出発前
出発当日
親夫婦寝室にて
「父さん、母さん、婆様からお聞きしてると思いますが、明日から鵬嶺山での訓練になります。過酷な山と聞きますが、必ず帰って来ます。だから、心配なさらないでください。」
僕は父さん、母さんの前にいる。
「必ず帰って来るのよ、颯夜!無理はしちゃあ駄目よ?」
母さんに抱き寄せられる、やっぱり、心配だよね?
「母さん…!必ず帰って来ますから安心して待っていてください。」
「そうだ、必ず帰って来い!お前にはできるはずだ、我々はそう信じてる。だが、無理はするな、お前はまだまだ子供だ、背負い過ぎる事はない。」
「はい、父さん、ありがとうございます。」
母さんはなかなか離してぐれない。
「離したくはないけど、仕方ないわね。5歳にしかなっていない、貴方に背負わす事はしたくないけど、必ずできるって信じてるからね。」
「母さん、僕は必ず悪魔王の力をコントロールできるようになってみせるよ。母さん、だから、僕の事は心配なさらないで、身体大事にして、ね?」
「わかったわ、貴方が帰って来る頃には元気になってるからね。」
「それでは…、父さん、母さん、行って参ります。兄さん方にはよろしくお伝えください。」
「行ってらっしゃい。」
僕は、予想だに出来なかった、これが母さんとの最後の時間になるだなんて。
・・・
「挨拶は済んだか?」
爺様が尋ねる。
「はい、済みました。」
「それでは、行きましょう。」
婆様がおっしゃる。
「普通に移動したのでは時間が掛かり過ぎてしまうので、転移しますよ?私達は長年過ごした場所ですから転移は容易いですよ。準備は宜しくて?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは、行きますよ、空間転移!」
僕らは魔法陣に包まれ、空間が変わっていき、収まった時には、とある小屋に着いていた。
鵬嶺山:A級(災害級)魔獣討伐地域。A級:ギルドAランク所持者がパーティーを組んで討伐できる強さ。人が入る事は滅多と無い。ちなみに、爺様、婆様はS級とのこと。




