一時帰宅
修行始めてから5年経った。僕はかなり成長したみたいで、爺様との組み手も難なくこなせるようになってきた。因みに、爺様は若かりし頃は、武皇と呼ばれた程の実力だったらしい。
ある日、婆様に呼ばれた。
「颯夜、あれから5年経ったわ。思った以上の成果で感心よ。だから、ご褒美として、一時帰宅を許可するわ。家族との触れ合いも大事だからね。」
「ありがとうございます、婆様や爺様のおかげです。」
「貴方の努力あってこそよ。それで、期間は一週間よ。」
「ありがとうございます。」
「早速準備なさい。準備出来たら伝えなさい。」
「はい、承知致しました。」
今回の修行では、何も起こらない、ということはなく、生命の危険もあったし、僕自身の中に宿している悪魔王、悪魔達の力に支配されかけた事もあった。
僕は手早く準備を済ませる。
「一時帰宅だってさ、桜。君には初めての本家となるわけだね。」
「はい、初めてのご主人様の自宅になります。」
「まぁ、心配要らないよ。皆、優しいからね。」
「それはありがたい事です。」
「婆様をお待たせするといけないから行こうか?」
「はい、行きましょう。」
「後、これから、名前で呼んでね?」
「はい、じゃあ、颯夜様、とお呼びさせて頂きます。」
「じゃあ、それでいいよ。」
桜は、後々に語るけれども、僕の修行の一環として召喚・契約した使い魔で、容姿は焦げ茶色の髪を首が隠れる位迄伸ばした女の子で、年齢は僕より2つ下の設定。
「婆様、爺様、お待たせしました。」
「大丈夫よ。それじゃあ、準備はよろしいかしら?」
「はい、大丈夫です。」
「空間転移!」
僕らは、こちらに来た時と同様に魔法陣に包まれ、一瞬後には5年前と代わり映えしない実家の景色に変わった。
「早速、息子達に挨拶して来なさいね、心配していたはずだからね。今度は一週間後よ。せいぜい羽根を伸ばしなさい。また、2年位ご無沙汰になるからね。」
「はい、ありがとうございます。桜、早速、行こうか?」
「はい、颯夜様、行きましょう。」
一時帰宅、有効に過ごさなきゃ、ね?




