第3章-第3話・第4話
―バタンッ!!―
大きな音を立てて、隣に座っていたメイドが倒れた。
そして、動かなくなった・・・。
そしてまた・・・。
―バタンッ!!バタッバタッ・・・・・・―
大勢のメイド達や執事達が倒れていく。
「どっどうなってるんだ?」
戦慄に震えながら、俺は部屋の奥をにらんだ。
「どうして食べなかった?」
再びおじさんの声がした。
「毒が入ってるものをすすめといて・・・。」
俺はイライラしながら言った。
「そうか・・・。お前は“死”を望まないのか。」
そう言ったおじさんの声とともに、部屋の明かりがおちた。
「今度は何する気だ!」
俺の声は、暗くなった部屋に虚しく響くだけだった。
とっさに俺はカバンから懐中電灯を取り出す。
―カチッ―
小さな音とともに、俺の周りが少しだけ明るくなった。
スッと手を伸ばして、部屋の奥だったであろう所へ光を向けた。
「えっ?」
光が照らした先・・・。
そこには何もなかった。
俺は闇雲に部屋中を照らしてみた。
けれど、目の前にあったはずの机も料理も、大勢の人々の姿も、どこにもなかった。
大きな孤独感が闇となって俺に迫ってくる。
失望も絶望も、今まで以上に大きくなる。
恐怖で手に力が入らない。
俺の手からスルリと抜け落ちた懐中電灯で、部屋の異変に気づいた。
―ピチャッ―
落ちた懐中電灯は、確かにそんな音を発した。
足元の違和感も明確になってくる。
「水?」
わずかだけど、床が濡れている気がする。
その違和感は床だけでは終わらなかった・・・。
「冷っ!!」
靴の中にほんの少し水がたまっている感じがした。
それも、普通の水以上に冷たくて、粘り気まであった。
俺はそっとその場から一歩踏み出そうとした…。
「え?」
俺の足は前に進むどころか、むしろ氷づけにされたように動かない。
その間にもどんどん水位は上がってくる。
「なっ何なんだよこれ…。だんだん増えてくるし。くそっ!動かねぇ。」
水のような液体は、もう顔の辺りまできていた。
「止まれっ!」
声を振り絞って叫ぶ。
すると驚いたことに、液体の上昇が止まった。
「驚いた…。もうそこまで力をコントロールできるようになっていたとは…。」
老人の声が部屋に響いた。
「けれど、お前はここで死ぬ方が幸せだろう。」
老人がそう言うと、止まっていたはずの液体の上昇がまた始まった。
口をふさがれ、鼻をふさがれ…。
俺の意識は、暗く深い所へオチテイク。
落ちきる前に一言だけ、老人の声が聞こえた。
「許してくれ。お前には、重すぎるんだ…。」
…。…。…。…。…。
冷たさの中へ…。
…。…。…。…。…。
暗い所へ…。
『絶対に死なせない…』
無にかえろうとする俺を、温かさが包みこむ。
俺は安心して眠りについた。