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てるてる坊主

「翼、明日の準備は完璧か?」

「おう!」

「そうだ!念のためにてるてる坊主でも作るか」

「うん」

明日はいよいよ海水浴だ!天気予報では、明日も明後日もいい天気らしいけど・・。


「母さん、いらない布切れなあい?」

俺はキッチンで洗い物をしている母さんに聞いた。

「何するの?」

「てるてる坊主に決まってるよ!」

「あっそう。じゃあ白い布がいいわね」


「はい、あったわよ」

母さんはどこからか手ぬぐいよりもやや小さめの白い布を持ってきてくれた。てるてる坊主を作るには十分な大きさだ。

「サンキュー!」

そして俺は翼のところへ。


「中3にもなっててるてる坊主なんて・・蘭ったら」

「いいじゃないか。それだけ心がピュアなのさ!子供なんて知らないうちに大人になって、いつの間にか親とは微妙な距離ができてしまうものだよ」

「そうね」

「一緒に海水浴なんて、今度が最後かもな」

「あなたの言う通りかもね。なんだかちょっと寂しいわね・・」


「翼、あったぞー!」

「はーい!」

「翼、何描いてるんだ?」

「てるてる坊主って、確かこんなのだよね?」

翼は紙にてるてる坊主の絵を、いや設計図?を描いていた。


「あとは新聞紙と紐だな」

「今度はぼくがとってくるー」

そう言って、翼は母さんのところへ。

それにしても翼のやつ、絵上手いじゃんか!


「お母さーん!」

「はい!これでしょ」

「うんサンキュー!」


「翼ったらすごく楽しそうね」

「なんだかんだと仲のいい兄弟だな」

「ホントそうね」


翼が戻ってきた。

「よし、じゃあ翼、新聞紙をギュッと丸めてくれ」

「うん!」

グシャグシャ・・ギュッギュッ!

「おういい感じだ!あとはこの布をかぶせて・・こうやって紐で結ぶ」


「出来たね!」

「最後にマジックで顔を描くぞ!翼、あの絵のように頼む」

「OKまかせといて!」


出来上がったてるてる坊主を持って、翼は父さんと母さんのところへ走っていった。


「ほら!見て見て、てるてる坊主だよ」

「おっ!上手に出来たじゃないか」

「顔はぼくが描いたんだ!」

「そうか。よし、じゃあそこに吊るしておこう」

「うん!」



♪プープー・・理奈ちゃんだ。

「明日楽しみだね!もう準備は出来てる?」

「うん完璧。さっき翼とてるてる坊主作った。だから明日はいい天気だよ!」

「てるてる坊主かあ、懐かしいね」

「理奈ちゃんの方はどう?」

「こっちも準備OKよ!」


ワクワク・・俺はあっという間に眠りについていた。


そしていよいよ海水浴当日だ!

朝約束の時刻に、俺と翼は理奈ちゃんの家のチャイムを鳴らした。


♪ピンポン

「おはよー!俺、蘭」

「おはよー!ぼく、翼」

「はーい!」


「おはよう!蘭君、翼君」

「おはよー!理奈お姉さん」

「さあ行こう!もう車準備できてるよ」

「うん」


父さんの運転するマイクロバスに乗り込んだ俺たちは、途中一也を乗せて瞳の家に向かった。


♪プップー

父さんがクラクションを微かに鳴らすと、瞳と瞳の母さんの姿が。

そしてもう一人・・。

「ん?誰だあの男のひと」

「川口さんさ。この間声をかけといた」

「ふーん」


「おはようございます」

「おはようございます」

「お言葉に甘えて、私も参加させてもらいますね」

「大歓迎ですよ」


青い空のなかに、ギラギラの太陽。

総勢11人の俺たちの旅はこうして始まった。


てるてる坊主さんアリガトねー!


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