表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/123

いつも通り

「おはよう・・ん?珍しいね、母さんが朝から新聞を見るなんて」

「会社に行く前に父さんが見てたんだけど、シベリア鉄道がどうしたとか言ってたからね。なんのことかと思ってさ・・」

「シベリア鉄道!?」

「20年くらい前にシベリア鉄道で脱線事故があったんだけど、それが列車に重大な設計ミスがあったのが原因だって!」

「列車の設計・・」

「うん、でその会社がね、その事実をずっと隠してたんだってさ」

「理奈ちゃんのお父さん・・」

「ん?理奈ちゃんのお父さんがどうかしたの?」

「列車の設計の仕事ををしてるって!理奈ちゃんから聞いたことあるよ」

「えっ!」

「でも、そこが理奈ちゃんのお父さんの会社とは限らないよね」

「そうね・・」

「じゃあ、行ってきまーす」

「あっ蘭、この事は理奈ちゃんには・・」

「わかってる!俺からはこの話しはしないよ」

「うん」


「おはよう理奈ちゃん」

「おはよう」

「あれ?なんか元気ない?」

理奈ちゃんの表情がやや曇りがちだ。

「そんなことないんだけど、ちょっとお母さんが気になって・・」

「どんなふうに?」

「怖い顔で新聞を見てるし、私が聞いてもなんだか上の空だし・・ちょっと様子が変だったんだ」

「そう」

新聞!間違いない。あのシベリア鉄道の記事だ。やっぱり、理奈ちゃんのお父さんが勤めてる会社なのか?!

「私の勘違いならいいんだけど・・」


理奈ちゃんはまだ新聞の記事の内容は知らないみたいだ。でも、テレビのニュースでもやるだろうから、理奈ちゃんが知るのも時間の問題だな・・。

明日はサッカーの試合だ。理奈ちゃん大丈夫かな・・。



「蘭、そういえばシューズの紐はちゃんと通せたの?」

「えっ!」

なんで今ごろそんな話を。母さんが買ってきてくれた白の紐は、まだ鞄の中だ!

「あなた紐通すの苦手だからさ」

「ああ、大分だよ。ちゃんと出来たから」

「そう」

「明日早いからもう寝るね、お休み」

フウッ!


ブーブー・・あっ!理奈ちゃん。


「なかなか眠れないなあ。蘭君はもう寝ちゃった?」

理奈ちゃん、ニュースで見たんだろうな!お父さんの会社のこと。心配で眠れないんだろうか・・。

「まだ寝てないよ。明日の試合のことで眠れないの?それとも他に心配なことでもある?」

「うん・・お父さんのことでちょっと」

やっぱりそうか!

「北海道にいるんだよね。会いたくてもそう簡単に会える距離じゃないもんね・・」

「うん、でもきっと大丈夫。ゴメンね!遅い時間に。明日の試合頑張ろうね。お休み」

「じゃあ明日!お休み」


俺はベッドに寝転がり、天井を見つめていた。

ちょっと心配だなあ理奈ちゃん。なんとか力になってあげたいけど・・。


「おはよう」

「おはよう、忘れ物ないようにしなさいよ」

「母さん、やっぱり理奈ちゃんのお父さんの会社だったみたいなんだ!」

「昨日の新聞のこと?」

「うん、はっきりとは聞いてないんだけど、理奈ちゃん、お父さんのことが心配だって言ってたからさ」

「そう」

「落ち込んでないといいけど・・」

「うん・・そんな時こそ蘭、男の子が元気付けてあげるのよ!」

「そうだけど、どうやって・・」

「ずっと側にいてあげるの!そしていつも通りにしていればいいのよ」

「それだけでいいの?」

「いつも通りがいいのよ!瞳ちゃんも一也君もいるんでしょ」

「そうだな!いつも通りで行くかあ・・」

「ついでにシュートの一本でもプレゼントしてあげなさい!」

「うん!じゃあ行ってくるね」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ