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ありがとうのしるし

「大変なことになった!」

仕事から帰るなり、父さんはそう言った。

「あなたどうしたの?」

「4月から2年間、福岡に行くことになった」

「福岡?」

「転勤だよ」

「えっ!」


俺は理奈ちゃんに、それをすぐ知らせた。

「4月から父さん転勤だって、福岡に」

「えっ、蘭君も行っちゃうの?」

「俺は行かないよ」

「なんだ、良かった!」


翌朝

「おはよう蘭君」

「おはよう」

「大変だねお父さん」

「うん、もうバタバタだよ」

「4月ったらもう何日もないわ!」

「うん」

「私たちも明日卒業式だね」

「そういうこと・・」


そして今、俺と理奈ちゃんは卒業式を終え校庭にいた。

「あっという間だったなあこの学校での生活も!」

「理奈ちゃんは1年ちょっとだったからね」

「うん。でも楽しいことばかり色々あった!」

「うん」

「ありがとうね蘭君!」

「ん?」

「いつも私の側にいてくれて」

「感謝しなくちゃいけないのは俺の方だよ。たくさん助けてもらった!」

「うんん」

「理奈ちゃん・・」

「ん?」

「・・・」俺は、振り向いた理奈ちゃんのおでこにキスをした!

「あっ!」

「ありがとうのしるし」

すると

「あっ!見ちゃった。蘭が理奈ちゃんにキスするところー」

「こらー!一也、待てー」

俺は卒業証書の入った筒を振り上げ、逃げる一也のあとを追った。

「あっ、ちょっと蘭君・・」


私は校庭を走る二人をずっと見てた。そして、蘭君がキスをしてくれたおでこに、今手をあてている。ほんのちょっと唇が触れただけのキスだったけど、とてもステキなキスだった!蘭君、ありがとう・・。


そして季節は4月、和久井くんは○○高校、蘭君と私は△△高校に進学した。そしてここは、私たちの行きつけ?のお店エトランゼ。

「翼君は5年生になったんだよね!」

「うん」

「新しい1年生かわいいでしょ」

「うん」

「そうだ!翼君。去年ツバメの巣があったとこ覚えてる?」

「つばめの・・」

「翼君、そこでずっとツバメを見てた!」

「うん。ヒューンて飛ぶやつだよね!」

「そう!そこの巣にまたツバメが卵を産んだみたいだよ」

「ホント!?」

「うん、親鳥が巣に入るのを見たから間違いないわ!見に行ってみようか」

「うん。蘭、行ってみよ!」

「ああ、一也はどうする?」

「俺は遠慮しとくよ」

「そうか」


そして私たちは外に飛び出した!

先頭を行くのは翼。

「翼くん、待ってよ!」

「お姉さんも蘭もはやく!」

「翼、転ぶなよ」

やがて

「あった!お姉さんあったよ」

「翼君、シーッ!」

「・・・」

「ツバメいるみたい?」

「わかんないなあ」

「ふう暑っ!自販機でコーラ買ってくるよ。母さんに小銭もらったから」

「ありがとう」

俺は角の自販機に走った。

すると、ものすごい勢いで一匹のツバメが俺の頭上をかすめて飛んでいった!

俺は慌てて背を低く、のけぞる格好に。

コーラを抱え巣のところに戻ると、翼が真剣にその巣を見上げている!

「理奈ちゃん、はい」

「ありがとう」

「翼のやつ、やけに真剣だな!」

「うん、今ツバメが巣に戻ったところ。ほら、見えるでしょ」

「うん、さっき俺の頭すれすれに飛んでいったやつだな」

「翼君、去年もああやってひとりでツバメを見てたのよ!それで自分の名前みたいに、背中に翼があればよかったなあって」

「あいつそんなことを」

「うん!」


「あっ!もう一匹来たよ」

「ホント、こっちはお母さんかな?」

「どっちがお父さんかお母さんかわかんないね」

「うん」

「お姉さん、ほら飛ぶよ!・・ほら」

「飛んだね」

「わあーはやーい!」

「翼君、また空が飛びたくなっちゃったでしょ」

「うん!」

「翼、ほらコーラ」空を見上げてる翼に、俺はコーラを手渡した。

「ありがとう」

「翼君、やっぱりお父さんが、家にいないと寂しいでしょ?」

「うん、でも仕事だから仕方ないんだ」

「強いんだね!翼君は」

「だってもう僕5年生だよ」

「そうだったね」


初めて会ったときの翼君はまだまだ幼かったけど、どんどん強い男の子になっていくんだね。頑張ってね!翼君。


「理奈ちゃん、福岡は行ったことないよね」

「もちろん無いわ」

「福岡ってどんなとこなんだろうなあ?」

「確かどんたくとかあるんだよね!」

「どんたくかあ・・」

「今度行ってみない!福岡に」

「えっ!二人で?」

「うん」

「そうだねー・・」

「GW とか」

「蘭、ずるいぞ!理奈お姉さんと二人だけなんて」

「翼も行きたいのか?」

「当たり前だろう!」

「ふふっ」


福岡の旅かあ・・実現するといいなあ!瞳のいるロサンゼルスには遠く及ばないけど・・。











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