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オレンジ

「母さん、じゃあ頼むねシューズの紐」

「うん、色は何色がいいの?」

「色かあ・・シューズが黄色だからそれ以外!」

「黄色以外ね」

「うん・・じゃあ行ってくる!」

「気を付けてね!」


♪ラララ・ラララ・・

「外階段への扉を開けると、優しい理奈ちゃんの歌声が・・このメロディーは yesterdayだ!


「おはよう蘭君」

「おはよう!」

「はい!蘭君これ」

「ん?なにこれ」

なんだ?

「気に入ってくれるかわかんないけど・・」

歩きながら、俺は袋の中身を取り出した。

「あっ!」

「サッカーシューズの紐。前に買ったのが残ってて」

「そう、ありがとう!・・あっ」

しまった!母さんにも頼んであるんだった。

「どうかした?」

「いや、今日早速使わせてもらうよ!」

この場合、やっぱり理奈ちゃんの方をとるよな・・母よゴメン。

「蘭君のシューズに合うかな?」

「黄色にオレンジ・・超ベストな組み合わせさ!」

「ホント、よかった!」

超うれしー!理奈ちゃんは、俺のシューズの紐のことを気にしてくれてたんだ・・ありがとう理奈ちゃん。


そして放課後・・。

「蘭、何してるの?」

「シューズの紐を取り替えてるんだ」

「紐を・・そんなことしないで新しいの買えばよかったのに!」

「いいだろう別に・・」

「だいちボロボロじゃない!そのサッカーシューズ」

色々うるさい瞳。


「蘭君、まだ教室にいたのか・・」

「シューズの紐を取り替えてるんだって・・でも蘭にしては素敵な色を選んだじゃない!」

「瞳もそう思う?!」満足そうな理奈ちゃん。

「うん!それにしてもへただね蘭、もう見ていられない!ちょっと私に貸して・・」


そう言って瞳は、俺からシューズと紐を取り上げた!

「なにするんだよ!」

「紐通しはこうやってするの!」

・・うわ!瞳上手。天才。

あっという間に二足とも仕上げてしまった!


「はい!出来たよ」

「サンキュー瞳!」

「瞳、上手だね」と理奈ちゃん。

「これ私の趣味なの!」

「趣味?」

紐通しが瞳の趣味・・そんなのも趣味って言うんだ!?俺はマジで感心していた。

「さあ蘭、これを履いて部活頑張ってきなさい!」

「なんだよそれ?!」

はいはい 、わかりましたわかりました・・。


「あれ?みんなまだいたのか?」

「一也、どこに行ってたんだ今まで?」

「職員室!呼び出されちゃってさ・・」

「なにやったのよ?」

「ん?瞳、なんだよその疑いの目は・・」

「だって職員室に呼び出されたんでしょ!」

「だからって悪いことをしたと思わないでほしいなあ」

「なにしたんだ一也?」

「蘭、よくぞ聞いてくれた!・・今朝、学校に来る途中でさ、重そうな鞄を持つおばあさんがいてさ!だから俺が運んでやったんだよ。ほんの50メートル位だったんだけどな。そしたらそのおばあさんが、今日学校に来てその話をしたらしいんだ。俺の名前も知ってたって。多分名札を見たんだろうな」

「へー、一也やるじゃんか!」

「うん、人助けなんてすごいわ!」

「いいとこあるじゃん一也」


一也とは長いつきあいだけど、こんな一面があったとはな!俺だったらどうだろう・・一也と同じことが出来ただろうか?一也、見直したぞ!


そして俺と理奈ちゃんは部活に向かった。

「蘭君、また後でね!」

「ああ」


さあ、いよいよオレンジの紐シューズデビュー!うん、履き心地はバッチリだ。

「おっ佐藤、新しいシューズかあ!」

「はい、紐だけですけど」

やっぱり目立つんだな!このオレンジ。


「よーし、まずはグラウンド5周!」

「はーい!」

うーん!足が軽やかあ・・たまには先頭を走ってやるか!

俺はぐんぐんスピードを上げ先頭にたった。いつも後ろの方をダラダラ走る俺の変化に、みんな戸惑っているみたいだな。

不思議だ!普通ならこれだけとばせばバテてしまうところだが、今日は全然そんなことはない。このままどこまでも走って行けそうな感じさえある。疲れ知らずの俺の足腰!まさにミラクル・・。


そんなとき理奈ちゃんが視界に入ってきた!

俺はいいところを見せようとギアをさらに上げた!そして理奈ちゃんを横目でチラッとのぞいた瞬間、俺はバランスを崩し、足が絡み合い、思いきりコケた!あちゃー・・。

ヤバイ、理奈ちゃんに見られてしまった?!・・あーっ、やっぱりこっちを見てるー・・。ガックリ。


ふとシューズを見ると、右の紐がほどけてしまっていた。結びかたが甘かったか・・。

俺は紐を結び直してなんとか完走。

やれやれだ・・。


♪yesterday・・・♪


「あーあ、もう最悪!」

「張り切りすぎよ蘭君!」

「見てた・・よね?」

「見てたわ。もうビックリよ」

「紐が片方ほどけちゃってさ・・」

「それで転んじゃったの」

「ああ」

「半分私のせいかな?!」

「そんなことないよ!俺の結びかたが甘かったんだ。新しい紐ってほどけやすいからさ」

「うん・・ケガは?」

「ほんのすり傷」


ホンとはヒリヒリ痛いんだよな。ひざこぞうがさあ・・。





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