私のアルバム、お父さんといっぱい写ってるよ!」

「そういえば、土曜日だよね!お父さんが来るの」

「うん!早く会いたいなあ。蘭君のことも紹介するね」

「うん」


「そうだこれ!」

「あっ!替えるの忘れてた」

そんなことだろうと思って、私は家から絆創膏を持ってきていた。

「見せて!替えてあげるよ」

「理奈ちゃんが?」

「うん」

ちょっとドキドキ!だけどね。私と蘭君の絆創膏記念日ね。


お父さん、蘭君を見たら何て言うかなあ・・。きっと一目で気に入っちゃうと思うけど!

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