ピザが好き?
エトランゼでのニーナさんの評判は上々で、その笑顔が、お客さん、特におじさんたちを魅了しているらしい。
俺たちはまたまたエトランゼに集まり、おしゃべりの真っ最中だ!普通にランチを食べたら、安いけどそれなりの値段はする。けど俺たちは特別扱い!どんなに食べても飲んでもたった200円。ありがとうございます!川口さん、理奈ちゃんのお父さん。
「ニーナさんすごく働き者だね」
「俺ニーナさんのファンになろう!」
「あっ、瞳にチクろっかなあ・・」
「何をだよ」
「一也がこっちで浮気してるってさ!」
「違うよ、俺はただ・・」
「そうだよ蘭君、それは言い過ぎよ!」
「はーい」
「蘭が怒られた!」
「黙れ翼」
「いらっしゃい」
「あっ、川口のおじちゃん」
「翼君、スパゲティーは美味しかった?」
「うん、ほら全部食べちゃったよ!」
「ホントだ」
「翼、口のまわりがケチャップだらけだぞ」
「いつもすみません川口さん。私達が来ると、お店損しちゃいますよね」
「そんなこと気にしないで!いつでも、何回でも来ていいんだよ」
「ありがとうございます」
「お父さんも休憩もろくにとらないで、働いてくれてホント助かってる。でも体が壊れたらそれこそ大変だから、理奈ちゃんからお父さんに言ってくれないかな。もう少しからだを大切にしてって!」
「はい、わかりました」
「頼んだよ!じゃあ、ごゆっくり」
「それでかなあ、お父さん最近、元気ないような気がするんだよね」
「そうなの?」
「私が話しかけてもなんか上の空ってことが多くて」
「働きすぎは体に毒だぜ!」
「そうだよね・・」
すると今度はニーナさんが、俺達のテーブルにやって来た。
「こんにちわ」
「こんにちわ、ニーナさん」
やっぱりニーナさんはキレイだ!
「ニーナさん、初めまして!俺和久井一也って言います」
「初めまして、ニーナです」
「一也!」
「・・・」
「一也!!」
「なんだよ蘭?」
「ニーナさんのことジロジロ見すぎ!」
「えっ!」
「ニーナさん、今度ロシア語を教えてもらえませんか?挨拶程度の簡単なのを」
「いいわよ!理奈さんはロシア語に興味があるの?」
「ええ、実は私、クオーターなんです。父がロシアと日本のハーフで!」
「あら!私もクオーターよ。同じく父がロシアと日本のハーフ。でも、私はお父さんの顔を知らないの」
「えっ!ニーナさんもクオーターなんですか」
「似てますね!私達」
「はい・・」
「蘭、クオーターとかハーフって何だっけ?」
「確かピザの種類にそんなのあったけど・・」
「ふーん、じゃあ、理奈お姉さんもニーナさんもピザが好きってこと!?」
「多分な・・」
「蘭、弟に適当なこと教えるなよ!」
「すみません」
一也と別れ、俺たちはマンションに向かっている。
「理奈ちゃん、また明日ね」
「理奈お姉さん、バイバイ!」
「バイバイ!」
「ただいまー!」
「ただいまー!」
「お帰り。またエトランゼでごちそうになってきたの?」
「正解です」
「あまり行くと迷惑よ!ただでご飯食べてくるんだから」
「ただじゃありません!俺と翼で、ちゃんと400円払いました」
「あっそうですかー」
そして夕食の時間
「ニーナさんて、理奈ちゃんと同じクオーターなんだってさ!」
「うん、ピザが好きなんだ!」
「ピザ?」・・翼の余計な一言に、頭がこんがらがる父さん。
「ピザは関係ないけど」
「ニーナさんから聞いたのか?」
「うん」
「クオーターっていうと、両親のどちらかがハーフってことでしょ」
「確かお父さんがハーフって言ってたかな。でも、ニーナさんはお父さんの顔知らないんだってさ!」
「あら!何か事情がありそうね」
「だからって蘭、ひとの家庭のことをあんまり詮索したらいけないよ!」
「わかってるよ」
「ちなみに蘭、どことどこの国のハーフだって?ニーナさんのお父さん」
「母さんまで・・」
「いいじゃない、ちょっとぐらい」
「ロシアと日本だってさ!」
「じゃあ、理奈ちゃんと同じなわけね」
「うん、だから二人とも驚いてた!」
「でしょうね」
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
翼が俺の部屋までついてきた。
「翼、久しぶりに対戦するか?ゲーム」
「うん、やろう!」
なんて俺は弟思いの兄貴なんだろう!