約束
校門を出ると日向が待っていた。
「颯ちゃん、大分待ったんだけど?」
「日向、何でこんなところにおる?」
「だって、颯ちゃんと一緒に帰りたかったんだもん。小さい時にさ?急にいなくなっちゃうんだから。私、寂しかった。颯ちゃん約束してくれたじゃない?「ずっと傍にいてあげる、日向を一生涯守ってあげる」って。」
「確かに、約束したよ。日向には寂しい思いさせてしまったけど、これからはずっと傍にいられるから。」
「本気でそう思ってるなら、埋め合わせしてよね。こんな風に腕を密着して歩いたり、問題無いよね?」
「うん、全然問題無いよ。」
「恥ずかしがっちゃダメだよ?」
「恥ずかしい事は無い、とは言えない。」
「周りの視線を気にしちゃあダメだよ。」
「日向はかわいいからさ、みんな色々な感じで殺意さえ感じるよ。怖い怖い。」
「かわいい?本当?颯ちゃんに言われるととても嬉しいし、恥ずかしいよ。それに、颯ちゃん全然怖がって無いでしょ?」
「その通り。」
「颯ちゃん、ついで、だけど?お姫様抱っこしてよ?私、今日、友達と買い物に来て大分歩いて、脚重たくて、もう歩けないの?」
必殺技「涙うるうる+上目遣い」、
「仕方ないね…。よっと…!」
僕は突き刺さる視線を無視して、駆け抜けた。
約束…、それは保育園に通っていた頃の事だ。爺様世代からの付き合いもあり、僕と日向も親しくしていた。日向はかわいい方で、性格も明るく優しかったので、人気があった。そんな日向と僕が親しくしている事に嫉妬や悪意を抱かれる事も多く、僕のいないところで日向を無理矢理誘ったり、僕自身に対して喧嘩を仕掛けられたりした。
決定的な出来事として、日向誘拐未遂事件があった。日向が複数の男に連れ去られそうになった。理由として、身代金目的があった。日向の爺様も僕の爺様と魔大戦を戦い抜いた英雄の一人で知名度が高い。そこに目をつけられたのだ。
実行犯として3人がいた訳だけど、僕はその3人を撃退した。だけど、そいつらだけでなく、彼らは日向を人質にとった。さすがに、無理だろうと犯人達は鷹をくくっていた。日頃の練習の賜物で、魔法を放った時には、犯人もだけど、日向も予想出来なく、軽い火傷を負わさせてしまった。
「ごめん、日向ちゃん。」
「颯ちゃん、謝らないで?ありがとうだよ。でも、颯ちゃん、もっと強くなって、こんな事起きないように私を守ってよ。」
「うん、もっともっと強くなって、日向ちゃん、危険な目に合わせないよ。」
「約束だよ、指切りしよう?」
「うん、絶対守るよ。」




