ハートマーク
「今日から部活はしばらくお休みね」
「うん」
期末テスト一週間前ということで、今日から部活はなし！勉強に専念しなさいってことなのかな。
「ねー蘭君、一緒に勉強しない？！」
「えっ！一緒って・・」
「私の家か蘭君の家で！あとは図書館とかさ・・」
「ああ、それいいかもね」
だけど理奈ちゃんがすぐとなりにいて勉強なんか手につくかな？まあっどっちにしてもほとんど勉強はやらないんだけど・・。
「じゃあ決まりね！」
「でも理奈ちゃんにとっては迷惑なんじゃない？」
「どうして？」
「俺なんかがいると気が散ったりしてさ」
「そんなことないよ」
「そう・・」
「今日はどうする？」
「今日？」
「どこで勉強するかってことよ」
「今日から勉強するの！？」
「そのためにこうやって早く帰ってるんでしょ！」
「・・はい」
いきなり理奈ちゃんの家でっていうのもなあ・・。かといって俺の部屋で二人きりっていうのもなあ・・。
「どうしようか・・？」
「まずは図書館で・・どう？」
「うん、それがいいかもね！」
「今4時すぎだから、4時半でいいかな！」
「うん！わかった」
「じゃああとでね・・」
図書館かあ・・そういえば俺行ったことないやあ！場所も知らないし。まずいなこりゃあ・・。
「ただいまー」
「おかえりー蘭」
「あれ？母さんは」
「今日は仕事で遅くなるって言ってたじゃんか！」
「あっ、そうだったな」
「おやつならテーブルの上にあるよ」
「おおサンキュー！」
ちぇ！図書館の場所を聞こうと思ったのになあ。仕方ない、自分で調べるか・・。
「蘭、どこか出掛けるの？」
「ああ、図書館だけど」
「お母さんが帰ってくるまで、また僕一人で留守番なの！？」
「母さん何時になるって？」
「知らない」
んー、困ったなあ。母さんが何時に帰るかわからないのに、翼一人じゃかわいそうだもんなあ・・。どうしよう！
仕方ない・・
「翼も行くかあ！図書館」
「うん！」
「言っとくけど、遊びに行くんじゃないからな！テスト勉強をしに行くんだからな」
「ふーん。じゃあ僕はマンガでも読んでよーっと！」
「えっ？図書館にマンガなんて置いてあるのか？」
「あるよ！前に読んだことあるもん」
「えっ？翼、お前図書館に行ったことあるのか・・」
「あるよ！」
「そうなんだ・・」
そんなわけで、翼も一緒に行くことに・・。
『翼と図書館に行ってくる・・蘭』
メモをテーブルに置いて！
「翼、理奈ちゃんも一緒だからな！」
「デートだったの！？」
「違うよ！勉強さ・・時間だから行くぞ」
「うん」
そして翼は踊り場にいく扉を開けた。
「あれ？翼くん」
「こんにちわ！お姉さん」
「こんにちわ」
「ごめん理奈ちゃん、今日母さんの帰りが遅くてさあ・・翼も一緒にいいかな！？」
「ええ、大歓迎よ！」
翼の案内で、俺たちは無事図書館に着くことが出来た。
「結構広いんだなあ図書館って！」
「ホントね！」
早速翼は、マンガのコーナーにかけよっていった。
俺と理奈ちゃんは、ひとつのテーブルを選び教科書を広げた。
「僕もここに座っていい？」
「私の隣にどうぞ！」
「うん」
「翼、静かにな」
「わかってるよ。デートの邪魔はしませんよ！」
「デート？」
「こら！翼」
理奈ちゃんは既に勉強を始めている。俺も本は開いている！でも、何も頭には入っていない。なぜこの世に勉強なんてあるんだろうか・・そんなことばかりが頭をよぎる！そして理奈ちゃんの顔を時々のぞく。今日は伊達メガネはかけていない！そういえば最近の理奈ちゃん、メガネをかけること少なくなったよなあ・・。
「クスクス・・クスクス・・ハハハ・・」
静かな図書館に、翼の笑い声が。我慢しきれず漏れている。
「翼くん、そのマンガそんなにおもしろいの？」
「もーサイコウ！」
「ふーん、そうなんだ」
「翼、黙れ！」
「蘭君、私なら平気よ！なんか私もマンガが読みたくなっちゃったな・・」
「お姉さん、こっちのもなかなかだよ！」
翼はテーブルに置いてある、もう一冊のマンガを指差した。
「えー、どれどれ・・」
理奈ちゃんまで・・。
「・・うふ・・うふ・・ハハハ・・」
「ね！おもしろいでしょ・・」
「ホント！」
俺はそんなマンガ少女とマンガ小僧を横目でにらんでいた！
「蘭も読みたいんだろう？」
「えっ・・」
「もう一冊あるよ！」
「俺はいいよ！」
「あら、蘭君も読んでみてよ！すごくおもしろいから・・」
結局俺も誘惑に負け、マンガを読み始めてしまった！そして3人とも3冊のマンガを完読！・・図書館は閉館の時刻となっていたのだった。
「あーおもしろかったね！たまにはいいなマンガも」
「お姉さんはどのマンガが一番良かった？」
「ん・・△△サラダかなあ！」
「じゃあ蘭と同じだ！」
「えっ！蘭君も△△サラダが一番」
「そうだよ！ね蘭」
「まあね」
あーあ、やっぱり翼を連れて来なければよかったかなあ。俺はいいけど、理奈ちゃんもほとんど勉強が出来なかったもんな・・。
でも今日の理奈ちゃん、すごく楽しそうだったな！これも翼のおかげなのか？理奈ちゃんも、やっぱり弟か妹が欲しかったのかなあ・・。
そしてその夜・・理奈ちゃんからのメール。
「今日は翼くんが来てくれて楽しかった！いいなあ蘭君は、あんなかわいい弟がいて。明日からもテスト勉強頑張りましょうね！『ハートマーク』」
ドキッ！ハート・マーク・・。
今まで理奈ちゃんとは何度もメールのやり取りはしてて、絵文字もいっぱい使ってきたけど・・ハートマークなんて初めてだ！
「・・・」
ダメだ！なんて返信すればいいのかわからない。このハートマーク、LOVE って解釈していいんだろうか・・。あーパニック！！
「また明日」
俺はそこまで書いて指がフリーズ！のまま。
「また明日『ハートマーク』」
そこまで書いてまたフリーズ！！
「また明日『ハートマーク』」
ワン・ツー・スリー・えい！俺は・・送信ボタンを押した。
ドキッ・ドキッ・ドキッ・・・。
ブーブー・・ドキッ！理奈ちゃんからだ。
俺はスマホを見つめていた。
「冗談よ」なんて書いてあったらもう理奈ちゃんと顔合わせられないよ！
とりあえずスマホはそのままで、俺はトイレに行くことにした。特に行きたくもなかったけど・・。便座に座り深呼吸！こんな場所で深呼吸なんか普通はしないんだけどなあ・・。そして部屋に戻った。
スマホには着信を知らせるマーク。
そして俺はメールを開いた！
「蘭君の気持ちしっかり届きました『ハートマーク×2』また明日ね！」
ヨッシャー！！
