眠れない
期末テストも終わったし、今日はゆっくりしよーッと。女子は今日も部活があるんだよなあ!男子はなし。これじゃあ差も広がるはずか・・。
「ただいま」
「お帰り」
なんだ、美容室に行ってたのか!
「母さん、美容室なんか行ってどうしたのさ?」
「別に・・女はいつも綺麗でありたいものなの」
「ふーん。母さんと横山先生ってどっちが上なの?」
「何でそんなこと聞くの?」
「いや、先生が母さんと友達だって言ってたからさ!」
「彼女の方が年下に決まってるでしょ!」
「そうだよね」
「まだ子供できないって?」
「そんなこと知らないよ」
「そう」
女はいつも綺麗でありたいか・・もしかして母さん、理奈ちゃんのお母さんと張り合ってるのか・・。
そろそろ理奈ちゃんも家に帰ってくる頃かな・・。
ブーブー・・おっ!やっぱりね。メールだ。
「今度お父さんに会えることになった!」
「ホント!」
「うん、今日お父さんから電話があったって!」
「よかったね!理奈ちゃん」
「うん!」
「母さん、理奈ちゃん、今度お父さんに会えるらしいよ!」
「あら、よかったわね!お父さんがこっちに来てくれるのかな?」
「多分そうだと思う」
「理奈ちゃんのお父さんの会社、まだ大変みたいだよ!」
「えっ?」
「昨日も今日もニュースでやってたわ」
「そうなんだ・・」
そのことと、お父さんに会えることと何か関係してるのかな・・。
「そうだ、蘭たちは来週修学旅行よね!」
「うん」
「何か買いそろえるものあるかな・・」
「さあ・・」
「さあ・・って蘭、あなたが行く旅行よ!」
「パンツぐらい新しいのがいいかな」
「あー、パンツね!」
「あとは、おやつと小遣いだね!」
「はいはい・・でも、変な時期に旅行に行くわよね!」
「えっ?そうなの」
「だってまだ寒いでしょ」
「でも沖縄は20度以上あるってさ!」
「そっか!沖縄だもんね。いいわねー沖縄・・」
「母さんも修学旅行とかあったの?」
「そりゃあ、あったわよ!母さんたちは京都と奈良だったな!」
「蘭、今度沖縄いくんだろ!」
「うん、修学旅行でな」
「沖縄って毒蛇がいるんだって!」
「えっ!翼、それホントか」
「うん」
「あっ父さん、帰ってたの」
「ああ」
「ちょうどよかった!沖縄って毒蛇がいるの?」
「いるよ!ハブ」
「ハブ!・・えー」
「ね!ホントでしょ」
「噛まれたら死ぬよね?」
「おそらくな」
「えー!」
「だけど人が住むような市街地にはいないよ!」
「えっ!」
「当たり前だろう!そこらじゅうにハブがいたらそんなとこ人が住めないさ」
「あっ、そうだよね」
「人が普段行かないような山奥にいるんじゃないかな」
「驚いたなあもう・・」
「でも、ハブは滋養強壮に効果があるらしくて、高値で取引されてるんだぞ」
「ふーん」
「お土産屋にも焼酎浸けのハブを売ってる!」
「ハブの焼酎浸け!?」
「そのままの姿で!」
「うっ!」
「そうだ蘭、父さんの土産それがいいな!」
「絶対に嫌です!」
「そうか、それは残念だな・・」
それは無理な相談です。お父様。
理奈ちゃん、まさか北海道に帰っちゃうんじゃないよな!?
俺は急に不安になって、理奈ちゃんにメールをした。
「理奈ちゃん、まさか北海道に帰っちゃうんじゃないよね?」
・・だけど返信がない。今11時前かあ!
今の俺、理奈ちゃんがいなくなっちゃったら生きていけないよ!マジでさ。でも、お父さんが北海道に帰ってこいって言ったら、やっぱりそうするだろうな。理奈ちゃん、お父さんが大好きって言ってたし・・。
あーあ、なんか眠れないよ。
俺はジュースでも飲もうと台所に行った。
「蘭、まだ起きてたの?」母さんがまだ起きていた。
「うん、なんか眠れなくてさ」
「なんかあった?」
「いや・・別に・・」
「理奈ちゃんのこと?」
「えっ!どうして・・」
「理奈ちゃんが北海道に帰っちゃうんじゃないかって・・」
「うん」
「でも蘭、理奈ちゃんにとっては、家族が一緒にいられるってことが一番幸せなことなんだよ」
「・・・」
「もし理奈ちゃんからそう言われたら、男らしく『わかった』って言ってあげることね・・お母さん思うんだ!好きなもの同士に距離は関係ないって」
「うん・・」
理奈ちゃんの幸せかあ・・。