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遠距離恋愛ing

「蘭、忘れ物はない?」

「うん、今日は何も持っていくもの無いから」

「色々あるでしょ!昨夜父さんが書いてくれた用紙は・・」

「あっ!いけねえ」

「それに筆記用具くらい持っていきなさいよ」

「うん、わかってるよ」

「それに上靴は?」

「あっそうだった」

「もう、しっかりしてよ!」

「そうだぞ!蘭」

「お前が言うな翼。翼こそ用意は出来てるのか?」

「バッチリだよ」

「ホントかな・・じゃあ行ってくる」

「行ってらっしゃい。気を付けてね」

「うん」


そして俺は外階段の扉を開けた。

「おはよう!理奈ちゃん」

「おはよう!蘭くん」

「そっか!制服変わったんだよね」

「どうかな?」

「なかなかいい感じじゃん!」

「そう、ありがとう」

「うん、ちょっと大人っぽく見える!」

「蘭くんの方は、あまり変わらないか?」

「うん、バッジが変わっただけかな。ほとんど色も形も一緒!」

「でも似合ってるよ!」

「サンキュー・・さあ行こう!」


理奈ちゃんと俺は、幸いにも同じクラスになった。

席は出席番号順に名前が貼られてあり、偶然にも二人の席は、前から2番目の隣同士に!△△高校さん、気をつかってもらってどうも・・。


そこに男の先生が入ってきた。

「あっ!」俺と理奈ちゃんは同時に小さな声をあげた。そこに現れたのは、受験の時、俺を病院まで連れていってくれた幸先生だった!


「おはようございます」

「おはようございます」

「このクラスを担任する幸大輔といいます」

先生は自分の名前を黒板に書いた。


やややせ形で、身長は優に180センチはあるだろう。年齢は多分20才代かな・・。担当教科は数学。


帰りのHR も終わり、みんな帰り支度をしていると、幸先生が俺のところにやって来てくれた。

「佐藤蘭くん」

「あっはい!」

「今日は体調の方はどう?」

「元気です」

「良かった。試験の時は大変だったね」

「いえ・・あの、あのときはご迷惑をお掛けしました」

「全然!迷惑なんかじゃないよ。でも驚いたろう?!まさかあのときの男が担任だなんて」

「はい」

「私も驚きました!」

「安藤さんも?」

「もちろんです」

「確か君たちは同じマンションだったよね」

「はい。蘭くんが下で私が上です」

「なるほど。じゃあ気を付けて帰ってください」

「はい、失礼します」

「さようなら」

「さようなら」


「うひぇー!ビックリした」

「ほんとだね」

俺と理奈ちゃんは駅に向かっている。駅に着くと、理奈ちゃんとは違う制服を着た女子たちが結構いる。

セーラーだったりブレザーだったり。

「この辺りは高校が多いみたいね」

「うん、結構集まってるみたい」

「ねえ、蘭君は学ラン派それともブレザー派?」

「断然ブレザー派!」

「じゃあ、女子は?セーラーとブレザーでどっちがいい」

「もちろんブレザーだね」

「良かった!公立って意外とセーラーのところが多いのよ」

「そうなの!」

「△△高校、ブレザーで良かった」


それでも電車は意外とすいていて、座ることができた。

改札を抜けると・・

「ん?あれ和久井君じゃない」

「ホントだ・・一也!」

「おう、やっときたか!」

「何やってるんだ?こんなところで」

「待ってたんだよ二人を。一緒にお茶でもしようかと思ってな」

「お茶?」

「お茶って、飲むのはコーラだけどな」

「一也のおごりか?」

「ん?」

「じゃあ、しょうがないな。そこのファーストフードに入ろうぜ!」


「何かあったの?和久井君」

「何かって?理奈ちゃん・・」何か気になることでも。

「うん・・・」黙る一也。

「一也、はっきり言えよ!男だろう」

「実は、瞳のことなんだけど・・」

「相変わらずうまくいってるんだろ」

「俺はそう思ってるんだけどなあ・・」

「瞳は違うってこと?」

「あいつのメールは、いつも楽しそうなことばかり書いてくるんだ。今日は誰と何をしたとか、どこそこに行ったとか・・」

「うん」

「それはそれでいいんだけど、瞳はこのまま向こうの生活に馴染んでしまって、俺のことなんか忘れてしまうんじゃないかってな」

「そんなことないと思うけど」

「そうだよ一也、考えすぎだって」

「この前なんか、男子と腕を組んでる写真なんか送ってくるんだぜ!」

「えっ・・」

「でも、そういうお国柄なんじゃないのか!?アメリカって」

「そうかもしれないけど・・」


一也と別れ、俺たちはマンションに向かっていた。

「和久井君、相当落ち込んでたね」

「ああ」

すると

「理奈ちゃん!蘭君!」

「あっ、ニーナさん。こんにちわ」

「二人はいつも一緒で、仲がいいわね!」

「ニーナさん、遠距離恋愛ってどう思います?」理奈ちゃんはそう切り出した。

「えっ!?」

「ああ、和久井君と瞳のことです」

俺達は歩きながら話すことに・・。

「何か困ったことでもおこったの?」

「実は・・・」

理奈ちゃんは、ニーナさんに事情を説明した。

「なるほどねー・・」

「やっぱり距離が離れちゃうとダメなのかなあ」

「私はそうとは限らないって思うけど。実はね、私も遠距離恋愛ingなんだ!」

「遠距離恋愛ing ・・えっ!現在進行中ってことですか」

「ええそうよ」

「知らなかったなあ・・」

「それにアメリカって日本と違ってスキンシップは当たり前に行われているわ!肩を抱いたりハグしたりってね。日本では、そういうことは恋人同士がすることみたいだけど・・」

「そうですね」

そして、ニーナさんはエトランゼに向かった。


「やっぱりお国柄だね!」

「うん。今度瞳にそれとなく聞いてみようかな」

「ああ」


そして数日後。

「よう!蘭、理奈ちゃん」

また一也だ。

「なんだよ一也、今日はやけに元気じゃんかよ」

「そう?」

「この前とは別人みたいよ!」

「そう?」・・にやける一也。

「一也、それキモいからやめろ!」

「プッ!」

「ジャジャーン!これ何だかわかるか!」

「ネックレス!?」

「ピンポン!」

「和久井君、そのネックレス、もしかして瞳から?」

「うん!昨日届いたんだ」

「それで気分がハイなわけね!」

「ロスの方で今流行ってるらしいんだけど、このネックレスを恋人同士で身に付けていると、必ず結ばれるんだってよ!それでこれ・・」

そう言って、一也は俺たちにスマホの画面を見せた。

「わあー、瞳もちゃんとネックレスしてるのね」

「ああ」

「チエッ!心配して損したぜ。でも、良かったな一也」

「悪かったよ、心配かけてさ」

「今日もコーラおごりだな!」

「えっ、今日も俺かよ・・」


そんな蘭君と和久井君のやり取りを見てて、私はある言葉を思い出していた。

『どんなに距離が離れても、気持ちという距離はそれに反比例するらしいですよ』って。いつだったか、お店の店員さんが教えてくれた言葉を・・。




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