美味しい~
「ただいまー!」
「おかえりなさい」
「今日蘭君のお母さん来たでしょ!」
「うん、美味しいものをいただいたわよ!」
「えっ?」
「冷蔵庫開けてごらん」
「うん」なにかなあ・・。
私は手を洗うとすぐに冷蔵庫を開けた。
「わー!イチゴね・・扉を開けただけで、すごくいいにおい」
「早くいただきなさい!」
「うん」
パクリ!・・美味しい~!
ほっぺが落ちるとはまさにこの事だ!大きな真っ赤なイチゴ。最高の美味しさ!!
「このイチゴどうしたんだって?」
「蘭君のお父さんの実家でつくってるんだって!」
「へえー、美味しいから何個でも食べれそう」
「それ全部理奈の分だからね」
「お母さんは?」
「ごめん、先にいただいたの!蘭君のお母さんと一緒にね」
「そうだったんだ」
「いつも理奈がお世話になってますって、お礼言っといたわよ」
「そう。蘭君のお母さんもなかなかの美人よね!」
「ホントね!」
「それで何の話をしたの?」
それが一番気になるよ。
「色々世間話をね!それに歳が一緒だから話が合って。面白いし、なかなか知的な女性よ、蘭君のお母さん」
「うん」
「理奈、今日は外でご飯食べようか!」
「いいわねそれ!」
「外食と言ってもファミレスだけどね」
「全然OKよ!」
「まだちょっと早いけど出掛けようか!お母さん、なんだかお腹すいちゃって・・」
「何にしようかなあ・・」
「理奈はいつもドリアかパスタでしょ!」
「うん、でも今日はなんか違うものがいいって感じかな」
「何でも好きなものをどうぞ!」
「お母さんはどうするの?」
「お母さんは、お寿司とうどんのセットでガツンといくわよ!あと、食前酒もいただいちゃおうかな・・」
「じゃあ私はハンバーグセットがいいな」
「OK」
そう言ってお母さんが注文をしようとしたときだった。
「あっ!蘭君だ」
蘭君たちがお店に入ってきた。
「えっ!」
「ほらあそこ・・」
「ホントだわ!・・誘っちゃおうか?!」
「私はいいけど、悪くないかなあ家族水入らずのとこ」
「そんなことないわよ!声かけてらっしゃいよ。驚くわよ」
「うん」
子供の私が気を遣ってるのに、お母さんたら・・でも私は蘭君と一緒なんてラッキーだけどね。
そして私は蘭君のもとに・・。
「蘭君!」
「えっ!?あっ、理奈ちゃん」
「理奈お姉さん!」
「こんにちは」
「こんにちは。理奈ちゃんもここで食事を?」
「はい、あそこに母もいます。一緒にどうですかって!?」
わっ、お母さんたら手まで振ってるわ!
「賛成!」
「僕も賛成」
「じゃあ、お父さんも賛成」
「いいの?理奈ちゃん」
「はい、私も母も大歓迎です!」
そして・・
「こんにちは。先程はどうも。いいのホントに?ご一緒して」
「もちろんよ」
「はじめまして・・蘭がいつもお世話になって」
「はじめまして!お世話だなんてとんでもありません。すみません突然に・・」
「いえ、私たち家族はにぎやかなのが大好きですから!」
そして私たちは、大きめにテーブルに移動した。
なんという偶然だろう。蘭君の家族に、今日こうしてファミレスで会う確率っていったいどのくらい?
「蘭、何にするの?」
「俺はハンバーグセット!」
「じゃあ、僕も!」
「フフフッ」
「ん?」
「実は私もハンバーグセット!」
「理奈ちゃん、ここのファミレスはよく来るの?」
「お母さんの気分しだいってとこかな!」
「うちもそうだなあ!近いし歩いてこれるだろう」
「うん」
そして料理が運ばれてきた!大人たちはビールで、私たちはジュースで乾杯だ。
お母さんたち大人は、こんなときどんな話をするんだろうな?子供のこと、世の中のこと、あるいは人生について・・。
ここにお父さんがいたらもっと楽しかったろうな!
お父さん、早く会いたいよ・・。