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世界一のトリュフ

「お邪魔しました。ケーキまでご馳走になっちゃって!」

「どういたしまして。またいらっしゃいね」

「ありがとうございます」

「お姉さん、また来てね!」

「うん、ありがとう!またね翼くん」


俺は理奈ちゃんを外階段まで見送った!

「さあーて、頑張るぞー!」

「なにを頑張るの?理奈ちゃん」

「えっ・・うんん、こっちのこと。蘭君、明日楽しみにしててね!」

「うん」

「じゃあね!」

そう言って理奈ちゃんは、階段をかけ上がっていった。


家のドアを開けると翼が立っていた。

「翼どうしたんだ?」

「理奈お姉さんにお願いするの忘れちゃった!」

「お願い?」

「バレンタインのチョコだよ!」

「なんだ、翼、それはお願いしてもらうもんじゃないぞ」

「だけど蘭はもらうんだろう」

「まあ・・」

「ずるいよ蘭だけ・・」


「翼にはお母さんがあげるわよ!」

「ちえっ!つまんないの・・」

「翼・・」


「ただいま」お父さんだ。

「おかえりなさい」

「ん?どうしたんだ翼、むくれた顔して」

「だって蘭だけずるいんだもん!」

「え?」

「バレンタインのチョコのことでちょっとね・・」

「あー、明日か!バレンタインは・・」

「父さんはいつも会社のひとからもらってくるよね!」

「うん。でも必ずひとこと言われるよ。蘭と翼にあげてってな!」

「そうなの?!お父さん」

「お父さんはただ預かるだけ。だから翼だってもらってるんだぞ!毎年・・」

「ふーん」

「明日もいっぱい預かってくるからな!楽しみに待ってな」

いっぱいってお父さん、どんだけもらうつもり?!

「うん、わかった」

「それと、さっきコンビニで美雨ちゃんたち家族に会ったぞ。チョコレートを買ってたみたいだった!」

「えっ!美雨ちゃん・・」

「うん」

「翼、これは期待大だぞ!」

「へへぇ~」

なんとか翼も機嫌を直してくれた。


「今日理奈ちゃんが家に来てくれたのよ!蘭と一緒にテスト勉強をしにね」

「そうだったのか!」

「ホントにいい娘さんよ!優しそうで、礼儀正しくて・・」

「それにキレイだしね!」

翼、お前が言うな。


そして2月14日・・。

「蘭、理奈ちゃんよ!」

母さんがは、帰るなりそう俺に言った。

俺は玄関に走った。


「理奈ちゃん!」

「蘭君、これ!」

「おっ、ありがとう!」

うわ、カワイイ箱。バレンタインのシールが貼ってあるる。

「蘭君・・私も蘭君と同じよ!」

「ん?何がだ」俺と同じ?

「何でもいいの!・・翼くんいる?」

「いるよ」

「翼くんにもこれ!」

さすが理奈ちゃん。

「翼のやつ喜ぶぞー!・・翼、翼」

「どうしたの?」

「翼くん、はいこれ!チョコレート」

「わあー!ありがとう理奈お姉さん・・お母さーん、これもらったよー・・」

翼のやつおおはしゃぎだ。


「じゃあ、またあとでメールするね」

「うん、わかった」


やったー!俺は翼以上に心の中ではしゃいでいた!


早速翼はチョコにかぶりついている!口のまわりがチョコだらけ。では俺も・・。

俺は包み紙を破らないようにやさしくテープをはがし、中の箱を取り出した。そしてふたを開けた!


「うわあ!」

ふたを開けたとたん、チョコのいい香りが鼻をついた!

「蘭、これ手作りよ!」

「手作り?」

「昨夜一生懸命作ったのよ!理奈ちゃん」

「うん」

そう言えば、頑張るぞー!って言ってたな。このことだったんだ・・。


「翼、お母さんにも1つちょうだい」

「いいよ」

「・・うーん、美味しい!蘭も早く食べてごらん」

俺はチョコを1つつまんで口に入れた。

「・・うまい!!」

なんて表現したらいいのか・・こんなチョコ食べたことないや!

「蘭、お父さんにも1つとっておいてあげたら!」

「うん」

「こういうチョコのことをトリュフって言うのよ!」

「トリュフ?」

「こんな形をした高級食材があるのよ。お母さんは食べたことないけど」

「ふーん」

トリュフかあ・・。


「母さん、変なこと聞くけどさ」

「何?変なことって」

「俺と理奈ちゃんの同じところってどこかな?」

「えっ?どういうこと・・」

「さっきチョコをもらうとき、理奈ちゃんが言ってたから」

「なんて?」

「『私も蘭君と同じよ』って。いったい何のことだろうな?」

「フフフッ、そうなんだ・・」

「なんだよ母さん。母さんはわかるの?」

「さあー・・」

理奈ちゃんがそんなことをね~。


午後になると、美雨ちゃんが翼にチョコを渡しに来てくるた。父さんも会社の女性から、義理チョコをもらってきた。そして母さんが買ってくれたチョコも。我が家はこの日、チョコの香りで部屋中が満たされていた!

当然、理奈ちゃんが作ってくれたトリュフが世界一なのは言うまでもないが。


それにしても気になるなあ・・俺と理奈ちゃんが同じっていうその意味が・・。










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