ビールで乾杯、ジュースで乾杯
「今日のお夕飯、何にしようかしらね・・翼、何か食べたいものある?」
「何でもいいよ!」
「蘭は?」
「俺も何でもいい!」
「何でもいいだと困っちゃうのよね・・」
「たまには外食でもするか!?」
「父さん、それいいね!」
「そうね!たまには外で食べましょうか」
「やったあー!」
翼も大喜びだ!
「歩いていくだろう?」
「もちろんよ!お酒飲みたいもん」
「そうだよな」
歩いても10分ちょっとのところにファミレスはある。
「まだちょっと夕飯には早いかな」
「そんなこともないだろう。早めにいってゆっくりするのもいいよ!」
「うん、じゃあ行きましょうか!」
「はあーい!」
「翼、競争するか!?」
「おう!」
「気を付けなさいよ」
「いくぞ、ヨーイ・ドン」
「子供たち、おおはしゃぎだな!」
「そうね。実家のイチゴ、すごく美味しかったわ!今日、安藤さんと一緒にいただいたのよ」
「安藤さんって、上の階の?」
「うん。お裾分けに持っていったら、上がらないかって言われてさ」
「そうだったのか」
「今度、ご主人がこっちに来るらしいんだけど・・」
「どうかしたのか?」
「それがね・・・」
「えっ!ロシアに・・」
「うん。安藤さん悩んでる感じだったな。理奈ちゃんのこともあるし・・」
10分かかるところを3分で完走!フウーッ疲れた・・。
「お待たせ。さあ入りましょうか」
「うん」
俺はお店のドアを開けた。しばらくすると・・
「蘭君!」
「えっ!?あっ、理奈ちゃん」
「理奈お姉さん!」
「こんにちは」
「こんにちは。理奈ちゃんもここで食事を?」
「はい、あそこに母もいます。一緒にどうですかって!?」
ホントだ。理奈ちゃんお母さん。
「賛成!」
「僕も賛成」
「じゃあ、お父さんも賛成」
「いいの?理奈ちゃん」
「はい、私も母も大歓迎です!」
そして・・
「こんにちは。先程はどうも。いいのホントに?ご一緒して」
「もちろんよ」
「はじめまして・・蘭がいつもお世話になって」
「はじめまして!お世話だなんてとんでもありません。すみません突然に・・」
「いえ、私たち家族はにぎやかなのが大好きですから!」
「イチゴ、美味しくいただきました」
「新鮮だったでしょ!」
「ええ!ありがとうございました」
こんなところで理奈ちゃんに会えるなんてついてるー!ファミレスに感謝だね。
「蘭、何にするの?」
「俺はハンバーグセット!」
「じゃあ、僕も!」
「フフフッ」
「ん?」理奈ちゃんどうしたの?
「実は私もハンバーグセット!」
そんなとこまで一緒なんて・・運命を感じます。
「理奈ちゃん、ここのファミレスはよく来るの?」
「お母さんの気分しだいってとこかな!」
「うちもそうだなあ!近いし歩いてこれるだろう」
「うん」
大人たちはビールで乾杯。俺たちもジュースで乾杯だ!
大人になるとどうしてあんなものが美味しく感じるんだろうか?いつだったかビールの泡をなめたことがあるけど、苦いだけだった。
それに、あれを飲むと父さんも母さんも、そしておそらく理奈ちゃんのお母さんも上機嫌に・・!
不思議な飲み物だよなビールって・・。
「蘭君、何考えてるの?」
「ビールのこと」
「楽しそうだね!大人はたち・・」
「うん!」
「お父さんもお母さんもビールが大好きなんだ!」
「うちのお母さんもよ!それにお父さんも」
理奈ちゃんのお父さんかあ・・いったいどんなひとなんだろうな・・。