幼馴染という 存在
三章プロローグ
『幼馴染』
それは、今も昔も砂糖無しでは語ることの出来ないジャンルだ。
恋愛シュミレーションゲームにおいて、幼馴染は必ずと言っていいほど攻略対象キャラクターである。美少女、又はイケメンの幼馴染に、憧れた人は多いだろう。
恋愛小説でもよく取り扱われる幼馴染枠だが、その活躍の場は恋愛だとは限らない。
ファンタジー、SF、ミステリー……ジャンルを問わず、幼馴染という存在は美味しい位置を占めている。時には敵となり、主人公と相対するのも魅力だろう。
要するに、幼馴染ヤバイ、幼馴染ぱない、幼馴染スゲえ、とあたしは言いたいわけだ。
―――ただし、それは全て、二次元での話である。
『砂糖無しでは語れない』
それが二次元においての幼馴染の法則ならば、
『辛酸無しでは語れない』
これが三次元の法則だったのだから。
このあたし、佐倉ルイの黒歴史を網羅し、完璧に脳内保存するにも飽き足らず、常にトラブルの原因であったあいつのことを、あたしは生涯忘れることはないだろう。
白井一希
希望の象徴であり、絶望の可能性。
これはそんな面倒くさい人間と、厄介な人たちの物語。




